不動産会計

家賃保証料の勘定科目と仕訳|消費税は非課税

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家賃保証料の勘定科目と仕訳|消費税は非課税

オフィスや店舗を借りるときに家賃保証会社を使うと、契約時の初回保証料や、毎月・毎年の保証料を払います。この保証料は、賃料と同じ請求書や引き落としにまとめられることも多いため、賃料と同じ科目・同じ税区分で処理してしまいがちです。

しかし、事業用の賃料が消費税の課税取引であるのに対し、家賃保証料は「信用の保証」の対価として消費税が非課税です。賃料とまとめて課税で処理すると、控除できない消費税を控除していることになります。また、初回保証料は保証の期間によって、支払ったときに費用にできるかどうかが変わります。

この記事では、家賃保証料の種類、消費税の扱い、勘定科目と仕訳、初回保証料を費用にする時期を、消費税法と国税庁の通達をもとに整理します。賃料と一緒に引き落とされる場合の仕訳、契約の途中で解約した場合、保証会社が賃料を立て替えた場合、個人事業主の場合など、実務で迷いやすい場面もまとめます。

家賃保証料とは

家賃保証料は、借主が家賃保証会社と保証委託契約を結び、賃料などの支払いを保証してもらう対価として払う料金です。借主が賃料を払えなくなったときは、保証会社が貸主に立て替えて払い、あとで借主に請求します。

保証料の払い方は保証会社や契約によって違いますが、主に次の3つがあります。

種類払う時期
初回保証料契約するとき
月額保証料毎月(賃料と一緒に払うことが多い)
更新保証料1年ごとなど、保証の更新のたび

どれを組み合わせるか、いくらかは、保証会社と契約の内容、審査の結果で決まります。処理を決める前に、保証委託契約書で次の3点を確かめます。

  • 何の対価か:初回保証料が、どの期間の保証の対価なのか(契約時から1年間、2年間、契約期間の全体など)
  • 返金があるか:途中で解約したときに、未経過の期間の保証料が返ってくるか
  • ほかの料金が含まれていないか:事務手数料など、保証料以外の料金が一緒に請求されていないか

消費税は非課税

「信用の保証」は非課税取引

消費税法は、「信用の保証としての役務の提供」を非課税としています(別表第二第3号)。国税庁の消費税法基本通達も、非課税となるものの例として「信用の保証料」を挙げています(6-3-1)。家賃保証会社が借主の賃料の支払いを保証するのは信用の保証にあたるため、家賃保証料は非課税です。

非課税の取引には消費税がかからないため、仕入税額控除の対象になりません。請求書に消費税額の記載がないのはこのためです。非課税の取引はインボイス(適格請求書)の交付の対象になりませんが、そもそも仕入税額控除の対象ではないため、控除の手続きには影響しません。

賃料・敷金とは税区分が違う

オフィスや店舗を借りるときの支払いは、項目によって消費税の扱いが分かれます。

オフィス・店舗を借りるときの支払いと消費税の区分。課税は事業用の賃料・共益費、礼金、仲介手数料、敷金のうち償却で返らない分。非課税は家賃保証料(信用の保証)。不課税は退去時に返ってくる敷金

支払い消費税
事業用の賃料・共益費課税
礼金、敷金の償却分課税
仲介手数料課税
家賃保証料非課税
返ってくる敷金不課税

賃料と保証料がまとめて引き落とされる場合も、仕訳は分けて、保証料には非課税の税区分をつけます。請求書に事務手数料など保証料以外の項目が別に載っている場合は、その項目の税区分を請求書で確かめます。

敷金の償却分や礼金が課税になる理由は「敷金の会計処理」で説明しています。

勘定科目と仕訳

勘定科目は「支払手数料」か「支払保証料」

家賃保証料の勘定科目は、法律で決まっているわけではありません。「支払手数料」や「支払保証料」を使うことが多く、どちらを使うかを決めたら、毎期同じ科目で処理します。

「地代家賃」にまとめることもできますが、賃料は課税、保証料は非課税と税区分が違うため、同じ科目に入れると税区分を間違えやすくなります。科目を分けておくと、消費税の申告のときに確かめやすくなります。

月額保証料の仕訳

月額保証料は、その月の保証の対価なので、払った月の費用にします。たとえば、月額保証料8,000円を払った場合は次のとおりです(金額は計算のための例です)。

借方貸方
支払手数料 8,000円(非課税)普通預金 8,000円

賃料と一緒に引き落とされる場合

保証会社が賃料の集金も代行していて、賃料・共益費と保証料がまとめて引き落とされることがあります。この場合も、明細を見て科目と税区分を分けます。月額賃料40万円、共益費5万円、月額保証料8,000円がまとめて引き落とされた場合の例です。

借方貸方
地代家賃 400,000円(課税)普通預金 458,000円
共益費 50,000円(課税)
支払手数料 8,000円(非課税)

会計ソフトで「地代家賃」にまとめて登録していると、保証料まで課税で処理されてしまうことがあります。引き落としの明細が届いたら、保証料の分だけ非課税の科目に分けます。

初回保証料・更新保証料を費用にする時期

家賃保証料の3つの払い方と、費用にする時期。月額保証料は払った月の費用。初回保証料・更新保証料は、払った日から1年以内の保証の対価なら、毎期続けることを条件に払ったときの費用にできる。1年を超える期間の対価なら前払費用に計上し、保証の期間に応じて費用にする。いずれも消費税は非課税

1年以内の保証の対価なら、払ったときの費用にできる

まとめて前払いした費用は、原則として、いったん資産(前払費用)に計上し、サービスを受けた期間に応じて費用にします。ただし国税庁の法人税基本通達は、払った日から1年以内に受けるサービスの対価で、払った事業年度の費用とする処理を毎期続けている場合は、払ったときに全額を費用にしてよいとしています(2-2-14、短期前払費用)。

たとえば、保証期間1年の初回保証料や、1年ごとの更新保証料であれば、この取扱いを使えます。継続が条件なので、ある期だけ払ったときに費用にし、別の期は期間に分けて処理する、といった使い方はできません。

借方貸方
支払手数料 120,000円(非課税)普通預金 120,000円

(保証期間1年の初回保証料12万円を払ったときの例。金額は計算のための例です)

1年を超える期間の対価なら、期間に分けて費用にする

初回保証料が2年分の保証の対価であるなど、払った日から1年を超える期間を対象にしている場合は、短期前払費用の取扱いは使えません。前払費用として資産に計上し、保証の期間に応じて費用に振り替えます。

たとえば、保証期間2年の初回保証料24万円を4月1日に払い、決算が3月の場合は次のとおりです(金額は計算のための例です)。

時期借方貸方
払ったとき前払費用 12万円、長期前払費用 12万円普通預金 24万円
1年目の期末支払手数料 12万円前払費用 12万円
1年目の期末前払費用 12万円長期前払費用 12万円
2年目の期末支払手数料 12万円前払費用 12万円

期末には、翌期に費用になる分を長期前払費用から前払費用に振り替えます。決算書では、1年以内に費用になる前払費用は流動資産に、それより先の分の長期前払費用は固定資産(投資その他の資産)に表示します。

期の途中で払った場合

保証期間2年の初回保証料24万円を10月1日に払い、決算が3月の場合は、1年目の期末までに経過した6か月分の6万円を費用にし、残りの18万円のうち、翌期に費用になる12万円を前払費用、その先の6万円を長期前払費用として残します。月割りで計算するのが一般的です。

「賃借するための費用」として扱う考え方もある

法人税では、建物を借りるために払う権利金などの費用は繰延資産になり、原則5年で償却します(法人税法施行令第14条第1項第6号ロ、法人税基本通達8-1-5)。ただし、20万円未満なら払った事業年度に全額を損金にできます(法人税法施行令第134条)。

家賃保証料は、通達で名指しされているわけではありません。初回保証料が特定の期間の保証の対価ではなく、物件を借りる条件として一度だけ払う性質のものであれば、繰延資産として扱う考え方もあります。どちらで処理するかは契約の内容によるため、保証委託契約書を顧問の税理士に見せて決めます。

3年間の処理を通して見る

契約期間3年のオフィスで、初回保証料12万円(保証期間1年)、月額保証料8,000円、1年ごとの更新保証料1万円を払う場合を、3年間通して並べると次のようになります(金額は計算のための例です)。短期前払費用の取扱いを続けている会社の例です。

時期払うもの処理
契約時初回保証料 12万円払ったときに費用
毎月月額保証料 8,000円払った月の費用
1年後更新保証料 1万円払ったときに費用
2年後更新保証料 1万円払ったときに費用

3年間の保証料の合計は、12万円+8,000円×36か月+1万円×2回で、42万8,000円です。どれも消費税は非課税で、科目は支払手数料(または支払保証料)にそろえます。初回保証料が2年分の保証の対価なら、先に説明したとおり、前払費用に計上して期間に分けて費用にします。

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こんなときはどう処理するか

契約の途中で解約した場合

前払費用に残っている初回保証料は、解約した時点で、返金されるかどうかで処理が分かれます。

場面処理
未経過分が返金される返金額を前払費用から減らし、残りを費用にする
返金されない前払費用・長期前払費用の残りを、解約した期の費用にする

返金の有無は保証委託契約で決まるため、解約の前に確かめておきます。

保証会社が賃料を立て替えて払った場合

賃料を払えず、保証会社が貸主に立て替えて払った(代位弁済した)場合、借主が払うべき相手は、貸主から保証会社に変わります。賃料の費用はすでに計上しているので、貸主への未払いを保証会社への未払いに振り替えます。

借方貸方
未払費用(貸主)400,000円未払金(保証会社)400,000円

保証会社に返すときは、未払金を減らします。立替えに伴って保証会社から求められる手数料などがあれば、その内容と税区分を請求書で確かめます。

オーナーが保証料を負担する場合

保証の契約によっては、貸主(オーナー)が保証料を負担することもあります。この場合、オーナーの側で保証料を費用として処理し、借主の側では処理はありません。信用の保証の対価であることは同じなので、オーナーの側でも消費税は非課税です。

個人事業主の場合

個人事業主が事業用の物件の家賃保証料を払った場合は、事業所得の必要経費になります。所得税にも、払った日から1年以内に受けるサービスの対価で、払った年の必要経費とする処理を続けていれば、払ったときに必要経費にできる取扱いがあります(所得税基本通達37-30の2)。消費税が非課税であることは、法人と同じです。

よくある間違い

間違い正しい処理
保証料を課税で処理している非課税の税区分にする
賃料と保証料を地代家賃にまとめている明細ごとに科目と税区分を分ける
2年分の初回保証料を全額その期の費用にしている1年を超える分は前払費用に残す
前払費用の振替を忘れている期末に経過した分を費用に、翌期分を前払費用に振り替える
期によって処理の方法を変えている短期前払費用の取扱いは毎期続ける
事務手数料も非課税にしている保証料以外の項目は請求書で税区分を確かめる

保証会社を選ぶときに確かめる料金の項目

処理を正しく行うためにも、契約する前に、料金の項目と条件を一覧で確かめておきます。

  • 初回保証料:いくらで、どの期間の保証の対価か
  • 月額保証料・更新保証料:いつ、いくら払うか。賃料と一緒に引き落とされるか
  • 事務手数料などの別料金:保証料以外に払う料金があるか。その消費税の扱い
  • 立替えのときの費用:保証会社が賃料を立て替えたときに、別に手数料や遅延損害金がかかるか
  • 解約・更新しないとき:途中で解約したときに返金があるか。保証を更新しないときの手続き

敷金を減らして保証料を払う場合

家賃保証会社には、賃料の保証だけでなく、敷金を減らす代わりに保証を提供するサービスもあります。この場合、会計上の扱いは次のように変わります。

項目敷金保証料
会計上の扱い資産(差入保証金)費用
消費税返ってくる分は不課税非課税
手元の現金退去まで戻らない敷金との差額が手元に残る

敷金は返ってくる資産なので費用にはなりませんが、退去するまで使えないお金です。保証料は費用になり戻りませんが、預ける敷金が減った分だけ、手元の現金が増えます。どちらを選ぶかは、戻ってくるが使えないお金と、戻らないが手元に現金を残せる費用の、どちらを重く見るかで決まります。

決算書ではどう見えるか

敷金を保証に置き換えると、決算書の見え方も変わります。たとえば総資産1億円の会社が、差入保証金1,200万円のうち600万円を保証に置き換えて現金で受け取った場合、差入保証金が600万円減り、現預金が600万円増えます。総資産の額は変わりませんが、中身が「使えない固定資産」から「使える現預金」に入れ替わります。受け取った現金で借入金を返せば、総資産と負債がともに減ります。

一方、保証料は毎期の費用として利益を減らします。手元の現金が増えることで得られる効果(借入の利息が減る、仕入れを前倒しできる、など)と、保証料の額を比べて判断します。

当社の「敷金半額くん」も、このしくみのサービスです。新しく借りるオフィスや店舗の敷金を半額から最大0円まで減らし、減らした分の代わりに当社が貸主に保証を提供します。借主が当社に払う保証料も、この記事で説明した保証料と同じように、契約の内容に沿って処理します。すでに入居している物件なら、預けている敷金の半額から最大全額を入居したまま取り戻す「敷金返還くん」もあります。どちらも、利用には当社の審査と貸主の承諾が必要です。

よくある質問

家賃保証料に消費税はかかりますか?

かかりません。家賃保証会社による賃料の保証は「信用の保証」にあたり、消費税法別表第二第3号により非課税です。仕入税額控除の対象にもなりません。

家賃保証料は地代家賃で処理してもよいですか?

科目は会社で決められますが、賃料は課税、保証料は非課税と税区分が違います。同じ科目にまとめると税区分を間違えやすいため、支払手数料や支払保証料など、別の科目にするのがおすすめです。

初回保証料は一括で経費にできますか?

払った日から1年以内の保証の対価で、同じ処理を毎期続けているなら、払ったときに全額を費用にできます(法人税基本通達2-2-14)。1年を超える期間の対価なら、前払費用に計上して期間に分けて費用にします。

更新保証料はどう処理しますか?

1年ごとの更新保証料なら、払った日から1年以内の保証の対価なので、短期前払費用の取扱いを続けている会社は払ったときに費用にできます。消費税は初回保証料と同じく非課税です。

個人事業主も同じ処理ですか?

必要経費になる点と、消費税が非課税である点は同じです。1年以内の保証の対価なら、所得税基本通達37-30の2により、払った年の必要経費にできます。

保証料にインボイス(適格請求書)は必要ですか?

家賃保証料は非課税のため、仕入税額控除の対象ではなく、インボイスは必要ありません。ただし、費用として処理した根拠として、保証委託契約書や請求書、引き落としの明細は保存しておきます。

敷金と家賃保証料はどう違いますか?

敷金は貸主に預け、退去時に未払いの賃料などを差し引いて返ってくるお金で、会計上は資産です。家賃保証料は保証会社に払う保証の対価で、返ってこない費用です。

まとめ

  • 家賃保証料は「信用の保証」の対価で、消費税は非課税。事業用の賃料(課税)とは税区分が違う
  • 勘定科目は支払手数料か支払保証料が多い。賃料と一緒に引き落とされても、明細ごとに科目と税区分を分ける
  • 月額保証料は払った月の費用。初回保証料・更新保証料は、1年以内の保証の対価なら、継続を条件に払ったときの費用にできる
  • 1年を超える期間の対価なら前払費用に計上し、期間に分けて費用にする。繰延資産として扱う考え方もあるため、契約書をもとに税理士と決める
  • 敷金を減らして保証料を払うと、費用は増えるが手元の現金が増える

出典:消費税法別表第二第3号、国税庁「消費税法基本通達 第6章第3節」6-3-1、国税庁タックスアンサー「No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合」、国税庁 質疑応答事例「短期前払費用の取扱いについて」、国税庁「法人税基本通達 第8章第1節」8-1-5、国税庁「所得税基本通達 37-30の2」、法人税法施行令第14条・第134条。

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