金融・融資

リスケ中・融資を断られたときの資金調達|返済条件の変更、使える公的な融資と保証、急ぎのときの注意点

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リスケ中・融資を断られたときの資金調達|返済条件の変更、使える公的な融資と保証、急ぎのときの注意点

売上が落ちて返済が苦しくなった、銀行に追加の融資を断られた、返済条件を変更(リスケジュール、リスケ)している最中で新しく借りられない。こうしたときに、どこからどうやって資金を確保するかは、会社の先行きを左右します。

焦って手数料の高い資金に頼ると、資金繰りがさらに苦しくなることがあります。一方で、国は金融機関に対して、条件変更をしていることだけで機械的に融資を断らないよう求めており、苦しい時期に使える公的な支援や保証、融資もあります。

この記事では、返済が苦しいときにまず取り組むこと、リスケ中でも使える公的な支援と資金、急ぎのときに気をつけることを、公的な資料をもとに整理します。

返済が苦しくなったら、まず取り組むこと

資金が足りなくなりそうなときは、新しいお金を集める前に、出ていくお金を減らすことを考えます。次の順で進めると、手元の資金を守りやすくなります。

返済が苦しくなったときの進め方。1 資金繰り表で、いつ・いくら足りなくなるかを出す。2 取引している金融機関に早めに相談し、返済条件の変更(リスケ)や借換えを申し込む。3 中小企業活性化協議会や認定経営革新等支援機関の力を借りて経営改善計画を作る(費用の3分の2の補助がある)。4 計画をもとに、セーフティネット保証や日本政策金融公庫の融資で新しい資金を確保する。手数料の高い資金は最後の手段

  1. 足りなくなる時期と額を出す:資金繰り表で、月ごとの入金と出金を並べ、いつ、いくら足りなくなるかを出す
  2. 金融機関に早めに相談する:返済が滞る前に、取引している金融機関に返済条件の変更や借換えを相談する
  3. 経営改善計画を作る:公的な支援を使って、収益を立て直す計画を作る
  4. 新しい資金を確保する:計画をもとに、保証付きの融資や公的な融資を申し込む

資金繰り表で足りなくなる月を出す

資金繰り表は、月ごとの入金と出金、月末に残るお金を並べた表です。たとえば次のように書くと、どの月に資金が足りなくなるかがわかります。

月入金出金月末の残高
10月900万円1,000万円400万円
11月800万円1,000万円200万円
12月850万円1,100万円−50万円

この例では、12月に賞与などで出金が増え、50万円足りなくなります。足りなくなる2〜3か月前にわかれば、金融機関への相談や公的な融資の申し込みが間に合います。出金の中に借入金の返済がいくら含まれているかも、あわせて書き出しておきます。

返済条件の変更(リスケ)と借換え

金融機関は柔軟な対応を求められている

返済条件の変更は、毎月の返済額を減らしたり、元金の返済を一時的に止めたりして、返済の期間を延ばしてもらうことです。

2025年11月27日、内閣総理大臣と金融担当大臣などの連名で、金融機関の業界団体などに次のような対応が求められました(金融庁が公表)。

  • 既往債務の条件変更や借換えについて、申込みを断念させるような対応を取らず、事業者に寄り添った迅速かつ柔軟な対応を続けること
  • 融資の判断では、事業者の決算や借入の状況、条件変更の有無などだけで機械的・硬直的に判断しないこと
  • 補助金が支給されるまでに必要な資金などについても、柔軟に支援すること

リスケをしていることは、それだけで新しい融資を断る理由にしないよう、金融機関に求められているということです。返済が苦しくなりそうなら、滞る前に相談することが大切です。

返済条件の変更で毎月の返済はどう変わるか

たとえば、借入残高3,000万円を残り5年(60回)で返している場合、元金の返済は毎月50万円です。返済期間を10年(120回)に延ばしてもらえれば毎月25万円になり、1年間元金の返済を止めてもらえれば、その間は利息だけの支払いになります(利息は金利によって別にかかります)。

借入残高3,000万円の元金の返済額。残り5年(60回)なら毎月50万円、返済期間を10年(120回)に延ばすと毎月25万円、1年間元金の返済を止めるとその間は0円(利息だけを払う)。浮いた分は立て直しの運転資金に回せるが、返済の総額は利息の分だけ増える

返済条件毎月の元金の返済
今のまま(残り5年・60回)50万円
10年(120回)に延ばす25万円
1年間、元金の返済を止めるその間は0円

浮いた分は立て直しの運転資金に回せますが、返す期間が長くなるほど、利息の合計は増えます。条件変更は立て直しのための時間を買うものなので、その間に何をして収益を戻すかを、次の経営改善計画で示します。

借換えで毎月の返済を減らす

信用保証協会の保証付きの借り入れが複数ある場合は、「借換保証」で1本にまとめて長い期間で返すことで、毎月の返済額を減らせる可能性があります。全国信用保証協会連合会によると、借り換えるときに新しい資金を上乗せして借りることもでき、保証限度額は一般保証で2億8,000万円(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)です。事業計画書の作成などが必要になる場合があります。

経営改善計画の作成を支援する制度

リスケを続けながら新しい資金を得るには、収益をどう立て直し、どう返していくかを示す経営改善計画が欠かせません。計画づくりには、公的な支援を使えます。

中小企業活性化協議会

中小企業活性化協議会は、国が47都道府県に設置している公正中立な機関で、収益力の改善、事業の再生、廃業・再チャレンジといった経営課題の相談に応じています。中小企業基盤整備機構によると、地方銀行出身者や公認会計士などの専門家が窓口で相談を受け、経営上の問題点や課題を洗い出します。協議会が行う私的整理は、金融機関などの債権者以外に会社の窮状を知られない方法をとっているため、風評による信用の低下を避けながら再建を進められるとしています。

計画づくりの費用の3分の2を負担する制度

国が認定した税理士や公認会計士、金融機関などの専門家(認定経営革新等支援機関)の支援を受けて計画を作る場合、専門家に払う費用の一部を中小企業活性化協議会が負担します。

制度対象協議会の負担
早期経営改善計画策定支援資金繰りの管理など、基本的な経営改善が必要な事業者3分の2(上限80万円)
経営改善計画策定支援(405事業)金融支援を伴う本格的な経営改善が必要な事業者3分の2(上限300万円)
中小企業の事業再生等に関するガイドラインに基づく計画過剰な借入金の返済負担など、財務上の窮境にある事業者3分の2(上限700万円)

リスケをしながら立て直す場合は、405事業が中心になります。計画ができれば、それをもとに金融機関と返済条件を話し合い、新しい資金を申し込めます。

リスケ中・業況の悪化時に使える資金

セーフティネット保証

信用保証協会の「経営安定関連保証(セーフティネット保証)」は、取引先の倒産や、業種全体の業況の悪化、災害などで経営に支障が生じている中小企業向けの保証です。1号から8号までの区分があり、たとえば5号は、国が指定した、全国的に業況が悪化している業種に属する中小企業が対象です。

利用するには、本店の所在地の市区町村で認定を受ける必要があります。保証限度額は、普通保証2億円、無担保保証8,000万円です。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫には、業況が悪化したときや、再建を図るときに使える融資があります。

制度限度額主な対象
企業再建資金7,200万円(別枠)返済条件を変更している事業者など
経営環境変化対応資金7,200万円業況が一時的に悪化した事業者
資本性ローン7,200万円(別枠)財務体質を強くしたい事業者

中でも企業再建資金は、リスケ中の会社がはっきり対象に含まれている制度です。対象には、金融機関からの事業資金の借り入れについて、返済の負担を軽くするための条件変更をしている事業者(条件変更先)のほか、中小企業活性化協議会の関与のもとで再建を図る事業者や、405事業を使って経営改善に取り組んでいる事業者などが入っています。返済期間は20年以内(うち据置期間5年以内)です。

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、最近の決算期の売上高が前期または前々期より5%以上減った場合や、決算で赤字幅が縮小したものの損失が出ている場合なども対象になります。資本性ローンは期限一括返済で、金融機関の資産査定上は自己資本とみなせるため、リスケ中の会社の財務を立て直しながら、ほかの金融機関から借りやすくする効果があります。制度の詳しい内容は「日本政策金融公庫の融資」で説明しています。

小口零細企業保証

従業員が20人(商業・サービス業は5人)以下などの小規模企業者は、信用保証協会の「小口零細企業保証」を使えます。保証限度額は、ほかの保証付き融資の残高と合わせて2,000万円までで、担保は原則として不要です。2025年11月の要請でも、事業者の実情に応じて活用する施策の一つに挙げられています。

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急いで資金が必要なときに気をつけること

審査や計画づくりを待てないほど急いでいるときは、手数料の高い資金に手を出しがちです。次の点に注意します。

  • ファクタリングの手数料:売掛債権の売却は早く現金になるが、手数料を年あたりに直すと高くなりやすい。金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸し付け(偽装ファクタリング)に注意するよう呼びかけている
  • 貸金業の登録:お金を借りる相手が、財務局や都道府県の登録を受けた貸金業者かを、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確かめる
  • 上限金利:元本100万円以上の借り入れなら、利息制限法の上限は年15%。業として年20%を超える利息の契約は、出資法の刑事罰の対象
  • 一時しのぎを繰り返さない:高い手数料の資金を毎月使い続けると、手数料の分だけ資金が減り続ける。経営改善の計画とあわせて使う

銀行以外の方法の仕組みと注意点は「銀行以外の資金調達」で詳しく説明しています。

会社が持っている資産を見直す

借り入れを増やせないときは、会社がすでに持っている資産を現金に換える方法も考えます。使っていない設備や不動産の売却、在庫の圧縮、売掛金の回収条件の見直しなどです。

オフィスや店舗を借りている会社は、貸主に預けている敷金も資産です。当社の「敷金返還くん」は、預けている敷金の半額から最大全額を、入居したまま現金で取り戻すサービスです。返す敷金の代わりに当社が貸主に保証を提供するため、借り入れではなく、返済や利息はありません。代わりに、当社への保証料がかかります。利用には当社の審査と貸主の承諾が必要で、会社の状況によっては利用できない場合もあります。

たとえば、月額賃料100万円、敷金12か月分(1,200万円)のオフィスなら、半額が戻れば600万円です。返済条件の変更で浮いた資金とあわせて、立て直しの期間の運転資金にあてる考え方もあります。

よくある質問

リスケ中でも新しく融資を受けられますか?

受けられる可能性はあります。日本政策金融公庫の企業再建資金は、返済の負担を軽くするための条件変更をしている事業者を対象に含んでいます(7,200万円まで・別枠)。また、融資の判断で条件変更の有無などだけで機械的・硬直的に判断しないよう、金融機関に求められています。経営改善計画を作り、その計画をもとに相談すると、話が進めやすくなります。

経営改善計画の作成に費用はかかりますか?

認定経営革新等支援機関に払う費用がかかりますが、405事業では、その3分の2(上限300万円)を中小企業活性化協議会が負担します。資金繰りの管理など基本的な改善なら、早期経営改善計画策定支援で3分の2(上限80万円)が負担されます。

セーフティネット保証を使うには何が必要ですか?

本店の所在地の市区町村で、セーフティネット保証の認定を受ける必要があります。認定のあと、金融機関を通じて信用保証協会に保証を申し込みます。

中小企業活性化協議会に相談すると、取引先に知られますか?

中小企業基盤整備機構は、協議会が行う私的整理は金融機関などの債権者以外に会社の窮状を知られない方法をとっていると説明しています。

ファクタリングを使ってもよいですか?

使うこと自体は違法ではありませんが、手数料は高くなりやすく、偽装ファクタリングもまぎれています。売主が債権を買い戻すことになっている契約などは、貸金業にあたるおそれがあると金融庁は注意を呼びかけています。

まとめ

  • 返済が苦しくなったら、資金繰り表で足りなくなる時期と額を出し、滞る前に金融機関に相談する
  • 金融機関には、条件変更や借換えに柔軟に対応し、条件変更の有無だけで機械的に融資を判断しないことが求められている(2025年11月27日)
  • 日本政策金融公庫の企業再建資金は、リスケ中(条件変更先)の事業者も対象(7,200万円まで・別枠)
  • 経営改善計画は、中小企業活性化協議会と認定経営革新等支援機関の力を借りて作れる。405事業は費用の3分の2(上限300万円)を負担
  • ほかにも、セーフティネット保証、借換保証、小口零細企業保証、日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金・資本性ローンがある
  • 急ぎのときも、貸金業の登録と上限金利を確かめ、偽装ファクタリングに注意する
  • オフィスや店舗を借りている会社は、預けている敷金を入居したまま現金に戻す方法もある(審査と貸主の承諾が必要)

出典:金融庁「金融の円滑化に向けた取組及び事業者支援の徹底について」(2025年11月27日)「ファクタリングの利用に関する注意喚起」「登録貸金業者情報検索サービス」、中小企業基盤整備機構「中小企業活性化協議会による支援」「認定経営革新等支援機関による支援(再生等)」、全国信用保証協会連合会「経営に支障が生じている方」「資金繰りの改善をお考えの方」「さまざまな保証制度」、日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金」「企業再建資金」「資本性ローン」、利息制限法第1条、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条。

Tags#金融・融資
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