金融・融資

運転資金とは|計算式と必要額の出し方・減らし方

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運転資金とは|計算式と必要額の出し方・減らし方

運転資金とは、日々の事業を続けていくために必要なお金です。仕入れの代金や給与、家賃などを、売上の代金が入ってくる前に払うために使います。利益が出ていても、売上の回収より支払いが先に来ると、手元のお金が足りなくなることがあります。

この記事では、中小企業基盤整備機構のJ-Net21と、日本政策金融公庫の経営Q&Aをもとに、運転資金の意味、計算式と例、運転資金が増える・減る理由、減らす方法、調達の方法を整理します。

運転資金とは

J-Net21は、運転資金を「日々の事業を続けていくために必要となるお金」と説明しています。開業のときは最初にいくら要るかに目が向きがちですが、事業が続けられるかどうかは、日々の運転資金を確保できるかどうかだとしています。

運転資金は、売上との関係から「変動費」と「固定費」に分けて考えられます。

区分意味例
変動費売上と連動して変わる費用仕入費用、荷造運賃
固定費売上と連動しない費用人件費、物件の賃貸料

事業のための資金には、運転資金のほかに、店舗や機械など設備を買うための設備資金があります。融資でも、使いみちで条件が分かれます。例えば日本政策金融公庫のセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)では、返済期間が設備資金は15年以内、運転資金は8年以内とされています。

利益が出ていても資金が足りなくなる理由

日本政策金融公庫の経営Q&Aは、「利益=資金」ではないと説明しています。理由は次のとおりです。

  • 売上と仕入の支払いのずれ:掛けで売ると、売上は計上されても代金が入るのは後になる。仕入の支払いが先に来れば、その間は資金が足りなくなる
  • 在庫:仕入れた商品が売れるまでの間は、お金が在庫として眠っている
  • 損益に関係ない取引:設備の購入や借入金の返済は、利益は減らさないが資金は減らす

このずれが大きくなると、利益は出ているのに支払いができない「黒字倒産」になることもあります。資金が足りなくなる流れと防ぎ方は「資金ショート・黒字倒産を防ぐ資金繰りの改善方法」で説明しています。

運転資金の計算式

日本政策金融公庫の経営Q&Aは、売上と仕入のずれと在庫から、次の式を示しています。

運転資金 = 売上債権 + 在庫 - 仕入債務

項目中身
売上債権売掛金と受取手形。売ったが、まだ入っていない代金
在庫仕入れたが、まだ売れていない商品など
仕入債務買掛金と支払手形。仕入れたが、まだ払っていない代金

売上債権と在庫は、先にお金が出ていく(またはまだ入らない)もの、仕入債務は、支払いを後にできるものです。この差が、立て替えておく必要がある資金になります。

計算の例

月の売上が1,000万円、仕入が600万円の会社で、売上の代金は2か月後に入り、在庫は1か月分、仕入の代金は1か月後に払うとします。

項目金額
売上債権(2か月分の売上)2,000万円
在庫(1か月分の仕入)600万円
仕入債務(1か月分の仕入)600万円
運転資金2,000万円 + 600万円 - 600万円 = 2,000万円

この会社は、事業を回すために2,000万円を立て替えている状態です。金額は計算のための例です。

運転資金の計算の例。売上債権2,000万円と在庫600万円を足し、仕入債務600万円を引くと、運転資金は2,000万円。代金の回収が1か月早まると運転資金は1,000万円減り、売上が2割増えると400万円増える

運転資金が増える・減るとき

計算式から、運転資金は次のようなときに変わります。上の例で計算すると、次のとおりです。

変化運転資金変わる額
代金の回収が1か月早まる(売上債権1,000万円)1,000万円1,000万円減る
在庫を半月分に減らす(在庫300万円)1,700万円300万円減る
仕入の支払いを1か月遅くする(仕入債務1,200万円)1,400万円600万円減る
売上が2割増える(月の売上1,200万円・仕入720万円)2,400万円400万円増える

売上が伸びると、売上債権と在庫も増えるため、運転資金も増えます。売上が急に増えた会社ほど、資金が足りなくなりやすいのはこのためです。

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運転資金を減らす方法

日本政策金融公庫の経営Q&Aは、資金繰りを改善する方法として、次のようなものを挙げています。

  • 売上債権を減らす:入金を得意先ごとに確かめ、回収サイトの短縮や、手形から振込みへの変更を頼む
  • 過剰な在庫を減らす:適正な在庫の量をつかみ、陳腐化した在庫は処分する
  • 遊休資産を売る:事業に使われていない土地や設備を売り、不要な資産と負債を減らす
  • 金融機関と日ごろから話す:事業計画書や資金繰り表で、借入れが必要な理由を説明できるようにする
  • 利益率を高める:付加価値を高め、採算の取れない商品から撤退する

仕入先への支払いを遅らせる交渉も、運転資金を減らします。ただし、取適法(中小受託取引適正化法)の対象になる取引では、支払期日などに決まりがあります。詳しくは「取適法とは」で説明しています。

運転資金の調達方法

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計算式に入らない「預けたままのお金」

オフィスや店舗の敷金は、運転資金の計算式には入りません。それでも、入居しているあいだ貸主に預けたままで、運転資金には使えないお金です。

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よくある質問

運転資金と設備資金の違いは何ですか?

運転資金は、仕入れや給与、家賃など日々の事業に使うお金です。設備資金は、店舗の内装や機械など、長く使う設備を買うためのお金です。融資では、使いみちによって返済期間などが変わります。

運転資金はいくら用意すればよいですか?

計算式で、売上債権と在庫から仕入債務を引いた額が、立て替えておく必要がある額の目安になります。売上が増える見込みがあるときは、増えたあとの売上で計算し直します。月ごとの入金と支払いは、資金繰り表で確かめます。

利益が出ているのに、なぜ資金が減るのですか?

売上の代金が入るより先に、仕入や経費の支払いが来るためです。在庫や、借入金の返済、設備の購入も、利益とは別に資金を減らします。

まとめ

  • 運転資金は、日々の事業を続けていくために必要なお金
  • 運転資金 = 売上債権 + 在庫 - 仕入債務
  • 回収を早める、在庫を減らすと運転資金は減り、売上が増えると運転資金も増える
  • 融資のほか、売掛金や手形の資金化で調達する方法もある
  • 計算式に入らない敷金も、入居したまま資金にする方法がある

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21「運転資金の考え方(小売業)」、日本政策金融公庫「経営Q&A 経営者が知って得する税務講座 ~上手な資金繰り方法~」(2018年7月、回答者 日本税理士会連合会)、日本政策金融公庫「国民生活事業のご案内」。

Tags#金融・融資
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