消費税と会計の扱い
消費税
国税庁は、ビル管理会社などが、水道光熱費、管理人の人件費、清掃費などを共益費などと称して各テナントから毎月一定額で受け取り、その中から経費を払う方法をとっている場合、その共益費は消費税の課税の対象になるとしています(質疑応答事例「テナントから領収するビルの共益費」)。事務所などの建物の家賃も課税の対象です(タックスアンサー No.6225)。
一方、水道光熱費などがメーターでテナントごとに分かれていて、ビル管理会社などが預り金として受け取り、電力会社などに払うだけと認められる場合は、その預り金は管理会社などの課税売上げにはあたらないとされています(同事例)。請求書で、共益費と、実費の立替えにあたる費用が分けて書かれているかを確かめます。
なお、住宅の貸付けでは、共同住宅の共用部分の費用を入居者が負担する共益費は家賃に含まれ、住宅の家賃と同じく非課税として扱われます(消費税法基本通達6-13-9)。オフィスや店舗の共益費とは扱いが違います。
請求書の見方
毎月の請求書は、たとえば次のような形です。30坪の区画の例で、金額は見方を示すための例です。
| 項目 | 金額(税別) | 確かめること |
|---|
| 賃料 | 600,000円 | 契約どおりの額か |
| 共益費 | 90,000円 | 契約どおりの額か。改定の通知と合っているか |
| 専有部分の電気代 | 48,000円 | 検針の期間と単価。実費の立替えか |
| 時間外空調 | 12,000円 | 使った時間と単価 |
| 消費税 | 75,000円 | どの項目に課税しているか |
共益費と、実費の立替えにあたる費用が分けて書かれていれば、何にいくら払っているかが分かります。まとめて「共益費等」とだけ書かれている場合は、内訳を尋ねます。
会計
2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用される新しいリース会計基準では、リースを含む契約について、原則として、リースを構成する部分(建物を使う権利)と、リースを構成しない部分(清掃や保守などのサービス)とに分けて会計処理を行います(企業会計基準適用指針第33号 第9項〜第11項)。共益費のうち、清掃や保守などのサービスにあたる部分は、リースを構成しない部分にあたることがあります。
一方で、借手は、リースを構成する部分と、関連するリースを構成しない部分とを分けずに、まとめてリースを構成する部分として会計処理することを選ぶこともでき、その場合はその旨を注記します(同第97項)。どちらの処理をとるかで、使用権資産とリース負債の額が変わるため、顧問の会計士と相談して決めます。
貸主が共益費を決めるとき
貸主の側では、共益費を、共用部分の維持管理にかかる費用をもとに決めます。決め方には、主に次の二つがあります。
| 決め方 | 内容 | 貸主にとっての特徴 |
|---|
| 定額 | 坪あたりの額を決めて毎月受け取る | 管理が簡単。費用が増えたときは改定の手続きが必要 |
| 実費精算 | 予定額を受け取り、年度末などに実際の費用と精算する | 費用の増減を反映しやすいが、精算の手間と説明が必要 |
どちらの場合も、共益費でまかなう範囲、改定の条件、精算の方法を契約書に具体的に書いておくと、改定や精算のときの行き違いを防げます。改定を求めるときは、費用の内訳と増えた理由を示すと、借主の理解を得やすくなります。
契約前に確かめること
- 共益費の額と基準:月額、坪単価、どの面積をもとにしているか
- 共益費でまかなう範囲:清掃、共用部分の電気代、保守、警備など。専有部分の電気代・空調費は別にかかるか
- 敷金・更新料・償却の基準:「賃料」に共益費を含むか
- 改定の条項:どんな場合に、どう改定できるか
- フリーレントの対象:フリーレントの期間に、共益費も免除されるか
- 消費税:表示の額が税込か税別か
フリーレントの期間でも共益費は払う契約があるため、フリーレントの条件とあわせて確かめます。フリーレントの条件の見方は「フリーレントとは」で整理しています。
入居の初期費用と共益費
共益費は毎月の固定費ですが、敷金の基準に含まれる契約では、入居時の初期費用にも響きます。月額の負担を比べるときは、賃料と共益費の合計に加えて、預ける敷金の額もあわせて見ます。
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よくある質問
共益費は払わなくてもよいですか?
契約で共益費を払うと定めていれば、払う必要があります。払わなければ、賃料と同じように未払いとして扱われ、敷金から差し引かれることもあります。
共益費込みの賃料と、別の賃料はどちらが得ですか?
表示のしかたの違いなので、どちらが得とは決まりません。賃料と共益費を合わせた坪あたりの月額と、敷金などの計算の基準で比べます。
共益費と管理費は同じものですか?
オフィスや店舗の賃貸では、どちらも共用部分の維持管理に充てる費用として使われ、呼び方が違うだけのことがあります。資料の表示が何を指すかを確かめます。
共益費を払えないときはどうなりますか?
共益費も契約で払うと定めた債務なので、払えなければ未払いとして扱われます。未払いが続けば、賃料の滞納と同じように契約の解除の理由になることがあり、退去のときには敷金から差し引かれます。支払いが苦しいときは、早めに貸主に相談します。
共益費の内訳は教えてもらえますか?
開示の義務が法律で定められているわけではありませんが、改定を求められたときや、契約の前に、内訳の説明を求めることはできます。説明に応じるかどうかは貸主の判断です。
空室が多いビルでは、共益費が高くなりますか?
契約で決めた額を払うのが基本で、空室の数によって毎月の額が変わるわけではありません。ただし、改定の条項があれば、管理費用の増加を理由に改定を求められることがあります。
まとめ
- 共益費は、ビルの共用部分の維持管理に充てるため、賃料とは別に毎月払う費用。オフィスや店舗では、管理費と呼ばれることもある
- 物件は、賃料と共益費を合わせた坪あたりの月額で比べる。面積の基準もそろえる
- 敷金・更新料・償却の「賃料」に共益費を含むかで、預ける額や払う額が変わる
- 改定の条項があれば、管理費用の増加を理由に値上げを求められることがある。中身の説明を求める
- 月額の負担とあわせて、預ける敷金そのものを減らす方法も考える
出典:国税庁 質疑応答事例「テナントから領収するビルの共益費」、国税庁「No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など」、消費税法基本通達6-13-9、企業会計基準適用指針第33号第9項〜第11項・第97項。