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フランチャイズ加盟店のコスト削減|ロイヤリティの計算方式、契約で決まる費用と動かせる費用、仕入・廃棄・人件費・家賃の見直し方

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フランチャイズ加盟店のコスト削減|ロイヤリティの計算方式、契約で決まる費用と動かせる費用、仕入・廃棄・人件費・家賃の見直し方

フランチャイズの店を運営する会社の費用は、本部に払うロイヤリティのように加盟契約で決まる費用と、人件費、廃棄、仕入の量のように自社で動かせる費用に分かれます。公正取引委員会が大手コンビニエンスストア8チェーンの加盟店を調べた「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査」(2020年9月公表)では、項目ごとの中央値で、売上高1億8,600万円に対してロイヤリティが2,888万円、従業員給与が1,500万円、廃棄ロスが468万円でした。各項目の中央値から計算した「オーナーの収入」は586万円で、5年前の778万円から192万円減っていました。

同じ調査では、コンビニエンスストアの約1割(5,911店)が、10店舗以上を経営する法人オーナー323名によって経営されていました。単純に割ると、1社あたり約18店です。売れた分だけを売上原価にする方式で、発注を見直して1店の廃棄ロス(中央値468万円)を1割減らすと、年46.8万円がそのまま手元に残り、18店なら約840万円になります。店の数が多い会社ほど、1店あたりの小さな見直しが大きな額になります。店舗を自社で借りる契約なら、預けたままの保証金も店の数だけ増えます。なお、公正取引委員会の資料は「ロイヤルティ」と書いていますが、この記事では「ロイヤリティ」で統一します。

加盟店にかかる費用と、払う先

公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(2021年4月改正)は、フランチャイズを、本部が加盟者に特定の商標・商号などを使う権利を与え、事業や経営を統一的な方法で統制・指導・援助し、その対価として加盟者が本部に金銭を払う事業の形と説明しています。ロイヤリティは、本部の商標や商号の使用、経営の指導などの対価として、加盟者が本部に定期的に払う金銭です。店を開いて動かすには、ほかにも次の費用がかかります。

時期費用払う先
加盟・開業のとき加盟金本部
加盟・開業のとき保証金(何の担保かは契約で決まる)本部
加盟・開業のとき研修費、開業前の指導費本部
加盟・開業のとき店舗の内装・設備・看板本部や本部の指定する業者など
加盟・開業のとき店舗の保証金(敷金)、仲介手数料、前払いの賃料物件の貸主、仲介会社
毎月ロイヤリティ本部
毎月商品・材料の仕入本部や本部の指定・推奨する仕入先など
毎月広告分担金、システムの利用料本部など
毎月人件費、家賃、水道光熱費、廃棄・棚卸のロス自社の負担

本部に預ける保証金と、店舗の貸主に預ける保証金は別のものです。本部に預ける保証金が何の担保かは、加盟契約で決まります。中小小売商業振興法の対象となる本部は、その性質と返還の条件を、契約の前に渡す書面に書きます。店舗の貸主に預ける保証金のうち、賃料などの債務の担保として預けるものは、名目にかかわらず敷金にあたります(民法第622条の2)。建設協力金のように、担保とは別の性格のお金を保証金と呼ぶこともあります。

コンビニエンスストアには、本部が用意した店舗で営業する「本部店舗型」の契約と、加盟者が店舗の土地・建物を用意する「自前店舗型」の契約があります。公正取引委員会の調査では、本部店舗型が82.8%、自前店舗型が17.2%でした。調査は、本部店舗型は初期投資の負担を抑えられるがロイヤリティは高くなり、自前店舗型は初期投資の負担がかかるがロイヤリティは低くなると説明しています。店舗を自社で用意して初期投資を負担するか、本部に用意してもらう代わりに高いロイヤリティを払うかの違いです。

コンビニの加盟店の収支で見る、お金の流れ

公正取引委員会の調査は、2020年1月17日から2月14日にかけてオーナーに回答を求めたものです。加盟店の収支は、項目ごとの中央値で次のとおりでした(店舗ごとの回答)。

項目回答時点の直近の会計年度5会計年度前
売上高1億8,600万円1億9,345万円
本部から受け取った各種補助金150万円90万円
売上原価1億2,887万円1億3,501.5万円
ロイヤリティ2,888万円2,878万円
従業員給与1,500万円1,417万円
廃棄ロス468万円478.5万円
棚卸ロス19万円20万円
水道光熱費72万円75万円
その他営業費240万円223万円
上記以外の営業費90万円64万円
オーナーの収入586万円778万円

調査は、廃棄ロスと棚卸ロスを売上原価に含めず、営業費として答えるよう求めています。従業員給与から「その他営業費」までが営業費の内訳で、「上記以外の営業費」は、調査がその内訳とは別に尋ねた営業費(⑤以外の営業費)です。オーナーの収入は、各項目の中央値を使って機械的に計算した値で、同じ1店の収支ではありません。

コンビニエンスストアの加盟店の収支(公正取引委員会の調査・項目ごとの中央値)。売上高1億8,600万円と本部からの補助金150万円から、売上原価1億2,887万円を引いた残りは5,863万円。そこからロイヤリティ2,888万円、従業員給与1,500万円、廃棄ロス468万円、棚卸ロス・水道光熱費・その他営業費・上記以外の営業費の計421万円を引くと、オーナーの収入は586万円。ロイヤリティは売上原価を引いた残りの約半分にあたる

自社の店と比べるときは、売上高に対する割合に直します。中央値で計算すると、ロイヤリティは売上高の約16%、売上高から売上原価を引いた額(売上総利益)の約5割でした。従業員給与は売上高の約8%、廃棄ロスは約2.5%、水道光熱費は約0.4%、オーナーの収入は約3%です。

5年間で売上高は745万円(約4%)減った一方、従業員給与は83万円増え、オーナーの収入は192万円減っていました。ロイヤリティの額は2,878万円から2,888万円とほぼ変わっていません。売上総利益が減り、従業員給与などの営業費が増えた分が、オーナーの収入の減少に表れています(中央値どうしの機械的な計算)。

ロイヤリティの計算方式と、比べ方

ロイヤリティの計算方式は、本部と業種によって違います。たとえば、次のような方式があります。

方式計算のしかた売上が増えたとき売上が減ったとき
売上歩合売上高 × 一定の率増える減る
粗利分配売上総利益 × 一定の率増える減る
定額毎月決まった額変わらない変わらない

売上が少ないうちは、売上に応じて払う方式のほうが負担は軽く、売上が増えると定額の方式のほうが軽くなります。たとえば、売上歩合5%と定額30万円を比べると、月の売上が600万円のときに額が同じになり、それより売上が少なければ売上歩合が、多ければ定額のほうが払う額は少なくなります(計算のための例)。方式は加盟契約で決まるため、新しい店を別のチェーンで出すときや、契約の更新で条件を話し合うときの判断に使います。

ロイヤリティの方式で、月の売上と払う額の関係が変わる(計算のための例)。売上歩合5%は売上に比例して増え、定額30万円は売上にかかわらず一定。月の売上600万円で両者が同じ30万円になり、それより少ない売上では売上歩合、多い売上では定額のほうが払う額は少ない

粗利分配の方式では、廃棄の扱いで額が変わる

公正取引委員会の考え方は、コンビニエンスストアのフランチャイズ契約では、売上高から売上原価を引いた売上総利益をロイヤリティの算定の基準とすることが多く、その大半が、廃棄した商品の原価を売上原価に入れない方式だとしています。2020年の調査は、この方式を「いわゆる『コンビニ会計』」と呼んでいます。考え方は、この方式では、加盟者が商品を廃棄すると、廃棄の原価を売上原価に入れる方式に比べてロイヤリティの額が高くなり、加盟者の不利益が大きくなりやすいとも説明しています。

計算のための例で見ます。ある月に100万円分を仕入れ、そのうち原価90万円分が130万円で売れ、原価10万円分を廃棄したとします。ロイヤリティの率は50%で、表の右端は、売上高から仕入の総額(100万円)とロイヤリティを引いた加盟店の取り分です。

計算のしかた売上総利益ロイヤリティ(50%)加盟店の取り分
廃棄した分も売上原価に含める30万円15万円15万円
売れた分だけを売上原価にする40万円20万円10万円

売れた分だけを売上原価にする方式では、廃棄の原価が売上総利益から引かれないため、ロイヤリティは廃棄があっても減らず、廃棄の原価はすべて加盟店の負担になります。この方式の店では、発注の量と見切り販売が、加盟店の取り分を直接左右します。2020年の調査は、本部によっては廃棄ロスの一部を負担している場合があるとしています。契約書で本部が負担する範囲を見て、負担がない契約なら、発注量と見切り販売で廃棄を減らすことを優先します。

率だけでは比べられない

ロイヤリティの率は、本部が提供する商標、仕入、システム、指導の範囲と一緒に決まるため、率だけを並べても比べられません。公正取引委員会の考え方も、実質的に本部が受け取る金額が同じ水準なのに、計算方法の違いを説明せずに自社のロイヤリティの率の低さを強調することを、加盟者を誤認させる勧誘(ぎまん的顧客誘引)にあたるかを判断するときの例に挙げています。

率は、売上高と売上総利益のそれぞれに対する割合に直すと、方式の違うチェーンどうしでも並べられます。たとえば、売上高に率を掛ける方式で、原価率35%の店が売上高の5%を払うなら、売上総利益(売上高の65%)に対しては約7.7%です(計算のための例)。コンビニの調査の中央値では、売上総利益の約5割でした。本部が提供するものの範囲が違うため、割合が低いほど得とは限りませんが、何に対して払っているかの目安になります。あわせて、次の点を並べて比べます。

  • 計算のもとになる額(売上か、売上総利益か、その計算に廃棄の原価を含めるか)
  • ロイヤリティのほかに、広告分担金、システムの利用料、指導料などを別に払うか
  • 店舗の土地・建物をどちらが用意するか(本部が用意する契約はロイヤリティが高くなる)
  • ロイヤリティの最低額(売上が少なくても払う下限)や、売上が多いときに率が下がる段階があるか
  • 売上が一定に届かないときの本部の支援があるか。あるなら、返済が要るか

最後の点について、公正取引委員会の2011年の調査では、最低売上に届かないときの本部の支援制度(最低保証制度)を、本部は加盟時に「補填」と説明していたのに、実際には支援を受けた後、最低売上を達成したときに返済させられ、実態は貸付制度だったという報告が寄せられています。返済が要る支援なら、資金繰りの計画に返済額と利息を入れておきます。

契約で決まる費用と、自社で動かせる費用

加盟店の費用を、決まり方で分けると次のとおりです。

費用主に決まるところ自社で動かせること
ロイヤリティ加盟契約の算定方法方式と計算のもとを理解し、更新や条件の見直しのときに協議する
本部・指定先からの仕入加盟契約、マニュアル発注量、推奨か義務かの区別、売れ残りの扱い
広告分担金、システムの利用料加盟契約新しい店を出す前に、総額で比べる
店舗の内装・設備本部の指定改装の時期、使える設備の引き継ぎ
人件費自社シフトの組み方、作業の時間
家賃、店舗の保証金物件の賃貸借契約(自前店舗型の場合)物件の選び方、賃料の協議、保証金の扱い
水道光熱費自社使い方、電気などの契約の見直し
廃棄・棚卸のロス自社(ロイヤリティの計算方式の影響を受ける)発注の精度、見切り販売、管理

契約で決まる費用は、契約の期間中に自社だけで変えることはできません。新しい店を出す前と、契約の更新の前が、条件を話し合う時期です。

複数の店を経営する会社は、店ごとに並べて比べる

店の数が増えると、会社全体の決算書だけでは、どの店のどの費用が重いのかが見えなくなります。まず店ごとの数字と、契約の期限を一覧にします。

  • 店ごとに、売上、売上原価、ロイヤリティ、人件費、廃棄、家賃を毎月並べ、売上高に対する割合で比べる
  • ロイヤリティの率など契約で決まる条件が同じ店どうしなら、店ごとの差は、人件費、廃棄、家賃などの自社で動かせる費用に表れる。差の大きい費目から、成績のよい店のやり方を移す
  • 店ごとに、加盟契約の満了日と中途解約の条件(違約金)、店舗の賃貸借の契約の種類(普通借家か定期借家か)・満了日・解約予告の期限、賃貸借の契約を結んでいるのが自社か本部かを一覧にする
  • 本部から受け取る補助金(2020年の調査の中央値で年150万円)は、対象になる費用と期間を店ごとに一覧にし、受け取り漏れを防ぐ
  • 新しい店を出すたびに、加盟金、内装、店舗の保証金がかかる。店を増やす計画と、資金の出入りの時期を合わせる。自社で借りる店舗の保証金は、保証会社の株式会社日商保(以下、日商保)の「敷金半額くん」で半額から最大0円に減らせるため、保証金550万円の店なら、275万〜550万円が出店の資金として手元に残る(家賃50万円の11か月分の例。日商保の審査と貸主の承諾が必要で、保証料がかかる)

赤字の店を閉じるかどうかは、続けた場合の赤字の合計(月の赤字 × 残りの契約月数)と、いま閉じることで余計にかかる額(違約金、解約予告の期間の家賃など)を比べて判断します。保証金の返還と原状回復は、続けても契約の終わりに同じように起きるため、損得ではなく、現金が出入りする時期として資金繰りの面で見ます。

仕入を見直す

コンビニの加盟店では、売上原価が売上高の約7割です(中央値で1億2,887万円)。仕入は、量と仕入先の両方を見ます。

推奨か義務かを、品目ごとに分ける

公正取引委員会の考え方は、取引上優越した地位にある本部が、正当な理由がないのに、商品や原材料の注文先、店舗の清掃や内外装工事の依頼先を本部や本部の指定する事業者に限り、良質で安い商品や役務を提供する他の事業者と取引させないようにすることを、独占禁止法の「優越的地位の濫用」の例に挙げています。取引上優越した地位にある場合とは、加盟者にとって本部との取引を続けられなくなることが事業経営上大きな支障になるため、本部の要請が著しく不利益でも受け入れざるを得ないような場合です。仕入の割合、初期投資の額、中途解約の条件や違約金、契約期間、事業規模の差などを総合して、契約ごとに判断されます。

一方で、本部が注文先を指定することは、営業の秘密を守り、チェーンの統一したイメージを保つためのもので、その限度にとどまるなら直ちに問題になるわけではない、ともしています。まず、契約書とマニュアルで、品目ごとに「本部や指定先から買う義務がある」のか「推奨にとどまる」のかを一覧にします。推奨にとどまる品目は、ほかの仕入先と、単価、最低発注量、配送料、支払の条件を並べて比べます。

発注の量を、販売の記録と損益の分かれ目で決める

2020年の調査では、「本部から強く推奨され、意に反して仕入れている商品がある」と答えたオーナーが51.1%、「必要以上の数量を仕入れるよう強要された経験がある」が47.5%でした。本部の指導員に無断で発注された経験は「恒常的にある」が4.2%、「恒常的にではないが経験はある」が21.5%です。

公正取引委員会の考え方は、取引上優越した地位にある本部が、返品が認められないのに、実際の販売に必要な範囲を超えて仕入数量を指示したり、加盟者の意思に反して加盟者の名前で発注したりして、その数量を仕入れさせることを、優越的地位の濫用の例に挙げています。

発注の量は、売れる見込みと損益の分かれ目で決めます。計算のための例で、原価70円・売価100円の商品を、もう1個多く発注するかを考えます(ロイヤリティの率は売上総利益の50%)。

計算のしかた売れたときの加盟店の取り分廃棄したときの加盟店の損追加の1個が得になる、売れる見込みの下限
売れた分だけを売上原価にする+15円−70円約82%(70 ÷ 85)
廃棄した分も売上原価に含める+15円−35円70%(35 ÷ 50)

売れた分だけを売上原価にする方式では、売れる見込みが8割を超えるような商品でなければ、追加の1個は損になります。一方、本部のロイヤリティは、売れれば15円増え、廃棄しても減りません。日ごと・時間帯ごとの販売数と、発注の指示の内容・日付を記録しておくと、必要な量を本部と話し合う材料になります。

仕入代金の決済と、相殺の残高にかかる利息を見る

中小小売商業振興法の対象となる本部は、契約前の書面に、加盟者に販売し、または販売をあっせんする商品の種類と代金の決済の方法を書きます。売上金を本部に送金させる場合はその時期と方法、本部が加盟者に貸付けをする場合はその利率、債権債務を相殺した残額に利息を付ける場合はその利率なども、書面に書く事項です。仕入代金を売上金と相殺する契約では、相殺の後に残った額に利息がかかることがあるため、店ごとの残高と利率を資金繰りの計画に入れておきます。

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廃棄を減らす

廃棄の原価が加盟店の負担になる方式では、廃棄を減らすことが、そのまま自社の利益になります。上の分かれ目の考え方で発注量を決めたうえで、売れ残りそうな商品は、値引きして売る見切り販売で廃棄を減らします。

2009年の公正取引委員会の命令では、見切り販売を、本部が定める販売期限が迫っている商品を、それまでの販売価格から値引きした価格で消費者に売ることとしています。計算のための例で、原価70円・売価100円の商品が1個売れ残りそうなときを比べます(売れた分だけを売上原価にする方式で、ロイヤリティの率は売上総利益の50%)。

売り方売上総利益の増減ロイヤリティの増減加盟店の取り分の増減
定価の100円で売れた+30円+15円+15円
60円に値引きして売った−10円−5円−5円
売れ残って廃棄した0円(原価は営業費になる)0円−70円

60円で売れば60円が入り、原価70円は売上原価として引かれるため、売上総利益は10円減り、ロイヤリティも5円減ります。廃棄すると、原価70円がすべて加盟店の負担になります。原価を下回る値段で売っても、加盟店の損は廃棄よりずっと小さくなります。この例のように原価を下回る値引きでは、本部のロイヤリティは見切り販売なら5円減り、廃棄なら減りません。2009年の命令は、見切り販売を制限することが、加盟者が廃棄の原価の負担を減らす機会を失わせているとしています。

2020年の調査では、デイリー商品(2009年の命令の定義では、品質が劣化しやすい食品・飲料で、原則として毎日店に納品されるもの)の見切り販売を「行っている」「たまに行うことがある」と答えたオーナーは30.0%で、88.0%が直近3年間に見切り販売を制限された経験は「ない」と答えていました。一方で、70.0%は見切り販売を行っておらず、指導員から「見切り販売をしたら契約を更新しない・契約を解除する」と言われたという報告や、「見切り販売は可能だが、かなり時間の掛かる方法のためほとんどの店舗が行えない状態」という手続上の問題の報告も寄せられています。

公正取引委員会の考え方は、売れた商品の原価だけで売上総利益を計算してロイヤリティの基準にしている場合に、取引上優越した地位にある本部が、正当な理由がないのに、品質が急速に低下する商品などの見切り販売を制限し、売れ残りとして廃棄させることを、優越的地位の濫用の例に挙げています。あわせて、本部は柔軟に売価を変えられる仕組みを作り、手続を加盟者に十分説明することが望ましい、としています。2009年には、公正取引委員会がセブン-イレブン・ジャパンに対し、推奨商品のうちデイリー商品の見切り販売をしようとする、または行っている加盟者に、取りやめを余儀なくさせていたとして、排除措置命令を出しています。

見切り販売の手続に時間がかかるなら、本部に改善を求める材料として、手続にかかる時間と、見切り販売ができずに廃棄した額を、店ごとに記録しておきます。

人件費と営業時間を見直す

令和8年度の地域別最低賃金は、各地の審議会が答申した改定額が全国加重平均で1,177円(前年度から56円の引上げ)です。発効日(予定)は都道府県ごとに2026年10月1日から12月2日までです(厚生労働省)。答申の額は、最も低い宮崎県でも1,085円です。

2020年の調査では、コンビニのアルバイトの平均時給は5年間で107円上がって926円でした。従業員給与(中央値1,500万円)の時給を、最低賃金の全国加重平均の1,177円に置き換えるだけでも、同じ時間を働いてもらうと約1,907万円になる計算です(従業員給与がすべて時給の人の分だと置いた目安)。約400万円の増加で、2020年の調査のオーナーの収入(586万円)の約7割にあたります。同じ総額に収めるには、働く時間を約2割減らす必要があります。

最低賃金を下回る時給にはできないため、人件費は時給の水準ではなく、時間の使い方で見直します。

  • 時間帯ごとに、売上を働いた時間の合計で割った「人時売上高」を出し、低い時間帯からシフトの人数を見直す
  • 本部のシステム(発注の支援、セルフレジなど)の機能を、使っている店と使っていない店で比べ、作業の時間の差を見る
  • 品出し、清掃、発注を、人時売上高の低い時間帯に寄せる
  • 複数の店で、忙しい時間帯の応援を融通し合える仕組みを作る

営業時間も、人件費と光熱費に直結します。2020年の調査では、77.1%の店舗が深夜帯は赤字と答え、66.8%のオーナーが時短営業への切り替えや試行を望んでいました。深夜帯の損益は、その時間帯の売上に売上総利益率(調査の中央値から計算すると約31%)を掛け、ロイヤリティの分を引いた額と、その時間帯の人件費(深夜の割増賃金を含む)と光熱費を比べて出します。

公正取引委員会の考え方は、取引上優越した地位にある本部が、契約期間中でも両者で合意すれば営業時間を短くできるとしているのに、24時間営業などが損益の悪化を招いていることを理由に短縮を望む加盟者との協議を、正当な理由なく一方的に拒み、協議しないまま従来の営業時間を受け入れさせることを、優越的地位の濫用の例に挙げています。時間帯ごとの損益を店ごとに出しておくと、協議の材料になります。

家賃と店舗の保証金を見直す

自前店舗型の契約では、物件の家賃と保証金は自社の負担です。本部店舗型の契約は、店舗を本部が用意する代わりにロイヤリティが高くなる契約のため、契約の更新のときに、ロイヤリティと店舗の条件をあわせて話し合います。店舗の賃貸借契約を結んでいるのが自社か本部かで、賃料を話し合う相手と、保証金が返ってくる先が変わります。

自社が借りている店舗の賃料は、借地借家法第32条により、経済事情の変動や近くの同じような建物の賃料との比較で不相当になったときは、将来に向かって増減を求められます。ただし、定期借家契約で賃料の改定について特約があるときは、この規定は適用されません(同法第38条第9項)。賃料の見直しの進め方は「店舗経営のコスト削減」で説明しています。

店舗の保証金は、原則として物件を明け渡すまで戻らず、償却の定めがある分は戻りません。日商保が運営するオフィス検索サイト「Growth Office」で、東京都で募集中の区画のうち用途に店舗を含み、保証金の月数がわかる28区画(2026年10月1日時点)を集計したところ、月数は中央値で11か月分、半数が10〜12か月分でした(区画が少ないため参考値。「敷金と保証金の違い|店舗の保証金の相場・償却・返還」)。家賃50万円の店が11か月分を預けていれば550万円で、自社で借りている店が18店あれば約1億円になります(計算のための例)。この現金は、保証金を保証会社の保証に置き換えると動かせます。日商保の「敷金返還くん」で、営業中の店舗に預けている保証金の半額が戻れば、18店で約5,000万円になり、新しい店の加盟金や内装に回せます。

水道光熱費は、調査の中央値で売上高の約0.4%と小さな費目ですが、冷蔵・冷凍の設備や空調を入れ替えた後に、電気の契約電力が以前のままになっていないか、請求書の内訳で確かめます。

本部と協議するときの記録と、公正取引委員会の考え方

仕入、見切り販売、営業時間のほかにも、公正取引委員会の考え方は、費用に関わる行為を優越的地位の濫用の例に挙げています。

  • ドミナント出店(加盟店の店舗の周辺に、本部が同じ業種や似た業種の店を自ら出したり、ほかの加盟者に出させたりすること)をしない取決めがあるのに、加盟店の損益の悪化を招く場合に、取決めに反して出店すること。出店の場合に支援する取決めがあるのに、一切の支援をしないこと
  • 当初の契約にない新規事業の導入で、加盟者が得られる利益を超える費用を負担することになるのに、導入しなければ不利益に扱うことを示唆して、導入を余儀なくさせること

本部が加盟者に商品を供給している場合に、加盟者の販売価格を拘束することは、原則として再販売価格の拘束にあたるとされています。考え方は、売れ残った商品を値下げして売らなければならない場合もあることを、その理由に挙げています。

2020年の調査は、コンビニの加盟者が商標や小売の機能の多くを本部に頼り、取引先を変えにくい状況などから、本部が加盟者に対して優越的な地位にあると認められる場合は多いのではないかとしています。一方で、加盟店の側にも個人のオーナーから、事業の多角化の一つとしてコンビニを経営するメガ・フランチャイジーまでさまざまな者がいるため、すべてを同列に論じるのは難しいとも述べています。あたるかどうかは、個別の契約で判断されます。

本部の要請に疑問があるときは、次の記録を店ごとに残して、まず本部と協議します。

  • 指示や要請を受けた日付と、指示した人
  • 品目と数量、そのときの販売数
  • 見切り販売ができずに廃棄した額、手続にかかった時間
  • 営業時間の短縮を申し出た日付と、本部の回答

公正取引委員会のウェブサイトには、独占禁止法の相談と申告の窓口が案内されています。

新しい店を出す前に、書面で確かめる費用

別のチェーンに加盟して店を増やすときは、契約の前に費用の条件を書面で確かめます。中小小売商業振興法は、主として中小の小売業者に対し、定型的な約款による契約にもとづいて継続して商品を販売し(または販売をあっせんし)、経営の指導も行う事業のうち、約款に、加盟者に特定の商標・商号などを使わせることと、加盟の際に加盟金・保証金などを集めることの定めがあるもの(特定連鎖化事業)を行う本部に、契約の前に決められた事項を書いた書面を渡して説明することを義務づけています(同法第11条)。同法の施行規則(第10条・第11条)で、費用に関係する事項として次の内容が定められています。

  • 加盟の際に集める加盟金、保証金などの額(または算定方法)、性質、集める時期と方法、返還の有無とその条件
  • 加盟者から定期的に集める金銭(ロイヤリティなど)の額または算定方法、性質、集める時期と方法
  • 加盟者に販売し、または販売をあっせんする商品の種類と、代金の決済の方法
  • 立地条件が似た店舗の直近3事業年度の収支(売上高、売上原価、定期的に集める金銭、人件費、販売費及び一般管理費)と、立地が似ていると判断した根拠
  • 店舗の構造や内外装について、加盟者に特別の義務を課すときはその内容
  • 契約の期間、更新の条件、解除の要件と、解除による損害賠償金の額(または算定方法)

外食やサービス業のフランチャイズが同法の対象になるかは、本部の事業の内容で決まります。同法の対象かどうかにかかわらず、公正取引委員会の考え方は、加盟者を募集するときに、仕入先の推奨制度、加盟金の性質・金額・返還の条件、ロイヤリティの額と算定方法、経営不振のときの本部の支援、契約の期間と中途解約の条件、ドミナント出店ができるかについての契約上の条項の有無と内容、そうした出店の計画の有無と内容などを開示することが望ましいとしています。中途解約の条件については、契約で明確にし、募集のときに十分説明することが望ましいとしています。

書面の収支の例は、そのまま自社の店の見込みになるわけではありません。2020年の調査では、予想売上げや予想収益の説明について、「加盟前に受けた説明よりも実際の状況の方が悪かった」と答えたオーナーが41.1%で、理由には来店客数の見積もりが過大だった(63.3%)、人件費の見積もりが過少だった(47.0%)、廃棄ロス・棚卸ロスの見積もりが過少だった(43.8%)が挙がっていました。家賃、人件費の水準、営業時間を自社の条件に置き換えて、収支を計算し直します。

店舗の保証金を、事業の資金にする

保証会社の株式会社日商保は、事業用の物件の敷金・保証金を、日商保の保証に置き換えるサービスを提供しています。フランチャイズの店でも、自社が貸主と賃貸借契約を結んで保証金を預ける店舗(自前店舗型の契約や、加盟店が自分で店舗を借りる業態)なら、次の2つを使えます。

サービス対象の店舗変わること
敷金半額くんこれから借りる店舗預ける保証金が、半額から最大0円になる
敷金返還くんいま営業している店舗預けている保証金の半額から最大全額が、営業を続けたまま返ってくる

仕組みはどちらも同じで、減らしたり返したりする保証金の代わりに、日商保が貸主に保証を提供します。借入れではないため、返済や利息はありません。利用には日商保の審査と貸主の承諾が必要で、貸主への説明と承諾の取り付けは日商保が行います。敷金返還くんは、審査の書類を出してから返還まで目安1か月半〜2か月ほどで、複数の店舗の預託敷金の計6,000万円のうち3,000万円が返った事例があります。本部が用意した店舗(本部店舗型)で自社が保証金を預けていない場合や、本部に預ける加盟契約の保証金は、対象になりません。

使うかどうかは、戻る現金や減る保証金の使い道の効果と、日商保に払う保証料を比べて決めます。保証料は、賃料、減らす額や返す額、契約期間などで変わり、日商保が無料で見積もりを出します。18店で約5,000万円が戻る例なら、新しい店の加盟金や内装を借入れを増やさずにまかなえるか、借入れを返して利息がどれだけ減るかを、保証料と並べて判断します。保証料は費用として利益を減らすため、使い道の効果が保証料を上回らない場合は使いません。

よくある質問

ロイヤリティの相場は、何%くらいですか?

計算のもとが売上か売上総利益かで率の意味が変わるため、率だけの相場では比べられません。自社の契約は、ロイヤリティを売上高と売上総利益のそれぞれに対する割合に直して比べます。公正取引委員会の2020年の調査の中央値で計算すると、コンビニの加盟店のロイヤリティは、売上高の約16%、売上総利益の約5割でした。売上高の5%を払う方式なら、原価率35%の店では売上総利益の約7.7%です(計算のための例)。

ロイヤリティは、交渉で下げられますか?

ロイヤリティは加盟契約で決まるため、契約の期間中に自社だけで下げることはできません。新しい店を出す前と、契約の更新や条件の見直しのときが、条件を話し合う時期です。店ごとの売上高に対する割合と、本部から受けている支援の中身を並べて、話し合いの材料にします。

本部店舗型と自前店舗型では、費用はどう違いますか?

公正取引委員会の調査は、本部が用意した店舗で営業する本部店舗型は初期投資の負担を抑えられるがロイヤリティは高くなり、加盟者が店舗の土地・建物を用意する自前店舗型は初期投資の負担がかかるがロイヤリティは低くなると説明しています。コンビニでは本部店舗型が82.8%でした。自前店舗型では、店舗の家賃と保証金が自社の負担になります。

本部が指定する仕入先以外から買ってもよいですか?

契約の内容によります。まず、契約書とマニュアルで、品目ごとに義務なのか推奨なのかを一覧にします。推奨にとどまる品目は、ほかの仕入先と単価や配送料を比べて選べます。

加盟金や本部に預けた保証金は、返ってきますか?

契約によります。中小小売商業振興法の対象となる本部は、加盟金や保証金などの性質と、返還の有無とその条件を、契約前に渡す書面に書くことになっています。新しく加盟するときは、書面で返還の条件を確かめます。

フランチャイズの店舗の保証金を減らす方法はありますか?

自社が貸主と賃貸借契約を結んで保証金を預ける店舗なら、保証金の一部または全部を保証会社の保証に置き換えられます。保証会社の日商保の「敷金半額くん」は、これから借りる店舗の保証金を半額から最大0円に減らし、「敷金返還くん」は、いま営業している店舗に預けている保証金の半額から最大全額を、営業を続けたまま返してもらうサービスです。どちらも日商保の審査と貸主の承諾が必要で、保証料がかかります。本部が用意した店舗で自社が保証金を預けていない場合や、本部に預ける保証金は対象になりません。

まとめ

  • フランチャイズの店の費用は、加盟契約で決まる費用と、自社で動かせる費用に分かれる
  • コンビニの加盟店のロイヤリティは、中央値で売上高の約16%、売上総利益の約5割(公正取引委員会、2020年)
  • ロイヤリティの率は、売上高と売上総利益に対する割合に直して比べる
  • 本部が一部を負担する契約を除き、売れた分だけを売上原価にする方式では、廃棄の原価が加盟店の負担になる
  • 例の条件では、追加の1個の発注は、売れる見込みが約82%を超えないと損になる
  • 原価を下回る値引きでも、見切り販売のほうが廃棄より加盟店の損は小さい
  • 仕入は、品目ごとに義務か推奨かを一覧にして、推奨の品目から比べる
  • 時給を最低賃金の全国加重平均(1,177円)に置き換えるだけで、2020年の中央値の従業員給与は約1,907万円になる
  • 深夜帯は、売上総利益からロイヤリティを引いた額と、人件費・光熱費を比べる
  • 契約で決まる条件が同じ店どうしなら、店ごとの差は人件費・廃棄・家賃に出る
  • 自社が借りている店舗の保証金は、保証会社の日商保の「敷金返還くん」で、営業を続けたまま半額から最大全額を資金に回せる
  • これから借りる店舗の保証金は、日商保の「敷金半額くん」で半額から最大0円に減らせる(どちらも日商保の審査と貸主の承諾が必要で、保証料がかかる)

出典:公正取引委員会「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書(概要)」(2020年9月公表)、同「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(2021年4月28日改正)、同「フランチャイズ・チェーン本部との取引に関する調査報告書」(2011年7月)、同「平成21年度年次報告」、厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」、同「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」、中小小売商業振興法第4条・第11条、同法施行規則第10条・第11条、民法第622条の2、借地借家法第32条・第38条、Growth Office 掲載データ(東京都で募集中の区画のうち用途に店舗を含むもの。2026年10月1日時点)。

Tags#金融・融資
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