オフィス移転の担当者に指名されたら その2
前回はオフィス移転プロジェクトの手順:
①計画立案→②物件選び→③申込→④審査→⑤契約→⑥解約予告
→⑦内装レイアウト→⑧工事→⑨引越し→⑩原状回復→⑪退去
①の前段階として、特に、現在の契約内容の確認の重要性と
おおまかなスケジューリングについてお話させて頂きました。
現状が把握できたら、次は1番大切なお金のお話。予算立てをしましょう。
そのうえで整理しておきたい情報は以下の3つです!
- 次の物件規模
- 内装・原状回復費用
- 今のオフィスの改善点
1.物件規模
今回のオフィス移転の理由は拡張移転ですか?縮小移転ですか?想定している入居人数は何人位でしょうか?
例えば15名の企業が40名程へ増員を見込んで移転する場合、オフィスは平均的に
社員お1人当たり2坪を要するとされていますので、30坪から80坪のオフィスへの拡大移転となります。
すると、ビルグレードも上がることが多いため(もちろん市況に大きく左右されますが)、
賃料単価でみても1坪当たり数千円の上昇がみられることが非常に多いです。
さらに預託敷金額も、30坪前後のオフィスでは4~8ヶ月程のことも多いですが、
80坪のオフィスでは8~12ヶ月分が相場となります。
例)月額賃料 坪単価1万円(30坪)と坪単価1.3万円(80坪)との比較
10,000円×30坪=300,000円→13,000×80坪=1,040,000円
必要となる預託敷金 30坪(敷金6ヶ月)と80坪(敷金10ヶ月)との比較
300,000円×6ヶ月=1,800,000円→1,040,000円×10ヶ月=10,400,000円
このように、坪数自体は2.5倍程度でも、月額賃料は約3倍、
敷金は5倍近く大きな数字になることもあるので要注意です!
2.内装費用・原状回復費用
新しい事務所の内装を考えるのはワクワクしますよね!
天井を抜いて高さをあげたり、床の素材をかえたり、ガラス張りの応接室や会議室をつくったり・・・
素敵なオフィス環境はいらっしゃるお客様の会社への印象を左右しますし、
働く方のモチベーションにも影響を及ぼします。
内装工事にはA・B・C工事の3種類があります。
A工事:オーナーの費用でオーナーが施工する工事のこと。
主に建物の躯体に関わる工事です。貸室を形成するための壁、扉、共用部の内装(階段やエレベーターなど)
B工事:テナント様の費用でオーナー(もしくはその指定業者)が施工する工事のこと。
主に建物躯体そのものや建物と連続機能を持つ設備、共通性のある設備、特に安全性を保つべき工事(消防関連など)です。
・テナント様が自らの希望によりビルの標準仕様に変更を加える場合など
・テナント様がIT機器を多く使いたいために標準仕様の電気容量をUPする工事
・テナント様の貸室内の間仕切りに伴う消防設備の増設工事
C工事:テナント様の費用でテナント様が施工する工事のこと。
・貸室内の内装仕上げの一部変更工事
・貸室内の配線設備工事
この中で気をつけたいのがB工事。
例えば応接室や会議室のレイアウトに合わせてお部屋に間仕切りをする際、
伴って照明や空調の移動、消防設備の増設をすると、それらはB工事になります。
B工事は建物の躯体に関わる内容や、他のテナント様に関わる内容も含むため、
オーナー様ご自身やオーナー様の信頼できる指定業者で行います。
テナント様側では業者の指定ができないので、坪当たりの費用は物件によって大きく変わってきます。
また、あわせてかかってくるのは原状回復費用。
住居と異なり、事業用物件の契約では今お世話になっている物件も
テナント様の費用でキレイにして退去しなければいけません。
こちらは退去日までに工事を終了させておかなければいけません。
3.今のオフィスの改善点
オフィス移転のタイミングは、現状のオフィスへの不満点を解決する大チャンスです!
- 窓が少なく空気が悪い
- 動線が確保できずストレス
- 応接・会議室の数や広さが不適切で効率が悪い
- 休憩スペースの要望が多い
- スタッフ同士のコミュニケーションがとりづらい
- トイレ等の使い勝手が悪い
などなど、毎日みんなが過ごすオフィスであるからこそ、
小さな問題の解決がモチベーションや効率UPに大きく貢献します。
しっかりとスタッフさんの意見をとりまとめて、早目にビルグレードや内装費相場と照らし合わせることが大切です。
実現するためにはトータルでどれ位の予算が必要なのか算出しておきましょう。
以上3つのポイントを抑えると、次のご移転の予算感がおわかり頂けるかと思います!
「物件候補が決まってから予算が足りずに大慌て!」なんてことにならないように、しっかり準備を進めましょう。