賃貸借:倉庫(場所)を借りる
倉庫を借りる場合は、民法の賃貸借の決まりと、建物の賃貸借なら借地借家法の決まりによります。
| 決まり | 中身 | 条文 |
|---|
| 修繕 | 貸主は、使用と収益に必要な修繕をする義務を負う(借主の責めによる場合を除く) | 民法第606条 |
| 費用の償還 | 借主が貸主の負担の必要費を払ったときは、直ちに償還を請求できる | 民法第608条 |
| 敷金 | 名目を問わず、賃料などの債務の担保として渡すお金。契約が終わって明け渡したあと、債務を差し引いた残りが返る | 民法第622条の2 |
| 更新 | 普通借家は、貸主が更新を拒むのに正当の事由が要る。定期借家は期間の満了で終わる | 借地借家法第26条・第28条・第38条 |
場所を借りる賃貸借では、荷物の管理、入出庫の人、ラックやフォークリフト、荷物の保険は、借りた側が自分で用意します。国土交通省は、倉庫業者でない事業者の「トランクルーム」は単なる保管場所の賃貸借の契約で、契約の内容として物品の保管の責任までは負わないのが通常だと説明しています。倉庫業者でない者が、保管の責任を負うかのように誤認させる表示や広告をすることは、倉庫業法で禁じられています(倉庫業法第25条の10)。倉庫業にあたるかどうかの判定は「倉庫業の登録が必要になる場合と手続き」で説明しています。
借りるときは、保証金を初めに預ける
賃貸借では、契約のときに保証金(敷金)を預けます。当社の記事「倉庫・工場を借りるには」の計算の例では、300坪(約992㎡)・月額賃料120万円・保証金6か月分の倉庫で、初期費用1,372万円のうち保証金720万円が52.5%を占めます(金額は計算のための例で、賃料にかかる消費税は含めていません)。

保証金は退去して明け渡したあとに返ってくるお金ですが、それまでは貸主に預けたままで、運転資金にはあてられません。退去のときは、原状回復の費用などを差し引いた残りが返ります。精算の流れは「倉庫・工場を退去するときの保証金の精算」で、契約書の確かめ方は「倉庫の賃貸借契約書で確かめること」で説明しています。
どちらを選ぶか
次の表は、比べるときの目安です。
| 選ぶ目安 | 寄託 | 賃貸借 |
|---|
| 量 | 少ない、または月による差が大きい | 多く、安定している |
| 管理 | 入出庫や在庫の管理を任せたい | 自社の人と仕組みで管理したい |
| 作業 | 保管と入出庫が中心 | 流通加工や検品など自社の作業が多い |
| 期間 | 短い、または先が読めない | 数年単位で使い続ける |
| 資金 | 初めに大きな資金を出したくない | 保証金や入居の工事の資金を用意できる |
寄託か賃貸借かは、倉庫の使い方の一部ずつで組み合わせることもできます。たとえば、通年の在庫は借りた倉庫に置き、季節で増える分だけを倉庫業者に預ける方法です。保管から配送までをまとめて任せる場合の比べ方は「物流を3PLに任せるか、自社で倉庫を借りるか」で、冷凍・冷蔵の荷物の場合は「冷凍倉庫・冷蔵倉庫を借りる・預けるときに確かめること」で説明しています。
借りる倉庫の保証金を抑える
賃貸借を選ぶなら、保証金の負担も比べる項目に入れます。候補の物件ごとに、保証金の額(月額賃料×月数)、償却(退去のときに差し引く分)、原状回復の範囲を並べて比べます。
当社の「敷金半額くん」は、新しく借りる物件の敷金・保証金を、半額から最大0円まで減らすサービスで、物流倉庫などの倉庫でも相談できます。減らした分の代わりに、当社が貸主に保証を提供します。先の例なら、保証金720万円のうち360万〜720万円を、入居の工事や運転資金に回せます。
すでに借りている倉庫の保証金は、「敷金返還くん」で、入居したまま現金で取り戻せます。どちらも、利用には当社の審査と貸主の承諾が必要で、当社への保証料がかかります。
よくある質問
寄託契約とは、どんな契約ですか?
ある物を保管することを相手に委託し、相手がそれを承諾する契約です(民法第657条)。倉庫業者に荷物を預ける契約は寄託で、倉庫業者が荷物を保管する責任を負います。
レンタル倉庫を借りるのは、寄託ですか、賃貸借ですか?
場所を借りて自分で荷物を出し入れする契約は、賃貸借の形です。国土交通省は、倉庫業者でない事業者のトランクルームは保管場所の賃貸借の契約で、保管の責任までは負わないのが通常だと説明しています。契約書で、保管の責任を誰が負うかを確かめます。
預けた荷物が壊れたら、倉庫業者は賠償しますか?
商法では、倉庫営業者は注意を怠らなかったことを証明しなければ責任を免れません(商法第610条)。ただし、約款が別に定めていることが多く、2026年4月からの標準倉庫寄託約款では、倉庫業者の故意または重大な過失に限り、請求する側が証明します。賠償の額は時価で、火災保険の金額または寄託価額が上限です。
預けた荷物は、いつでも引き取れますか?
民法では、寄託者はいつでも返還を請求できます(民法第662条)。標準倉庫寄託約款(乙)では、出庫するときは倉庫業者が指定した事項を書いた書面を出し(第24条)、保管料などは倉庫業者が定めた日か保管期間の満了の日までに払います(第49条第1項)。全量を出庫するときは、すべての債務を直ちに払う必要があり(第49条第2項)、料金などを払わないと出庫に応じてもらえないことがあります(第25条)。
倉荷証券と在庫証明書は、何が違いますか?
倉荷証券は、預けた荷物の引渡しなどを目的とした有価証券で、作られたときはこれと引き換えでなければ荷物を返してもらえません(商法第613条)。質権の目的にされることもあります(商法第614条)。発行できるのは、国土交通大臣の許可を受けた倉庫業者だけです(倉庫業法第13条)。在庫証明書は、ある日の在庫を証明する書面で、譲り渡したり担保に入れたりはできません(標準倉庫寄託約款(乙)第15条)。
寄託でも保証金はかかりますか?
標準倉庫寄託約款には、賃貸借の敷金のような保証金の定めはありません。料金の支払いの条件は倉庫業者の約款と契約で決まるため、契約の前に確かめます。
倉庫を借りるときの保証金を抑える方法はありますか?
候補の物件ごとに保証金の月数を比べて交渉するほか、保証金を保証に置き換えて減らす方法があります。当社の敷金半額くんでは、新しく借りる倉庫の保証金を、半額から最大0円まで減らせます(当社の審査と貸主の承諾が必要で、保証料がかかります)。
まとめ
- 寄託は荷物を預ける契約で、倉庫業者が保管の責任を負う
- 賃貸借は場所を借りる契約で、借りた側が自分で荷物を管理する
- 倉庫業者でない事業者のトランクルームは、保管場所の賃貸借で、保管の責任までは負わないのが通常
- 個数や重さで決める寄託の料金は預ける量で変わり、賃貸借の賃料は量にかかわらず変わらない
- 商法では倉庫営業者が無過失を証明するが、標準の約款では故意・重大な過失に限られる
- 2026年4月の標準倉庫寄託約款では、付随する作業の料金と賠償の上限が定められた
- 新しい約款を既存の契約に適用するには、寄託者の同意が要る
- 保管期間が過ぎて引取りの請求や催告に応じないと、約款により競売や任意の売却をされることがある
- 倉荷証券は質権の目的にされることがあるが、在庫証明書は担保に入れられない
- 賃貸借では保証金を預け、明け渡しのあとに差し引きの残りが返る
- 倉庫を借りるなら、保証金を保証に置き換えて減らし、その分を入居の工事や運転資金に回せる
出典:国土交通省「倉庫業法」「倉庫業法施行規則等運用方針」「標準倉庫寄託約款(乙)」(令和8年4月1日以降)「標準倉庫寄託約款(令和8年4月1日施行)改正の内容について」、民法第601条・第606条・第608条・第622条の2・第657条〜第664条の2、商法第599条〜第601条・第610条〜第614条・第616条・第617条、借地借家法第26条・第28条・第38条、倉庫業法第8条・第13条・第25条の10。