冷凍機の点検(フロン排出抑制法)
フロン類を冷媒に使う業務用の冷凍・冷蔵機器や空調機器(第一種特定製品)の「管理者」には、フロン排出抑制法により、点検などの義務があります。環境省の「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き」によると、次のとおりです。
| 義務 | 中身 |
|---|
| 簡易点検 | すべての機器を、3か月に1回以上点検する |
| 定期点検 | 圧縮機の電動機の定格出力が7.5kW以上の冷凍・冷蔵機器は、1年に1回以上、十分な知見を有する者が自ら行うか、立ち会って点検する |
| 記録 | 点検や整備の記録を、機器を廃棄するときのフロン類の引渡しの日から3年間保存する |
同じ手引きは、管理者は原則として機器の所有者で、契約書などで保守・修繕の責務を所有者以外が負うと決めている場合は、その責務を負う者が管理者になるとしています。冷凍・冷蔵の設備がある倉庫を借りるときは、冷凍機の保守・修繕を誰が負うかを契約書で確かめ、点検を誰が行い、記録を誰が保存するかまで決めておきます。
冷凍・冷蔵倉庫業は、食品衛生法の届出
2021年6月1日から、食品衛生法の改正で、営業の許可が要らない業種の多くに、保健所への営業の届出が必要になりました。厚生労働省の資料では、食品の貯蔵や運搬だけをする営業は届出が要らない一方で、冷凍・冷蔵倉庫業は、この例外から除かれており、届出の対象です。それまで許可が要った「食品の冷凍又は冷蔵業(食品の冷蔵・冷蔵保管業)」も、届出に移りました。
届け出る内容は、届出者の氏名、施設の所在地、営業の形態、主に取り扱う食品、食品衛生責任者の氏名で、許可と違い施設の基準はなく、更新も要りません。あわせて、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理が求められています。自社の食品を借りた倉庫に置く場合の扱いや、届出の窓口・様式は、倉庫の所在地を管轄する保健所に確かめます。
他社の荷物を預かるなら、冷蔵倉庫として倉庫業の登録
他社から冷凍・冷蔵の荷物を預かって保管料を受け取るなら、倉庫業の登録が必要で(倉庫業法第3条)、倉庫の種類は「冷蔵倉庫」になります。登録の申請では、冷蔵室ごとの規模や温度帯、冷凍機の能力を書いた冷蔵施設明細書などを出し、告示の計算の基準を満たしているかの審査を受けます。倉庫を借りて倉庫業を営む場合は、倉庫を使う権利があることを、倉庫の賃貸借契約書の写しで示します(建物で登録を申請する場合、土地の使用の権原を示す書類は要りません)。登録の流れは「倉庫業の登録が必要になる場合と手続き」で説明しています。
冷凍・冷蔵倉庫の保証金
冷凍・冷蔵の設備がある倉庫を借りる場合も、保証金(敷金)は「月額賃料×月数」で決まることが多く、退去して倉庫を明け渡したあと、未払いの賃料などを差し引いた残りが返ってきます(民法第622条の2第1項)。冷凍機の撤去や断熱の工事など、退去のときの原状回復の範囲が広いと、返ってくる保証金はその分少なくなります。賃料と保証金の月数は物件と貸主によって違うため、候補の物件ごとに、保証金の額、償却(退去のときに差し引く分)、原状回復の範囲を並べて比べます。
| 月額賃料 | 3か月分 | 6か月分 | 12か月分 |
|---|
| 100万円 | 300万円 | 600万円 | 1,200万円 |
| 200万円 | 600万円 | 1,200万円 | 2,400万円 |
| 300万円 | 900万円 | 1,800万円 | 3,600万円 |
保証金の月数と金額の考え方は「倉庫・工場の敷金と保証金」で、契約書の確かめ方は「倉庫の賃貸借契約書で確かめること」で説明しています。
保証金を保証に置き換える
当社の「敷金半額くん」は、新しく借りる物件の敷金・保証金を、半額から最大0円まで減らすサービスで、冷凍・冷蔵倉庫などの倉庫でも相談できます。減らした分の代わりに、当社が貸主に保証を提供します。たとえば月額賃料200万円・保証金6か月分(1,200万円)なら、600万〜1,200万円を、冷凍機の更新や運転資金に回せます(金額は計算のための例です)。
すでに借りている倉庫の保証金は、「敷金返還くん」で、入居したまま現金で取り戻せます。どちらも、利用には当社の審査と貸主の承諾が必要で、当社への保証料がかかります。
よくある質問
冷蔵倉庫と冷凍倉庫は、何が違いますか?
倉庫業法の区分(倉庫業の登録)では、どちらも「冷蔵倉庫」で、冷蔵室の保管温度が常に摂氏10度以下に保たれることが登録の基準です。その中で、保管温度により、C3級(マイナス2度を超え10度以下)からSF4級(マイナス50度以下)まで10の区分に分かれます(2024年4月から)。マイナス18度以下は、F級とSF級の区分です。
温度帯の区分は、なぜ細かくなったのですか?
国土交通省は、冷凍食品の保管量の増加や電力料金の高騰を受けて、過冷凍による品質の劣化を防ぎ、保管料の高騰を抑え、環境への負荷を減らすためと説明しています。2024年4月1日から施行され、それ以前から登録を受けている倉庫業者と、施行日に申請中だった倉庫業者は、従前の区分のままです。
冷蔵倉庫に預けるときは、何を決めますか?
荷物に合う保管室の温度帯(告示の級)、保管期間、荷役で特別な注意が要るかを寄託の申込みで示します。標準冷蔵倉庫寄託約款では、保管期間は特約がなければ3か月で、冷蔵室を区画して容積で料金を決める容積建保管も特約で行えます。
冷蔵倉庫に預けた荷物の火災保険料は、誰が払いますか?
標準冷蔵倉庫寄託約款では、寄託者が寄託価額を示して火災保険の契約を委託したときに、倉庫業者が寄託者のために荷物を火災保険にかけ、寄託者がその火災保険料と保険の契約にかかった費用を払います(第33条・第34条)。保険金額は寄託価額です(第35条)。火災で冷凍・冷蔵の設備が壊れて生じた損害は、反対の意思がない限り、この保険の対象から除かれます。
冷蔵倉庫は、どの地域に多いですか?
国土交通省の登録倉庫の一覧(2024年3月31日時点)では、冷蔵倉庫の棟数は北海道257棟、静岡県241棟、大阪府211棟の順に多く、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の1都3県で634棟(全体の19.0%)です。
冷凍機の点検は、借りた側がしなければなりませんか?
フロン排出抑制法の管理者は、原則として機器の所有者です。契約書などで保守・修繕の責務を借りた側が負うと決めている場合は、借りた側が管理者になり、3か月に1回以上の簡易点検や、7.5kW以上の冷凍・冷蔵機器の年1回以上の定期点検を行います。契約の前に分担を確かめます。
冷凍・冷蔵倉庫業には、保健所の許可が要りますか?
2021年6月1日からは、許可ではなく営業の届出の対象です。食品の貯蔵や運搬だけをする営業は届出が要りませんが、冷凍・冷蔵倉庫業はこの例外から除かれています。
冷凍・冷蔵倉庫の保証金を抑える方法はありますか?
候補の物件ごとに保証金の月数を比べて交渉するほか、保証金を保証に置き換えて減らす方法があります。当社の敷金半額くんでは、新しく借りる倉庫の保証金を、半額から最大0円まで減らせます(当社の審査と貸主の承諾が必要で、保証料がかかります)。
まとめ
- 倉庫業法の冷蔵倉庫は、冷蔵室の保管温度が常に摂氏10度以下に保たれる倉庫
- 2024年4月から、温度帯の区分はC3級からSF4級までの10になった
- 区分を細かくしたのは、過冷凍による品質の劣化を防ぎ、保管料の高騰を抑えるため
- 登録倉庫28,406棟のうち、冷蔵倉庫は3,329棟(2024年3月31日時点)
- 冷蔵倉庫に預けるときは、荷物に合う温度帯を級で指定する
- 標準冷蔵倉庫寄託約款では、寄託者が委託したときに倉庫業者が火災保険にかけ、保険料は寄託者が払う
- 借りるときは、冷凍機の持ち主と保守・修繕の分担、電気、原状回復の範囲を契約で確かめる
- 冷凍機の点検の義務は、フロン排出抑制法の管理者(原則は所有者)が負う
- 冷凍・冷蔵倉庫業は、2021年6月から食品衛生法の営業の届出の対象
- 冷凍・冷蔵の倉庫を借りるなら、保証金を保証に置き換えて減らし、その分を設備や運転資金に回せる
出典:国土交通省「倉庫業法」「倉庫業登録申請の手引き」「倉庫業法施行規則等運用方針」「倉庫業法第三条の登録の基準等に関する告示」「「倉庫業法第三条の登録の基準等に関する告示」の改正について」(令和6年1月31日)「登録倉庫事業者棟別リスト」(令和6年3月31日時点)「標準冷蔵倉庫寄託約款(乙)」「標準倉庫寄託約款(乙)」(令和8年4月1日以降)「標準倉庫寄託約款(令和8年4月1日施行)改正の内容について」、厚生労働省「営業届出制度の創設と営業許可制度の見直し」、環境省・経済産業省「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き 第3版」、倉庫業法施行規則第3条の3・第3条の4・第3条の11・別表、倉庫業法第3条、民法第606条・第622条の2。