金融・融資

ファクタリングとは|仕組み・2社間と3社間・融資との違い

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ファクタリングとは|仕組み・2社間と3社間・融資との違い

取引先への売掛金の入金は、請求してから1〜2か月先になることがあります。そのあいだに仕入れや給与、家賃の支払いが来ると、利益は出ていても手元の現金が足りなくなります。売掛金を支払期日の前に売って現金にする方法が、ファクタリングです。

金融庁は、ファクタリングを「事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)」と説明し、法的には債権の売買(債権譲渡)契約だとしています。一方で、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行う業者がいることにも、注意を呼びかけています。

この記事では、ファクタリングの仕組みを民法の決まりから確かめたうえで、2社間と3社間の違い、融資との違い、手数料の考え方、会計と税金の扱い、使う前に確かめること、ほかの資金化の方法との比べ方を整理します。

ファクタリングとは

売掛債権を期日前に売って、代金を受け取る

ファクタリングでは、事業者(売主)が取引先(売掛先)に対して持っている売掛債権を、ファクタリング会社に売ります。ファクタリング会社は、債権の額から手数料を差し引いた代金を売主に払い、支払期日に売掛先から代金を回収します。

売主にとっては、支払期日を待たずに現金が入ります。借入れではないので、返済の予定を組む必要はありません。その代わり、手数料の分だけ、受け取る額は債権の額より少なくなります。

法的には債権の売買(債権譲渡)

民法は、債権は譲り渡すことができると定めています(第466条第1項)。まだ発生していない将来の債権を譲り渡すこともできます(第466条の6第1項)。

取引先との契約で、債権の譲渡を禁止したり制限したりしていること(譲渡制限の特約)もあります。その場合でも譲渡そのものは有効ですが、特約を知っていたか、重大な過失で知らなかった譲受人に対しては、売掛先は支払いを拒むことができます(第466条第2項・第3項)。ファクタリングを使う前に、取引先との契約書で譲渡制限の特約を確かめます。

譲り受けたことを主張する手続き(対抗要件)

債権を譲り受けたことを売掛先やほかの第三者に主張するには、売主から売掛先への通知か、売掛先の承諾が必要です(民法第467条第1項)。売掛先以外の第三者に主張するには、確定日付のある証書による通知か承諾が必要です(同条第2項)。

売主が法人であれば、債権譲渡登記をする方法もあります。登記をすると、売掛先以外の第三者との関係では、確定日付のある証書による通知があったものとみなされます(動産・債権譲渡特例法第4条第1項)。売掛先に知らせずに第三者への対抗要件を備えるときに使われる手続きです。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリング

ファクタリングには、売掛先が契約に関わらない「2社間」と、売掛先も関わる「3社間」があります。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの流れの比較。2社間は、売主とファクタリング会社の2社で契約し、売掛先は支払期日に売主へ払い、売主がファクタリング会社へ渡す。売掛先に知らせずに使える。3社間は、売掛先が債権の譲渡を承諾し、支払期日に売掛先がファクタリング会社へ直接払う

項目2社間3社間
契約の当事者売主とファクタリング会社売主・ファクタリング会社・売掛先
売掛先への通知・承諾しない(登記で備えることがある)通知するか、承諾をもらう
支払期日の入金先売主(受け取ってファクタリング会社へ渡す)ファクタリング会社
ファクタリング会社の回収の手間売主を通すので大きい直接回収できる

2社間は、売掛先に知らせずに使えるのが特徴です。ただし、支払期日に売主が受け取った代金をファクタリング会社へ渡す形になるため、ファクタリング会社から見ると回収の手間と、売主が代金を渡さない危険を負うことになります。3社間は、売掛先の承諾が要るぶん手続きに時間がかかりますが、売掛先から直接回収されます。

融資との違い

項目ファクタリング融資
取引の性質債権の売買お金の貸し借り
返済ない(売掛先が払う)元金と利息を返す
審査で見られること売掛先の支払い能力、債権の中身借りる会社の業績・返済能力
費用手数料(債権の額から差し引く)利息(利息制限法の上限の中)
決算書要件を満たせば売掛金が減り、現金が増える現金と借入金が増える

ファクタリング会社は、売掛先が払わない危険を負います。そのため、売主の業績よりも、売掛先の支払い能力や、請求の元になった取引の中身が確かめられます。金融庁が紹介している裁判例でも、債務者(売掛先)の不払いの危険がファクタリング会社に移っているかどうかが、債権の売買と認められるかの判断の材料になっています(東京地裁令和2年9月18日判決ほか)。

利息制限法と出資法の上限金利は、お金の貸付け(消費貸借)の利息についての決まりです(利息制限法第1条、出資法第5条)。債権の売買であるファクタリングの手数料は、その対象ではありません。ただし、実質が貸付けと判断されれば、貸金業の規制と上限金利の対象になります(次の節)。

手数料の考え方

見積もりでは、手数料が債権の額に対する割合で示されることがあります。事務手数料や、債権譲渡登記の費用が別にかかる場合もあります。比べるときは、債権の額と受け取る代金の差を、すべて合わせた総額で見ます。

さらに、手数料は「何日分の資金を前倒しで受け取るか」で重さが変わります。融資の金利と比べるには、年あたりに直します。

例計算
債権の額1,000万円(支払期日まで60日)
手数料(総額)50万円(債権の額の5%)
受け取る代金950万円
年あたりに直した割合50万円 ÷ 950万円 × 365日 ÷ 60日 ≒ 32%

金額は計算のための例です。同じ5%でも、支払期日まで30日なら年あたり約64%、90日なら約21%になります。金融庁は、高額な手数料を払うと、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性があると注意しています。一度だけの利用か、毎月続けるのかで、負担は大きく変わります。

偽装ファクタリングに注意

金融庁は、ファクタリングとして行われ、契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」と書かれた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を持つものは貸金業にあたるおそれがあるとしています。例として、次のようなものを挙げています。

  • 譲渡した債権の回収(集金)が売主に任され、売主が集金できなかった場合に、売主が債権を買い戻すことになっている
  • 同じ場合に、売主自身の資金でファクタリング会社に支払わなければならないことになっている

また、ファクタリング会社から受け取る代金が、債権の額に比べて著しく低い場合は、偽装ファクタリングの疑いがあるとしています。契約書にノンリコース(売掛先が払えなくても売主に返す義務がないこと)と書かれているかといった形式だけでなく、経済的な実態で判断されるとも説明しています。

貸金業を営むには財務局か都道府県の登録が必要で、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で登録の有無を調べられます。違法な業者の見分け方は「違法なファクタリングの見分け方」で詳しく整理しています。

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会計と税金の扱い

売掛債権を売って、帳簿から外す(売掛金を減らす)には、会計基準の要件を満たす必要があります。企業会計基準第10号は、金融資産の支配が他に移るのは、次の要件がすべて満たされた場合としています(第9項)。

  • 譲り受けた側の権利が、譲渡人とその債権者から法的に守られていること
  • 譲り受けた側が、その権利を通常の方法で使えること
  • 譲渡人が、満期日前に買い戻す権利と義務を実質的に持っていないこと

売掛先が払わなかったときに売主が負担する約束(償還請求権)がある場合は、処理が変わることがあります。消費税では、ファクタリング会社が差し引く割引料や手数料は、名目にかかわらず金銭債権の譲受けの対価として非課税とされています(国税庁 質疑応答事例「金銭債権の買取り等に対する課税関係」)。仕訳の例は「ファクタリングの勘定科目と仕訳」で説明しています。

申し込みから支払期日までの流れ

順番すること確かめること
1売る債権を決める取引先との契約に譲渡制限の特約がないか。請求の金額と支払期日
2見積もりをとる2社間か3社間か。手数料の総額。償還請求権の有無
3債権譲渡契約を結ぶ買戻しや、売主が代わりに払う定めがないか
4対抗要件を備える3社間は売掛先の承諾。2社間は債権譲渡登記をすることがある
5代金を受け取る受け取る額が見積もりどおりか
6支払期日2社間は売掛先から受け取った代金を渡す。3社間は売掛先が直接払う

債権譲渡登記の登録免許税は、譲り渡す債権の個数が5,000個以下なら1件7,500円です(租税特別措置法第84条の6第1項第2号)。5,000個を超えると1件15,000円です(登録免許税法別表第一第九号)。登記の手続きと費用は「債権譲渡登記とは」で整理しています。

使う前に確かめること

  • 契約の形:債権の売買契約か。償還請求権(買戻しや売主の負担)の定めがないか
  • 手数料の総額:事務手数料・登記費用を含めた総額と、年あたりに直した割合
  • 取引先との契約:譲渡制限の特約がないか
  • 通知と登記:売掛先に通知するのか、債権譲渡登記をするのか。その費用
  • 相手の会社:所在地や連絡先がはっきりしているか。貸金業の登録の有無
  • 使い続けるか:毎月使うと、手数料の分だけ売上が目減りし続ける

ほかの資金化の方法と比べる

売掛金のほかにも、会社には現金に換えられる資産があります。

方法元手にするもの返済主な費用
ファクタリング売掛債権なし手数料
手形・でんさいの割引受け取った手形・でんさいなし(支払われないときの扱いは契約による)割引料
ABL(動産・債権担保融資)売掛債権・在庫を担保あり利息
敷金の資金化預けている敷金なし保証料

手形の割引とでんさいについては「約束手形の廃止はいつ?」、銀行以外の資金調達の全体は「銀行以外の資金調達」で整理しています。

入居中の敷金を資金にする方法

オフィスや店舗を借りている会社は、貸主に敷金を預けています。当社の「敷金返還くん」は、預けている敷金の半額から最大全額を、入居したまま現金で取り戻せるサービスです。返す敷金の代わりに当社が貸主に保証を提供するため、借入れではなく、返済や利息はありません。利用には当社の審査と貸主の承諾が必要で、当社への保証料がかかります。敷金を資金にする考え方は「敷金流動化とは」で説明しています。

よくある質問

ファクタリングは借金ですか?

債権の売買で、借入れではありません。ただし、売主が買い戻す約束があるなど、経済的に貸付けと同じ働きをするものは、貸金業にあたるおそれがあると金融庁は説明しています。

取引先に知られずに使えますか?

2社間ファクタリングなら、売掛先に通知せずに使えます。ただし、ファクタリング会社が債権譲渡登記を求めることがあります。登記の概要は、誰でも法務局で証明書(登記事項概要証明書)をとって確かめられます(動産・債権譲渡特例法第11条第1項)。

個人事業主も使えますか?

事業で生まれた売掛債権であれば、個人事業主が売ることもできます。一方、給与を受け取る権利を買い取るとうたう「給与ファクタリング」は貸金業にあたり、最高裁も貸付けにあたると判断しています(最高裁令和5年2月20日決定)。

手数料に消費税はかかりますか?

ファクタリング会社が差し引く割引料や手数料は、金銭債権の譲受けの対価として非課税です(消費税法施行令第10条第3項第8号、国税庁 質疑応答事例)。

まとめ

  • ファクタリングは、売掛債権を支払期日の前に売って現金にする方法。法的には債権の売買
  • 2社間は売掛先に知らせずに使え、3社間は売掛先から直接回収される
  • 手数料は総額で比べ、支払期日までの日数で年あたりに直す
  • 売主が買い戻す約束など、実質が貸付けなら貸金業にあたるおそれがある
  • 売掛金のほかに、預けている敷金を返済なしで資金にする方法もある

出典:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」、民法第466条・第466条の6・第467条、動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律第4条・第11条、登録免許税法別表第一、租税特別措置法第84条の6、利息制限法第1条、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」第9項、国税庁 質疑応答事例「金銭債権の買取り等に対する課税関係」。

Tags#金融・融資
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