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株式による資金調達|非上場の会社が出資を受ける方法、手続きと税金、持ち株比率の決め方

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株式による資金調達|非上場の会社が出資を受ける方法、手続きと税金、持ち株比率の決め方

事業を大きくするための資金を、借り入れではなく株式で集める方法があります。新しく株式を発行して、出資者にお金を払い込んでもらう方法です。返す必要はありませんが、出資者は会社の株主になり、会社の決め事に関わるようになります。

上場していない会社でも、株式による資金調達はできます。ただ、融資とは手続きも考えることも大きく違います。誰に、いくらで、どれだけの割合の株式を渡すかを決めずに進めると、あとで会社の決め事を自分だけで決められなくなることがあります。

この記事では、株式による資金調達の仕組み、非上場の会社が出資を受ける方法、手続きと税金、持ち株比率の決め方を、会社法や国税庁などの公的な資料をもとに整理します。

株式による資金調達とは

株式による資金調達は、会社が新しく株式を発行し、それを引き受ける人にお金を払い込んでもらう方法です。会社法では「募集株式の発行」といい、特定の相手に株式を割り当てる方法は、一般に「第三者割当増資」と呼ばれます。

融資と比べると、次のような違いがあります。

株式(出資)融資(借り入れ)
返済いらない必要
利息ない(配当を求められることはある)ある
持ち分出資者が株主になる変わらない
決算書純資産が増える負債が増える

払い込まれたお金は、原則として資本金になります。ただし、払い込まれた額の2分の1までは、資本金にせず資本準備金にすることもできます(会社法第445条)。どちらも純資産に入るため、株式で資金を集めると自己資本比率が上がります。

また、株式の発行による払い込みは「資本等取引」にあたり、売上のような収益ではありません。法人税法は、所得の計算で益金に入れるのは資本等取引以外の取引による収益と定めているため(第22条第2項)、出資を受けたお金そのものに法人税はかかりません。

非上場の会社が出資を受ける方法

上場していない会社に出資するのは、主に次のような相手です。

出資者特徴
経営者自身・家族頼みやすいが、家族が株主になると相続や経営の引き継ぎにも影響する
取引先・事業会社資本業務提携として、出資とあわせて取引や技術の協力を受けられる
エンジェル投資家創業期の会社に出資する個人。エンジェル税制で税の優遇がある
ベンチャーキャピタル(VC)投資家から集めた資金で出資する。大きく成長して上場や売却を目指す会社が対象
株式投資型クラウドファンディングインターネットで多くの個人から少額ずつ集める

エンジェル投資家とエンジェル税制

エンジェル投資家は、創業期の会社に自分のお金で出資する個人です。エンジェル税制は、一定の要件を満たすスタートアップ(特定中小会社等)に出資した個人投資家への、所得税の優遇措置です。出資した額を株式の譲渡益から差し引けるほか、特定新規中小会社の株式なら、800万円を限度に寄附金控除を受けることもできます。

会社側がこの制度の対象になるかは、設立からの年数などの要件で決まります。出資を頼むときに対象になるかを示せると、投資家は判断しやすくなります。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルは、投資家から集めた資金で、成長が見込める会社に出資します。日本政策金融公庫の創業者向けコラムは、ベンチャーキャピタルは事業がどれだけ成長できるか、株式上場ができるかという観点で出資先を見ると説明しています。着実に利益を積み上げる事業より、短い期間で大きく成長する事業に向いた集め方です。

株式投資型クラウドファンディング

インターネット上で、多くの個人から少額ずつ出資を集める方法です。日本証券業協会によると、同じ会社が株式投資型クラウドファンディングで集められるのは1年間に5億円未満です。1人の投資家が同じ会社に投資できるのは、1年間に200万円を超えない範囲で、その人の財産の状況に応じた額か50万円のいずれか高い額までです。

投資家は申し込みから8日間は撤回でき、取得した株式は上場していないため、ほとんど換金できません。取り扱うクラウドファンディング業者が、会社の財務や事業計画を審査したうえで扱います。

出資を受ける手続き

株式を発行するときは、会社法の手続きに沿って進めます。すべての株式の譲渡に会社の承認が必要な会社(公開会社でない会社)の場合、流れは次のとおりです。

株式を発行して出資を受けるまでの流れ。1 出資者と、株数・払込金額・払込期日などの募集事項を決める。2 株主総会の決議で募集事項を決める。3 出資者が申し込み、会社が株式を割り当てる。4 出資者が払込期日までにお金を払い込む。5 資本金の額が変わるため、2週間以内に変更の登記をする。登録免許税は増えた資本金の1,000分の7(3万円に満たないときは3万円)

  1. 募集事項を決める:募集する株式の数、1株あたりの払込金額、払込期日、増やす資本金と資本準備金の額などを決める(会社法第199条第1項)
  2. 株主総会で決議する:募集事項は、株主総会の特別決議(出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成)で決める(同条第2項、第309条第2項第5号)。払込金額が引き受ける人にとって特に有利な金額の場合は、取締役がその理由を説明する(第199条第3項)
  3. 申し込みと割り当て:出資者が申し込み、会社が株式を割り当てる
  4. 払い込み:出資者が払込期日までにお金を払い込む
  5. 変更の登記:資本金の額が変わるため、2週間以内に本店の所在地で変更の登記をする(第915条)

上場している会社などの公開会社は、特に有利な金額の場合を除き、株主総会ではなく取締役会の決議で募集事項を決められます(第201条)。

増資にかかる登録免許税

資本金を増やす登記には、登録免許税がかかります。税額は増えた資本金の額の1,000分の7で、3万円に満たないときは3万円です。

資本準備金にした分は、資本金の額に入らないため、登録免許税の対象になりません。たとえば3,000万円の出資を受けた場合、全額を資本金にすると登録免許税は21万円ですが、半分の1,500万円を資本準備金にすると10万5,000円になります。

資本金を1億円以下に保つ理由

法人税では、事業年度の終わりに資本金が1億円以下の法人(大法人の子会社などを除く)は、所得のうち年800万円以下の部分に15%の軽減税率が使えます(所得が年10億円を超える事業年度は17%)。大きな出資を受けるときは、払い込まれた額の一部を資本準備金にして、資本金を1億円以下に保つこともできます。

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持ち株比率の決め方

出資を受けると、創業者の持ち株比率(議決権の割合)が下がります。会社法では、株主総会の決議に必要な賛成の割合が決まっており、持ち株比率によって、自分だけで決められることが変わります。

持ち株比率ごとにできること。株主総会の通常の決議は出席した株主の議決権の過半数、定款の変更や事業の譲渡、合併などの特別決議は3分の2以上で決まる。3分の2以上を持てば特別決議も単独で可決でき、過半数なら通常の決議を単独で可決できる。3分の1を超えて持つ株主は特別決議を単独で否決できる(会社法第309条)

持ち株比率自分だけでできること
3分の2以上定款の変更、事業の譲渡、合併などの特別決議も可決できる
過半数取締役の選任など、通常の決議を可決できる
3分の1超特別決議(その後の増資を含む)を否決できる

株主総会の通常の決議は出席した株主の議決権の過半数、定款の変更や事業の譲渡、合併などの特別決議は出席した株主の議決権の3分の2以上で決まります(会社法第309条)。創業者が3分の2を下回ると、重要な決め事を1人では決められなくなります。公開会社でない会社では、新しく株式を発行するときの募集事項も特別決議で決めるため、3分の1を超える株式を渡した相手は、その後の増資も単独で否決できるようになります。

持ち株比率がどう下がるか

たとえば、創業者が1,000株(100%)を持つ会社が、1株10万円で250株を新しく発行し、投資家から2,500万円の出資を受けたとします。発行済みの株式は1,250株になり、持ち株比率は創業者が80%、投資家が20%になります。

同じ2,500万円を集める場合でも、1株あたりの払込金額が高いほど、発行する株式は少なく、創業者の持ち株比率は下がりにくくなります。1株の値段は会社の価値をどう見積もるかで決まるため、事業計画や業績をもとに出資者と話し合います。

資本政策を先に考える

出資を一度で終える会社は多くありません。事業が伸びるにつれて何度か増資をする場合は、そのたびに創業者の持ち株比率が下がります。将来の増資まで見通して、誰にどれだけの株式を渡すかを決めておく計画を「資本政策」といいます。

先ほどの会社が、事業が伸びたあとに1株40万円で250株を発行し、別の投資家から1億円の出資を受けた場合、持ち株比率は次のように変わります。

段階発行済みの株式創業者の比率
設立時1,000株100%
1回目(1株10万円)1,250株80%
2回目(1株40万円)1,500株66.7%

2回目のあと、1回目の投資家Aの比率は20%から16.7%に下がり、2回目の投資家Bも16.7%を持ちます。2回目は1回目の4倍の金額を集めていますが、1株の値段が上がっているため、発行した株式は同じ250株です。それでも、創業者の持ち株比率は3分の2(66.7%)の境目まで下がります。この先さらに増資をすると、創業者は特別決議を1人では可決できなくなります。初めて出資を受ける段階で、このような表を作っておきます。

種類株式や契約で決めておく

会社法では、配当や残余財産の分配、株主総会で議決権を使える事項などが違う「種類株式」を発行できます(第108条)。たとえば、議決権を制限した株式を発行すれば、持ち株比率が下がっても経営の決め事への影響を抑えられます。種類株式を発行するには、その内容を定款で定める必要があります。

また、出資者と株主間契約を結び、経営への関わり方や、株式を売るときのルールを決めておくこともあります。種類株式の設計や契約の内容は、司法書士や弁護士に相談して決めます。

出資と融資のどちらを選ぶか

出資と融資は、どちらかを選ぶより、事業の段階に合わせて組み合わせることがほとんどです。

  • 出資が合う場合:短い期間で大きく成長し、上場や売却を目指す。赤字の期間が長く、借り入れを返せる見通しが立ちにくい
  • 融資が合う場合:着実に利益が出る事業で、会社の持ち分を手放したくない
  • 中間の方法:日本政策金融公庫の資本性ローンは、金融機関の資産査定上は自己資本とみなせる借り入れで、株式ではないため既存の株主の持ち株比率も下がらない

融資については「日本政策金融公庫の融資」、資金調達の方法の全体は「法人の資金調達の方法一覧」で比べています。

株主を増やさずに手元の資金を増やす方法

出資を受けると株主が増え、融資を受けると負債が増えます。どちらも増やしたくない場合は、会社が持っている資産を現金に換える方法もあります。

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よくある質問

出資を受けると経営権を失いますか?

持ち株比率によります。創業者が過半数を持っていれば通常の決議を、3分の2以上を持っていれば特別決議も自分だけで可決できます。反対に、3分の1を超える株式を渡すと、その相手は特別決議を否決できるようになります。出資を受ける前に、渡す株式の割合を決めておきます。

個人事業主でも株式で資金を集められますか?

株式を発行できるのは株式会社です。個人事業主が株式で出資を受けるには、先に株式会社を設立する必要があります。

出資を受けたお金に法人税はかかりますか?

かかりません。株式の発行による払い込みは資本等取引にあたり、法人税の所得の計算で益金に入りません(法人税法第22条第2項)。ただし、資本金を増やす登記には登録免許税がかかります。

増資の登記はいつまでにすればよいですか?

資本金の額が変わった日から2週間以内に、本店の所在地で変更の登記をします(会社法第915条)。払込期間を定めた場合は、その期間の末日から2週間以内です。

資本金を増やすと税金はどうなりますか?

増えた資本金の1,000分の7の登録免許税がかかります(最低3万円)。また、資本金が1億円を超えると、法人税の軽減税率(年800万円以下の所得に15%)が使えなくなります。払い込まれた額の2分の1までは資本準備金にできるため、資本金の額を調整できます。

株式投資型クラウドファンディングではいくら集められますか?

同じ会社が1年間に集められるのは5億円未満です。1人の投資家が同じ会社に投資できるのは、1年間に最大200万円の範囲です。

まとめ

  • 株式による資金調達は、新しく株式を発行して出資を受ける方法。返す必要はないが、出資者は株主になる
  • 出資者は、家族、取引先・事業会社、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル、株式投資型クラウドファンディングなど
  • 非上場の会社は、原則として株主総会で募集事項を決め、払い込みのあと2週間以内に変更の登記をする
  • 登録免許税は増えた資本金の1,000分の7(最低3万円)。払い込まれた額の2分の1までは資本準備金にできる
  • 持ち株比率は、3分の2以上・過半数・3分の1超が目安。出資を受ける前に決めておく
  • 株主も借り入れも増やしたくないときは、預けている敷金を現金に戻す方法もある

出典:会社法第108条・第199条・第201条・第309条・第445条・第915条、法人税法第22条、国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」「No.5759 法人税の税率」「No.1544 エンジェル税制の概要等」、日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング 制度の概要」、日本政策金融公庫「第6回 資金調達の準備をしよう」「資本性ローン」。

Tags#金融・融資
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