新しい事業・2店舗目・事業の承継に使える制度
中小企業基盤整備機構の「新事業進出・ものづくり補助金」は、新しい製品・サービスの開発や、既存の事業と異なる新しい市場・高付加価値の事業への進出にかかる設備投資などを補助する制度です。
| 項目 | 第1回の内容(新事業進出枠) |
|---|
| 上限額 | 従業員規模に応じて750万円から、最大9,000万円 |
| 補助率 | 中小企業1/2(条件により2/3) |
| 主な要件 | 3〜5年の事業計画で、付加価値額を年平均4.0%以上、賃金を年平均3.5%以上増やし、事業所内で最も低い賃金を地域別最低賃金+30円以上にする(賃金の目標を達成できないと返還の義務がある) |
| 対象外 | 従業員が0人の事業者、創業1年未満の事業者 |
| 締切と採択 | 申請締切は10月30日、採択の発表は2027年1月ごろの予定。事業の期間は交付決定日から14か月以内 |
新事業進出枠では建物費も対象になるため、店で出している料理を加工して小売店や通信販売で売る、といった新しい市場に出る計画で、店とは別に加工の場所を設ける場合にも使えます(対象になるかは審査で決まります)。申請書は、申請者自身が作ることが必須とされています。
店や会社を引き継ぐときは、事業承継・M&A補助金(第16次の締切は11月6日17時)も候補になります。
東京都の店が使える、都の制度
東京都の店は、国の制度に加えて、東京都と東京都中小企業振興公社の制度も使えます(10月6日時点)。
| 制度 | 受付の状況 | 上限額・助成率 | 主な対象 |
|---|
| 中小企業収益力強化サポート事業 | 第2回を募集中(10月1日開始) | 300万円。2/3以内(賃上げの計画を立てる企業は3/4以内、そのうち小規模事業者は4/5以内) | 物価高騰の影響を受ける中小企業の経営体質づくり |
| 中小企業デジタル導入促進補助事業 | 募集中 | 150万円(下限5万円)、2/3以内 | デジタルツールの導入 |
| 商店街起業・承継支援事業 | 第3回は募集前 | 最大694万円、2/3以内 | 都内の商店街での開業・2店舗目・移転・多角化・事業承継 |
| 創業助成事業 | 第2回は10月8日締切 | 400万円(下限100万円)、2/3以内 | 都内で創業する個人、創業5年未満の中小企業者など |
商店街起業・承継支援事業は、すでに店を経営している中小企業者が、都内の商店街に2店舗目を出すときにも使えます。どの制度も、都の制度と国の制度で同じ経費を重ねて申請できるかは、それぞれの募集要項の決まりによります。
同じ設備を、どの制度で入れるか
同じ設備でも、制度によって受け取れる額と、あわせて必要になることが変わります。従業員が5人以下の飲食店が、券売機(キャッシュレス対応)を200万円で導入する場合を、計算のための例で比べます。業務改善助成金の行は、まだ申請できる熊本県(令和8年度の最低賃金1,092円、締切11月30日)の店で、3人とも時給1,040円で働いている場合です。
| 使う制度 | 受け取れる額 | あわせて必要になること |
|---|
| 業務改善助成金(90円コース・3人を引き上げ、30人未満の事業場) | 160万円(200万円 × 4/5。上限240万円の範囲) | 11月30日までに、3人とも時給を1,130円以上に上げる |
| 省力化投資補助金〈カタログ注文型〉(カタログに登録された製品の場合) | 最大100万円(200万円 × 1/2以下。上限500万円の範囲) | 労働生産性を年平均3.0%以上上げる計画。上限を引き上げるなら賃上げの目標 |
| デジタル化・AI導入補助金〈インボイス枠〉 | 券売機の部分は最大20万円(1/2) | IT導入支援事業者を通じて申請する |
どの設備が対象になるかは、制度ごとの審査や交付決定で決まります。熊本県の店は、最低賃金の改定だけでも、時給を1,092円以上に上げる必要があります。90円コースで上げる1,130円との差の38円が、制度を使うために増える分です。3人が月120時間ずつ働くなら、改定で必要な分(52円)が年約22.5万円、制度のために増える分(38円)が年約16.4万円で、合わせて年388,800円の賃金の増加になります。
業務改善助成金はカタログ注文型(最大100万円)より少なくとも60万円多く受け取れますが、制度のために増える賃金が年約16.4万円なので、最低賃金が1,092円のままなら約3.7年でその差を上回ります。会社が負担する雇用保険料なども増える一方、次の改定で最低賃金が1,130円を超えれば、制度のために上乗せした分はなくなります。賃金の引上げは補助の期間が終わっても続く費用なので、店の売上の見込みとあわせて選びます。令和8年熊本地震で被害を受けた熊本県の小規模事業者などは、持続化補助金〈災害支援枠(令和8年熊本地震)〉の第1回(10月16日締切)も使えます。
東京都など締切を過ぎた地域の店では、令和8年度の業務改善助成金は使えないため、カタログ注文型、デジタル化・AI導入補助金、東京都の制度から選びます。
申請から入金までの、立替えの期間
立替えが続く期間は、制度によって大きく違います。
| 制度 | 申請から交付決定まで | 立替えの期間(交付決定から事業の期限まで) |
|---|
| 持続化補助金〈一般型・通常枠〉第20回 | 受付は12月15日まで。採択は2027年3月ごろの予定で、交付決定は採択から概ね1〜2か月 | 2028年3月31日まで。実績報告(事業の終了から30日以内、遅くとも2028年4月10日)と額の確定の後に入金 |
| 省力化投資補助金〈カタログ注文型〉 | 申請から概ね1〜2か月 | 原則として交付決定日から12か月以内 |
| 省力化投資補助金〈一般型〉第8回 | 10月16日締切、採択は2027年2月上旬の予定 | 交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内) |
| デジタル化・AI導入補助金 第6次 | 10月30日締切、12月10日に採択の発表 | ITツールの導入が終わり、事業実績報告を出すまで |
| 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 | 10月30日締切、採択は2027年1月ごろの予定で、その後に交付申請 | 交付決定日から14か月以内 |
| 業務改善助成金(令和8年度) | 都道府県の締切までに申請し、労働局の審査を経て交付決定 | 交付決定年度の1月31日まで |
| キャリアアップ助成金〈正社員化コース〉 | 計画を取組の前日までに提出 | 転換後6か月分の賃金を払い、その翌日から2か月以内に支給申請 |
持続化補助金〈一般型・通常枠〉の第20回の流れを図にすると、次のとおりです。

持続化補助金で賃金引上げ特例を使うと、事業の終了日が2028年3月31日になるため、入金は2028年4月以降で、申請から1年を超えます。補助事業を始められるのは交付決定日からで、持続化補助金の展示会の出展料のように、申込みだけは交付決定の前でもよい例外も、請求書の発行日は交付決定日以後である必要があります。
入金までの資金をどう用意するか
補助金を使う場合も、費用はいったん全額を自社で払います。用意する資金は、補助されない自己負担の分と、補助金が入るまで補助される分も含めて立て替えておく分です。たとえば、補助率が2/3で対象経費が150万円なら、補助金は100万円です。150万円を先に払い、100万円が入るのは実績報告と額の確定の後です。
立替えの資金は、融資で用意し、補助金が入った後に返済の計画を合わせるのが基本です。業務改善助成金の案内は、日本政策金融公庫が、事業場内最低賃金の引上げに取り組む事業者に、設備資金や運転資金を融資する「働き方改革推進支援資金」を紹介しています。開業の前後は、内装、厨房機器、店舗の保証金、運転資金と、出ていくお金が重なります。持続化補助金は保証金・敷金を対象外としているため、店舗の保証金は、補助金ではなく自社の資金で用意する費用です。家賃40万円の店で保証金が10か月分なら、400万円が明け渡しまで戻りません。
この保証金は、保証会社の保証に置き換えると、減らしたり戻したりできます。保証会社の株式会社日商保の「敷金半額くん」は、日商保が貸主に保証を提供する代わりに、これから借りる店舗の保証金を半額から最大0円に減らすサービスで、400万円の例なら200万〜400万円が手元に残ります。持続化補助金で対象経費150万円の事業をするときの立替え(150万円)を、この手元の資金でまかなえる計算です。
すでに営業している店舗なら、日商保の「敷金返還くん」で、預けている保証金の半額から最大全額を、営業を続けたまま返してもらえます。審査の書類を出してから返還までは目安1か月半〜2か月ほどで、戻った資金を、補助金が入るまでの立替えに充てられます。複数の店舗の預託敷金の計6,000万円のうち3,000万円が返った事例もあります。
どちらも借入れではないため、返済や利息はありません。利用には日商保の審査と貸主の承諾が必要で、貸主への説明と承諾の取り付けは日商保が行います。日商保への保証料がかかり、賃料、減らす額や返す額、契約期間などで変わります。使うかどうかは、日商保が無料で出す見積もりと、立替えのための借入れを減らせるといった使い道の効果を比べて決めます。
補助金・助成金の探し方
制度は年度の途中でも、新しい公募や条件の変更があります。最新の公募は、次の窓口とサイトで見ます。
| 窓口・サイト | わかること |
|---|
| 補助金活用ナビ(中小企業基盤整備機構) | 持続化補助金、省力化投資補助金、デジタル化・AI導入補助金などの案内と、公募のスケジュール |
| 各補助金の事務局のサイト | 公募要領(〈創業型〉第4回のように、補助金活用ナビに日程が載っていない回の公募要領が公開されていることもある) |
| J-Net21 の支援情報ヘッドライン(中小企業基盤整備機構) | 国や都道府県の補助金・助成金を、地域と分野で検索できる |
| 商工会・商工会議所 | 持続化補助金の事業支援計画書の発行と、計画づくりの相談 |
| 都道府県の労働局 | 業務改善助成金、キャリアアップ助成金の申請と相談 |
| 東京都中小企業振興公社など、自治体と外郭団体 | 創業助成事業、商店街での開業・2店舗目の助成など、自治体独自の制度 |
よくある質問
開業前でも申請できる補助金はありますか?
持続化補助金〈一般型・通常枠〉は、申請時点で事業を始めていなければ申請できません。〈創業型〉は、会社の設立(個人は開業届の開業日)が申請より前なら、店のオープン準備中でも対象になりえますが、補助事業が終わるまでに営業を始める必要があります。東京都の創業助成事業は、都内で創業を具体的に計画している個人も対象ですが、指定された創業支援事業の利用(満たすまでに概ね3か月以上)や、代表者の経営経験が通算5年未満であることなどが要件です。開業の費用は、融資と自己資金で用意するのが基本です。
東京の店で、2026年10月に申請できる制度はどれですか?
10月6日時点で、国の制度では、省力化投資補助金〈カタログ注文型〉が随時、〈一般型〉が10月16日まで、デジタル化・AI導入補助金が10月30日と12月1日の締切、新事業進出・ものづくり補助金が10月30日の締切です。従業員5人以下なら持続化補助金(11月5日〜12月15日)も使えます。都の制度では、中小企業収益力強化サポート事業(第2回)と中小企業デジタル導入促進補助事業が募集中で、創業助成事業は10月8日が締切です。キャリアアップ助成金は、取組の前日までに計画を出せば使えます。業務改善助成金(令和8年度)は、東京都では9月30日で締め切られています。
複数の店があるとき、店ごとに申請できますか?
業務改善助成金は事業場(店)ごとに申請するため、店ごとに申請できます(同じ店は年度内に1回まで)。持続化補助金と省力化投資補助金は会社ごとの申請で、持続化補助金の「従業員5人以下」は会社全体の数です。省力化投資補助金〈カタログ注文型〉は2回目以降も申請できますが、1社あたりの累計の上限は上限額の2倍までです。
補助金で買った設備を、別の店に移したり、閉店で手放したりするときは?
持続化補助金では、単価50万円(税抜き)以上の機械装置等と、店舗改装で50万円(税抜き)以上の外注工事をした場合などは処分制限財産にあたり、一定の期間、目的外の使用、譲渡、担保に入れること、廃棄などが制限されます(店舗改装は「制限されることがある」)。50万円(税抜き)以上で作ったウェブサイト・システムは、通常5年間、処分が制限されることがあります。その期間に処分するときは、事前に事務局の承認を受ける必要があり、残っている帳簿上の価額などから計算した額を納めることがあります。承認を受けずに処分すると、交付の取消しや、加算金を付けた返還の対象になります。別の店へ移すことが補助事業の目的に沿うかは、移す前に事務局に相談します。
業務改善助成金は、アルバイトの時給の引上げにも使えますか?
使えますが、引き上げる人として数えられるのは、週の所定労働時間が20時間以上で雇用保険に入っている人のうち、雇い入れから6か月を過ぎた人です。週20時間未満の短い時間のアルバイトは、人数に数えられません。
持続化補助金の上限250万円は、どうすれば使えますか?
〈一般型・通常枠〉の上限50万円に、インボイス特例(50万円)と賃金引上げ特例(150万円)の両方が上乗せされると250万円になります。賃金引上げ特例を使うと、補助事業の終了予定日を2028年3月31日にする必要があり、入金は2028年4月以降になります。
店舗の家賃や保証金に使える補助金はありますか?
持続化補助金は、いまの店舗の家賃を対象にしていません。公募要領は、販路開拓の取組の一環として新たに事務所等を借りる場合は対象になることがあるとしていますが、保証金・敷金・仲介手数料は対象外です。東京都の創業助成事業は、賃借料を対象経費に含めています。補助金でまかなえない保証金は、保証会社の日商保の「敷金半額くん」で預ける額を半額から最大0円に減らすか、営業中の店舗なら「敷金返還くん」で預けている額の半額から最大全額を返してもらう方法があります(日商保の審査と貸主の承諾が必要で、保証料がかかります)。
補助金の入金まで、資金が足りないときはどうすればよいですか?
立替えの資金は、融資で用意し、補助金が入った後に返済の計画を合わせるのが基本です。業務改善助成金の案内は、事業場内最低賃金の引上げに取り組む事業者向けの日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」を紹介しています。営業中の店舗があるなら、保証会社の日商保の「敷金返還くん」で、預けている保証金の半額から最大全額を返してもらい、立替えに充てる方法もあります。審査の書類を出してから返還までは、目安として1か月半〜2か月ほどです。これから店舗を借りるなら、「敷金半額くん」で預ける保証金を減らし、手元に残る資金を立替えに回せます。どちらも借入れではないため返済はなく、日商保の審査と貸主の承諾が必要で、保証料がかかります。
補助金の申請を、業者に頼んでもよいですか?
申請書づくりの支援を受けることはできますが、持続化補助金では、第三者の支援を受けたのに、申請の様式2にその相手と支援の金額(着手金、成功報酬など)を書かないと、虚偽の報告として不採択や交付決定の取消しになります。社外の代理人だけで商工会・商工会議所に事業支援計画書の発行を頼むこともできません。新事業進出・ものづくり補助金は、申請書を申請者自身が作ることが必須とされています。
まとめ
- 国の補助金で10月中に締切が来る主なものは、省力化投資補助金〈一般型〉(10月16日)、デジタル化・AI導入補助金と新事業進出・ものづくり補助金(10月30日)
- 持続化補助金は、〈一般型・通常枠〉第20回と〈創業型〉第4回が11月5日〜12月15日に受け付ける
- 省力化投資補助金〈カタログ注文型〉は随時受付で、従業員5人以下なら上限500万円
- 業務改善助成金(令和8年度)は、東京都など25都道府県で締切済み
- 持続化補助金の「従業員5人以下」は、店ごとではなく会社全体の数
- 業務改善助成金は、店(事業場)ごとに申請できる
- 持続化補助金〈一般型・通常枠〉は、申請時点で事業を始めていなければ申請できない
- 補助金と業務改善助成金は、原則として交付決定の前に発注・契約・支払をした経費を対象にしない
- 持続化補助金で賃金引上げ特例を使うと、入金は2028年4月以降になる
- 立替えの資金は、融資と手元の資金で用意する
- 持続化補助金では、店舗の保証金・敷金は対象外になる
- 出店時の保証金は、保証会社の日商保の「敷金半額くん」で半額から最大0円に減らせる
- 営業中の店舗の保証金は、日商保の「敷金返還くん」で、目安1か月半〜2か月で資金に戻せる(どちらも日商保の審査と貸主の承諾が必要で、保証料がかかる)
出典:中小企業基盤整備機構「2026年度(R8年度)最新の小規模事業者・中小企業向け補助金スケジュール」(補助金活用ナビ、2026年9月30日更新)、同「小規模事業者持続化補助金のご案内」「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)のご案内」「新事業進出・ものづくり補助金のご案内」、小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)」「小規模事業者持続化補助金<創業型>第4回公募 公募要領(第8版)」、中小企業省力化投資補助金「カタログ注文型とは」「一般型とは」「制度改定のご案内」、厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」「キャリアアップ助成金のご案内」「令和8年度最低賃金額答申」「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」、TOKYO創業ステーション「創業助成事業」、東京都中小企業振興公社「助成金」。