倉庫業にあたるかどうか
倉庫業法は、倉庫業を「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」と定めています(第2条第2項)。寄託は、物を預かって保管することを引き受ける契約で、預かった側が物を保管する責任を負います。国土交通省の「倉庫業法施行規則等運用方針」は、ここでいう保管を行う営業を、物品の滅失や損傷を防ぎ、寄託された時点の状態を保って保管することに対して対価を得る営業と説明しています。
同省の「倉庫業登録申請の手引き」は、倉庫業にあたらない例として次のものを挙げています。
| 区分 | 倉庫業にあたらない例 |
|---|
| 寄託でないもの | 消費寄託(預金など)、運送の契約にもとづく運送の途中での一時的な保管(上屋、保管場、配送センターなど)、修理などの役務のための保管、自家保管(自分の物の保管) |
| 営業でないもの | 協同組合の組合員に対する保管の事業 |
| 政令で除かれているもの | 銀行の貸金庫などの保護預り、修理などの役務の前後に付随して行う保管、外出時の携行品の一時預かり、駐車場・駐輪場 |

運送会社が運送の契約にもとづいて一時的に荷物を置く配送センターは、運送の途中の保管で倉庫業にあたりません。一方で、取引先の商品を預かり、なくなったり傷んだりしないように保管することに対価を得るなら、寄託を受けた物品の保管として、倉庫業の登録が要ります。どちらにあたるか迷うときは、最寄りの運輸局などに相談します。
場所を貸すだけなら、倉庫業ではない
運用方針は、倉庫業者のトランクルームは寄託契約にもとづいて荷物の保管の責任を負う一方、倉庫業者でない事業者の「トランクルーム」は、単なる保管場所の賃貸借の契約で、契約の内容として物品の保管の責任までは負わないのが通常だと説明しています。場所を貸すだけで保管の責任を負わないなら倉庫業ではありませんが、倉庫業者でない者が、「確実な保管」「責任を持ってお預り」のように、保管の責任を負うかのように人を誤認させる表示や広告、その他の行為(営業員の勧誘を含む)をすることは禁じられています(倉庫業法第25条の10第1項、運用方針)。国土交通大臣はその修正などを命じることができ、命令に違反すると50万円以下の罰金です(同条第2項・第29条)。
なお、運用方針は、建築基準法でいう「倉庫業を営む倉庫」は倉庫業法上の倉庫と同じ意味ではなく、寄託契約にもとづかない賃貸方式の倉庫でも、社会通念上の倉庫業にあたる場合は建築基準法の規制の対象になるとしています。場所を貸す事業でも、建物の用途と用途地域は、自治体の建築部局に確かめます。荷物を預ける寄託と、場所を借りる賃貸借の違いは「倉庫の寄託契約と賃貸借契約の違い」で説明しています。
営業倉庫と自家用倉庫の違い
倉庫業者が倉庫業に使う倉庫を、一般に営業倉庫と呼びます。自社の商品や原材料を置くための倉庫は自家用倉庫で、倉庫業の登録は要りません。
| 比べること | 営業倉庫 | 自家用倉庫 |
|---|
| 置く物 | 他社から預かった物 | 自社の物 |
| 倉庫業の登録 | 要る(倉庫業法第3条) | 要らない |
| 建物の基準 | 倉庫業法の施設の基準。建築基準法・消防法などにも合うこと | 建築基準法・消防法などの一般の基準 |
| 管理の体制 | 倉庫ごとに倉庫管理主任者を選任する | 自社の決まりで管理する |
| 利用者との約束 | 倉庫寄託約款を定めて届け出る。料金などを掲示する | なし |
国土交通省の手引きは、営業倉庫の施設の基準を、建物を規制する一般の法律である建築基準法・消防法などより特に高いものと説明しています。たとえば、耐火性能または防火性能を持つこと(建築基準法では一定の条件の建物にしか義務づけていない)や、消火器具を備えること(消防法では床面積150㎡以上の建物にしか義務づけていない)です。同じ手引きは、消防白書から、倉庫の火災の件数を示しています。
| 年 | 倉庫の火災 | うち営業倉庫 |
|---|
| 2021年 | 461件 | 1件 |
| 2022年 | 482件 | 5件 |
| 2023年 | 605件 | 1件 |
手引きは、営業倉庫の火災の件数は営業倉庫以外の倉庫と比べて著しく少なく、火災保険の料率も低いものになっていると説明しています。
倉庫の種類と、保管できる物
倉庫業の登録では、倉庫ごとに、倉庫の種類と保管する物品の種類を定めます(倉庫業法第4条第1項)。倉庫業法施行規則は、倉庫を次の10種類に分け、種類ごとに保管できる物品を定めています(同規則第3条〜第3条の12)。
| 倉庫の種類 | 保管できる物品 |
|---|
| 1類倉庫 | 第1類〜第6類物品(第7類物品を除く) |
| 2類倉庫 | 第2類〜第6類物品 |
| 3類倉庫 | 第3類〜第5類物品 |
| 野積倉庫 | 第4類・第5類物品 |
| 水面倉庫 | 第5類物品 |
| 貯蔵槽倉庫 | 第1類・第2類物品のうちばらの物品、第6類物品 |
| 危険品倉庫 | 第7類物品、指定数量未満の危険物、一部の高圧ガス |
| 冷蔵倉庫 | 第8類物品 |
| トランクルーム | 消費者(個人)から預かる物品(倉庫業法第2条第3項) |
| 特別の倉庫 | 災害の救助など公共の福祉のために国土交通大臣が定める倉庫 |
物品の区分は、同じ規則の別表で次のように決まっています。
| 区分 | 物品 |
|---|
| 第1類 | 第2類〜第8類以外の物品 |
| 第2類 | 麦、でん粉、飼料、塩、野菜類、果実類、肥料、鉄製品その他の金物製品、セメントなど |
| 第3類 | 板ガラス、陶磁器、タイル、木炭、農業用機械など、湿気や気温の変化で変質しにくい物品 |
| 第4類 | 地金、鉄材、ケーブル、鉱物、被覆した大型機械、木材、ドラム缶に入れた物品など、野積で保管できる物品 |
| 第5類 | 原木など、水面で保管できる物品 |
| 第6類 | 容器に入れていない粉状または液状の物品 |
| 第7類 | 危険物(指定数量未満のものを除く)と高圧ガス(一部を除く) |
| 第8類 | 農畜水産物の生鮮品や凍結品などの加工品、その他摂氏10度以下で保管するのが適当な物品 |
1類倉庫は、国土交通省の手引きによると、第7類物品(危険物と高圧ガス)と第8類物品(摂氏10度以下で保管する物品)を除くすべての物品を保管できます。同省の登録倉庫の一覧(2024年3月31日時点)を集計すると、種類ごとの登録の棟数は次のとおりで、1類倉庫が19,003棟と最も多くなっています。

1棟で複数の種類の登録を受けている倉庫は、それぞれの種類に数えています。都道府県ごとの登録の棟数は、愛知県2,260棟(全体の8.0%)、大阪府2,121棟(7.5%)、神奈川県1,751棟(6.2%)、千葉県1,653棟(5.8%)、埼玉県1,565棟(5.5%)の順に多く、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の1都3県で6,349棟(22.4%)です。冷凍・冷蔵の荷物を預かる場合の決まりは「冷凍倉庫・冷蔵倉庫を借りる・預けるときに確かめること」で説明しています。
施設の基準(1類倉庫の場合)
1類倉庫の施設の基準は、倉庫業法施行規則第3条の3・第3条の4と、「倉庫業法第三条の登録の基準等に関する告示」で決まっています。
| 基準 | 中身 |
|---|
| 使用の権原 | 倉庫と敷地について、所有権や賃借権などの使う権利があること |
| 法令への適合 | 建築基準法などの法令の規定に合っていること(検査済証などで確かめる) |
| 建物 | 土地に定着し、屋根と周囲に壁があること |
| 強度 | 床は1㎡あたり3,900N(約400kg)以上の積載荷重、壁などは1㎡あたり2,500N以上の荷重に耐えること |
| 防水・防湿 | 倉庫内への水の浸透を防ぎ、床に防湿の措置があること |
| 遮熱 | 定められた遮熱の措置があること |
| 耐火・防火 | 建物が耐火性能または防火性能を持つこと |
| 災害の防止 | 危険物などを取り扱う施設の近くにある倉庫は、災害の防止に有効な構造や設備があること |
| 区画 | 同じ建物に事務所や店舗など火気を使う施設がある場合は、区画されていること |
| 消火器具 | 消火器などを備えること(延べ面積150㎡未満でも150㎡の倉庫とみなす) |
| 防犯・そ害 | 防犯上有効な構造と設備、ねずみの害を防ぐ設備があること |
壁などの強度の基準は、ラックで保管する場合や、外壁の近くに荷物を置かないことが明らかな場合など、荷崩れのおそれのない措置があるときは除かれます(告示第3条第1項)。自社の物を置く倉庫にはこれらの基準は当てはまりませんが、重い物を置くときに、物件の床の強さを比べる目安になります。
倉庫管理主任者
倉庫業者は、倉庫ごとに倉庫管理主任者を選任し、火災の防止その他の倉庫の管理に関する業務を行わせなければなりません(倉庫業法第11条)。選任しないと、50万円以下の罰金です(第29条)。
| 決まり | 中身 |
|---|
| 人数 | 倉庫ごとに1人。同じ敷地内の倉庫など機能のうえで一体とみなされる複数の倉庫は、同じ人が兼ねられる。同じ営業所などが直接管理・監督する同じ都道府県内の複数の倉庫も、有効面積の合計(倉庫の種類により換算)が1万㎡以下なら、同じ人が兼ねられる(施行規則第8条・告示第20条) |
| 要件 | 倉庫の管理の業務で2年以上の指導監督的な実務経験、3年以上の実務経験、国土交通大臣の定める講習の修了などのいずれか(施行規則第9条) |
| 業務 | 火災の防止などの施設の管理、倉庫の管理の業務の適正な運営、労働災害の防止の総括と、現場の従業員の研修(施行規則第9条の2) |
手引きは、倉庫管理主任者は常駐(常時の滞在)や専任(兼務の禁止や制限)を求める制度ではないとしています。ただし運用方針は、倉庫管理主任者は倉庫の管理の業務に一義的に責任を負うため、その倉庫業者の正社員かこれと同視できる者であることを求め、非常勤の職員など緊急時に十分な対応ができない者は選任できないとしています。経験のある人がいない会社は、講習を修了した人を選任します。