市場全体:都心5区の空室率と募集賃料
三幸エステートの「オフィスマーケット調査月報 東京都心5区」(2026年10月1日時点)によると、都心5区の空室率は全体の平均で1.48%でした。規模別に見ると、空室率はビルが小さいほど高くなっています。
| ビルの規模(1フロアの面積) | 都心5区 | 東京23区 |
|---|
| 大規模ビル(200坪以上) | 0.97% | 1.38% |
| 大型ビル(100〜200坪) | 1.43% | 1.49% |
| 中型ビル(50〜100坪) | 2.53% | 2.64% |
| 小型ビル(20〜50坪) | 3.39% | 3.14% |
| 全体の平均 | 1.48% | 1.77% |
空室率は、貸すことのできる面積(貸付面積)の合計に対する、テナントが入居しておらず契約の後すぐに入居できる面積(現空面積)の割合です。大規模ビルの空室率が1%を切る一方で、1フロア20〜50坪の小型ビルは3%を超えています。
都心5区の空室率は下がり続けており、全体の平均は2024年1月の5.10%、2025年1月の3.84%、2026年1月の1.77%から、10月には1.48%になりました。小型ビルも、2024年1月の5.66%から3.39%に下がっています。
募集賃料は上がり続けている
同じ月報では、都心5区の募集賃料(共益費込み)の平均は坪2万3,766円で、前月の2万3,609円から157円上がりました。2026年1月の2万1,911円から上昇が続き、5月以降は毎月上がっています。
募集の際の敷金・保証金(募集預託金)の平均は1坪あたり23万2,143円で、賃料の9.8か月分でした。前月から374円上がりましたが、月数は前月と同じ9.8か月分です。
成約は前年より減っている
一方、2026年9月に都心5区で成約した面積は4万3,708坪で、前年の同じ月より34.6%少なくなりました。1月からの累計は46万977坪です。減り方が大きいのは1フロア200坪以上の大規模ビルで、9月の成約面積は1万9,358坪と、前年の同じ月より53.1%少なくなっています。
入居済みの面積の増減を表すネット・アブソープション(吸収需要)は、1月から9月までで21万4,999坪の増加でした。前年の同じ期間と比べると、15万3,437坪少なくなっています。
建築中のビルの募集が増えている
10月1日時点で募集中の面積44万9,165坪(3,488棟)のうち、建築中のビルの面積は13万6,846坪(38棟)で、全体の30.5%を占めます。前月より21.6%増えました。
そのうち、竣工が1年以上先のビルの面積は、前月の9万2,939坪から11万8,504坪に増えています。これから竣工する新しいビルは、既存のビルにとって、借りる会社の候補として比べられる相手になります。
東京の空室の数と、区ごとの違い
ここからは、東京で募集中のオフィスの空室3,831区画の集計です。空室は都心5区に集まり、区によって賃料の水準と内装付きの割合が違います。以下の表の坪単価のかっこ内は、坪単価を集計した区画の数です。
| 地域 | 区画数 | 坪単価(中央値) | 敷金(中央値) |
|---|
| 都心5区 | 2,718 | 2万4,500円(477) | 8か月分 |
| ほかの18区 | 1,012 | 1万6,400円(241) | 10か月分 |
| 市部 | 101 | 1万2,300円(58) | 10か月分 |
区ごとの空室の数と募集条件
募集中の区画が50以上ある12区を比べました。
| 区 | 区画数 | 坪単価(中央値) | 敷金(中央値) | 内装付き |
|---|
| 港区 | 760 | 2万5,000円(105) | 8か月分 | 16.4% |
| 中央区 | 638 | 2万5,000円(109) | 8か月分 | 18.3% |
| 千代田区 | 633 | 2万3,000円(120) | 6か月分 | 17.2% |
| 新宿区 | 359 | 1万9,000円(49) | 8か月分 | 7.8% |
| 渋谷区 | 328 | 2万9,000円(94) | 8か月分 | 12.5% |
| 品川区 | 289 | 2万1,000円(32) | 12か月分 | 5.5% |
| 江東区 | 188 | 1万4,900円(43) | 12か月分 | 1.6% |
| 文京区 | 113 | 1万7,200円(38) | 6か月分 | 19.5% |
| 台東区 | 103 | 1万4,900円(31) | 6か月分 | 6.8% |
| 豊島区 | 97 | 1万9,500円(17) | 10か月分 | 3.1% |
| 大田区 | 62 | 1万4,000円(23) | 6か月分 | 0.0% |
| 目黒区 | 57 | 2万4,600円(17) | 8か月分 | 29.8% |
坪単価の中央値がもっとも高いのは渋谷区の2万9,000円で、港区・中央区の2万5,000円が続きます。品川区と江東区は、敷金の中央値が12か月分と、ほかの区より重くなっています。坪単価のかっこ内の数が少ない区は、中央値が振れやすいことに注意が要ります。
内装付きの割合は、目黒区(29.8%)・文京区(19.5%)・中央区(18.3%)で高く、江東区(1.6%)・大田区(0.0%)では低くなっています。ただし、募集情報に内装の記載がない区画も多く、区による差には、記載の多さの違いも含まれます。
広さ別の募集条件
広さ別に見ると、募集中の区画がもっとも多いのは20〜50坪で、全体の45%を占めます。敷金の月数は、広い区画ほど多くなります。
| 広さ | 区画数 | 坪単価(中央値) | 敷金(中央値) | 内装付き | すぐ入居 |
|---|
| 20坪未満 | 95 | 2万8,000円(41) | 4か月分 | 68.4% | 32.6% |
| 20〜50坪 | 1,722 | 1万9,000円(442) | 6か月分 | 12.1% | 58.4% |
| 50〜100坪 | 986 | 2万1,000円(200) | 10か月分 | 18.1% | 47.4% |
| 100〜200坪 | 519 | 1万8,000円(59) | 12か月分 | 7.1% | 37.2% |
| 200坪以上 | 509 | 2万6,000円(34) | 12か月分 | 0.8% | 27.9% |
20坪未満の区画は、7割近くが内装付きで、小さい区画では内装付きが中心になっています。100坪以上では、内装付きは1割未満です。「すぐ入居」は、即入居か、入居の日付が10月までの区画の割合です。
敷金の月数の分布
敷金の月数が分かる2,713区画では、4〜6か月分が32.2%、11か月分以上が35.4%でした。広さによって、分布は大きく変わります。

100坪以上の区画では、7〜9割が11か月分以上の敷金です。100坪・坪2万円の区画で敷金12か月分なら、入居する会社は2,400万円を預けることになります。
一方、20〜50坪では、4〜6か月分が45%と最も多くなっています。同じ広さの多くの区画より敷金が重い区画は、借りる側の初期費用の比べ方で候補から外れることがあります。敷金の決まり方は「オフィスの敷金の相場」で説明しています。