承諾をもらうときに決めること
| 項目 | 決めること |
|---|
| 転貸の範囲 | どの区画・面積を、どの用途で使わせるか |
| 転借人 | 会社名、業種、代表者。変更するときの扱い |
| 期間 | 元の賃貸借の期間内に収める |
| 賃料 | 転貸の賃料の額。貸主が差額の扱いを条件にすることもある |
| 原状回復 | 転借人が使った部分の原状回復を、元の借主が責任を持って行うこと |
| 入館・看板 | 転借人の入館証、表示、郵便の扱い |
| 保険 | 転借人の火災保険・賠償責任保険の加入 |
| 終了のとき | 元の賃貸借が終わるときは転貸借も終わること、その通知の方法 |
承諾は、口頭ではなく、承諾書や覚書として書面でもらいます。承諾の条件として、承諾料を求められることもあります。
承諾をお願いする書面は、たとえば次のようにします。
○○ビル○階の賃貸借契約について、当社は、同階の区画のうち約○坪を、令和○年○月○日から令和○年○月○日まで、株式会社○○(業種:○○)に事務所として使用させることを希望しております。つきましては、民法第612条に基づき、転貸のご承諾をお願い申し上げます。転借人の使用による原状回復その他の責任は、当社が負います。転借人の概要と、転貸借契約書の案を別紙のとおりお送りいたします。
転貸人と転借人の契約で決めること
承諾を得たら、転貸人と転借人の間でも、転貸借の契約書を結びます。元の賃貸借の条件を踏まえて、次の点を決めます。
| 項目 | 決めること |
|---|
| 期間 | 元の賃貸借が終わるときは、転貸借も終わること |
| 使い方 | 元の賃貸借の使用目的や館内規則を守ること |
| 賃料と共益費 | 額と支払い方。元の賃料の支払いに合わせた支払日 |
| 敷金 | 額、返す時期、差し引く債務の範囲 |
| 原状回復 | 転借人が使った部分の原状回復の範囲と費用の負担 |
| 解約 | 転借人から解約できるか、予告期間 |
転貸の賃料の決め方
転貸の賃料は、元の賃料を面積で按分した額を基本に、共益費や共用部分の使用、内装や什器の利用を加えて決めることが考えられます。元の賃料より高い賃料で転貸して差益を得る形は、貸主が承諾の条件として問題にすることもあるため、承諾をもらうときに賃料の考え方を説明しておきます。
サブリースとの関係
ビルのオーナーが、サブリース会社に建物をまとめて貸し、サブリース会社が各テナントに貸す仕組み(サブリース)も、法律上は転貸の関係です。オーナーとサブリース会社の間の賃貸借(いわゆるマスターリース)と、サブリース会社とテナントの間の転貸借があり、テナントはオーナーに対して、民法第613条の範囲で直接義務を負います。マスターリースが期間満了などで終わるときは、借地借家法第34条の通知が必要です。
テナントの立場では、契約の相手がサブリース会社であること、敷金をサブリース会社に預けていることを確かめておきます。
転貸人・転借人それぞれの注意点
転貸人(元の借主)
- 貸主に対する責任は、転貸しても変わらない。転借人が賃料を払わなくても、元の賃料は払う必要がある
- 転借人の使い方で建物を傷めた場合も、貸主に対して原状回復などの責任を負う
- 転貸で受け取る賃料は、事務所などの建物の貸付けとして消費税の課税の対象になる(国税庁 タックスアンサー No.6225)
転借人
- 転貸人の支払い状況によっては、使い続けられなくなることがある(第613条第3項ただし書)
- 元の賃貸借が期間満了などで終わると、通知から6か月で転貸借も終わる(借地借家法第34条)
- 預けた敷金は転貸人が預かっている。転貸人の信用を確かめる
移転で余った区画をどうするか
縮小や移転で区画が余ったとき、転貸のほかに、貸主と話し合って一部を返す(減床)、解約して移転する、といった選択肢もあります。転貸は、貸主の承諾が必要で、転借人を探す手間と、転借人の支払いが滞るリスクを負います。減床や移転と比べて、手元の資金と事業への影響で選びます。
移転する場合は、今の物件の敷金が戻る前に、移転先の敷金を預けることになります。当社の「敷金半額くん」は、新しく借りるオフィスや店舗の敷金を、半額から最大0円まで減らすサービスです。減らした分の敷金の代わりに、当社が貸主に保証を提供します。入居を続けながら、預けている敷金の半額から最大全額を取り戻す「敷金返還くん」もあります。どちらも、利用には当社の審査と貸主の承諾が必要で、当社への保証料がかかります。
よくある質問
グループ会社に無償で使わせるのも、転貸になりますか?
別の法人に使わせる場合は、無償でも、第三者に使用させたことにあたる可能性があります。貸主の承諾を得ておくのが安全です。
無断で転貸したら、必ず契約を解除されますか?
必ずではありません。最高裁は、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できないとしています(昭和28年9月25日判決)。ただし、その判断は事情によるため、事前に承諾を得ておくのが原則です。
転借人は、元の貸主に直接賃料を払う必要がありますか?
転借人は、元の賃貸借の借主の債務の範囲で、貸主に直接義務を負います(民法第613条第1項)。元の借主が賃料を払わなくなったときなどに、貸主から直接請求されることがあります。
元の賃貸借が終わったら、転借人はすぐに出なければなりませんか?
期間満了や解約の申入れで終わる場合、貸主が転借人に通知してから6か月で転貸借が終わります(借地借家法第34条)。
まとめ
- 転貸は、貸主の承諾がなければできない。承諾なしに第三者に使わせると、契約の解除の理由になる(民法第612条)
- 背信的行為と認めるに足りない特段の事情があれば解除できないとした判例もあるが、事前の承諾が原則
- 承諾を得た転貸では、転借人は貸主に直接義務を負い、合意解除は転借人に対抗できない。元の賃貸借が終わるときは、通知から6か月で転貸借も終わる
- 敷金は、元の賃貸借と転貸借で別々に動く。転借人の敷金は転貸人が預かる
- 余った区画は、転貸・減床・移転を比べて選ぶ。移転するなら、移転先の敷金を減らす方法もある
出典:民法第612条・第613条・第622条の2、借地借家法第34条、最高裁判所 昭和28年9月25日判決(昭和25(オ)140)、国税庁「No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など」。