飲食店の開業に必要な資金
飲食店の開業資金は、大きく次の4つに分けて見積もります。
| 区分 | 主な中身 |
|---|
| 物件を借りる費用 | 保証金(敷金)、前払いの賃料、仲介手数料 |
| 内装・設備 | 内装工事、厨房設備、空調・給排水・ガス・電気の工事、看板 |
| 什器・備品 | 食器、調理器具、テーブルと椅子、レジ・決済端末 |
| 開店前後の運転資金 | 開店前の仕入れ、人件費、広告費、開店後数か月分の家賃と人件費 |
飲食店で特に大きくなりやすいのが、物件を借りる費用と、厨房や給排水の工事です。事務所用の物件と違って、厨房の排気や排水、ガスの容量など、飲食店として使える設備がそろっているかで工事費が大きく変わります。
物件を借りる費用の例
たとえば、月額賃料40万円の店舗を借りる場合の初期費用は次のようになります(保証金の月数は計算のための例で、実際は物件によって違います)。
| 項目 | 金額 |
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| 保証金(賃料10か月分の場合) | 400万円 |
| 前払いの賃料(1か月分) | 40万円 |
| 仲介手数料(上限・賃料1か月分の1.1倍) | 44万円 |
| 合計 | 484万円 |
内装や厨房設備の前に、物件を借りるだけで500万円近くかかる計算です。保証金は退去するまで戻らないため、開店後の運転資金には使えません。店舗の敷金・保証金の仕組みは「店舗の敷金・保証金とは」で詳しく説明しています。
資金計画の例
必要な資金と集め方を並べ、両方の合計をそろえたものが資金計画です。先の店舗で開業する場合の例を示します(金額は計算のための例です)。

| 必要な資金 | 金額 |
|---|
| 物件を借りる費用 | 484万円 |
| 内装・厨房設備 | 700万円 |
| 什器・備品 | 120万円 |
| 運転資金(開店後3か月分) | 396万円 |
| 合計 | 1,700万円 |
| 集め方 | 金額 |
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| 自己資金 | 400万円 |
| 日本政策金融公庫の融資(設備資金・運転資金) | 1,300万円 |
| 合計 | 1,700万円 |
必要な資金のうち、保証金の400万円は退去まで戻らないお金です。つまり、集めた1,700万円のうち約4分の1は、開店後に使えない形で店舗の貸主に預けることになります。
飲食店が使える融資
日本政策金融公庫の生活衛生貸付
日本政策金融公庫の国民生活事業には、飲食店や喫茶店、理容・美容、クリーニング、旅館などの「生活衛生関係営業」向けの貸付があります。飲食店が使える主な制度は次のとおりです。
| 制度 | 融資限度額 | 返済期間 |
|---|
| 一般貸付(生活衛生貸付) | 飲食店・喫茶店は7,200万円(設備資金) | 13年以内 |
| 生活衛生新企業育成資金 | 一般貸付の限度額に1,500万円を上乗せ(設備資金8,700万円〜) | 設備資金20年以内(据置5年以内) |
| 生活衛生改善貸付 | 2,000万円(無担保・無保証人) | 10年以内 |
生活衛生新企業育成資金は、生活衛生関係の事業を創業する人や、創業後おおむね7年以内の人が使えます。飲食店を新しく開く場合、一般の生活衛生貸付より大きな額を、長い期間で借りられます。
一般貸付(生活衛生貸付)を使うには、原則として都道府県知事の「推せん書」が必要です。ただし、設備資金の申込金額が500万円以下なら推せん書はいりません。生活衛生改善貸付は、生活衛生同業組合などの経営指導を受けていて、組合の長などの推薦を受けた小規模な事業者(常時使用する従業員が5人以下)が使えます。
新規開業・スタートアップ支援資金
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」も、飲食店の開業に使えます。融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金20年以内、運転資金10年以内です。女性、35歳未満または55歳以上の人、市区町村の創業支援を受けて証明書を取得した人などは、低い利率(特別利率)の対象になります。運転資金も借りたい場合は、こちらと組み合わせて相談します。
自治体の制度融資
都道府県や市区町村の制度融資は、信用保証協会の保証を付けて銀行や信用金庫から借りる融資です。東京都の制度融資「創業」は、融資限度額が3,500万円で、区市町村の創業支援を受けて証明を受けると、融資利率が0.4%優遇されます。地元の信用金庫などと取引を始めておくと、2店舗目を出すときなどに相談しやすくなります。
創業時の融資の詳しい使い方は「起業・開業の資金調達」、日本政策金融公庫の制度全体は「日本政策金融公庫の融資」で説明しています。
飲食店が使える補助金
飲食店の開業や販路開拓に使える補助金もあります。
| 補助金 | 上限(補助率) |
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| 持続化補助金〈創業型〉 | 200万円(2/3) |
| 持続化補助金〈一般型・通常枠〉 | 50万円(2/3) |
| 東京都「創業助成事業」 | 400万円(2/3以内) |
持続化補助金は、チラシやウェブサイトなど、新しい顧客を増やす販路開拓の取り組みに使えます(〈創業型〉は開業して間もない事業者向け)。東京都の創業助成事業は、賃借料や広告費、従業員の人件費なども対象です。
どの補助金も審査があり、対象になる経費が決まっています。持続化補助金は、公募要領で、通常の事業活動のための費用は対象外とされています。また、補助金は後払いなので、開業資金として当てにはできません。補助金の流れは「返済不要の資金調達」で詳しく説明しています。