オフィス賃貸借契約と民法改正(1)連帯保証人とは

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120年ぶりの民法改正。
2017年5月「企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定に関する改正民法」が成立しました。特に「連帯保証」に関する規定が大きく変わり、オフィス賃貸借契約に影響がでてくることになります。なんと、民法が制定されてから約120年ぶりに債権部分を抜本的に見直されたことになります。
そこで「此度の民法改正とオフィス賃貸借に与える影響」また「そもそもオフィス賃貸借契約に民法規定がどの様に関わっていたのか」など、ビルオーナー視点でお話していきたいと思います。

※本内容は掲載時の法律に基づき著者の私見にて執筆されています。

そもそも連帯保証人とは?

「連帯保証人ってどんな人?」という、そもそも連帯保証人とは何かを具体例を交えてわかりやすくお話させていただきます。
オフィス賃貸借契約における保証人とは簡単に言いますと「賃料等が払えなくなってしまったテナント(=賃借人)の代わりに、不払い賃料・違約金・原状回復費用等(=債務)を代わりに払う(=保証する)人」のことを言います。
例えば、Aさんというオフィス入居者がいてBさん(個人)が保証人となると、Aさんが賃料を払えない場合をBさんが賃料を払う義務が生じます。そこで、貸主のビルオーナーX側からするとAさんが賃料を払わないときに、Bさんに請求するのですが、ここでBさんが「通常の保証人」なのか?「連帯保証人」なのか?によって変わってくるのです。

「通常の保証人」Bさんは、貸主Xに対して、
(1)「いやいやXさん!私ではなく、まずは先にAさんに請求してくださいよ!」とか
(2)「いやいやXさん!Aさんは、このように不動産も所有してるし、預金もありますよ!Aさんの財産を差し押さえて回収してくださいよ!」
というように抗議してAさんが払うように主張することができるんです。これを難しい解説だと(1)催告の抗弁権②検索の抗弁権という権利として説明がありますが、要は上記のようなイメージです。
これに対し「連帯保証人」Bさんは、貸主Xから請求されてしまうと、上記(1)や(2)の抗議が認められません。つまり、言い訳問答無用でBさんは支払わなければなりません。(その後、もちろんBさんはAさんに請求しますが、そもそも不払いを起こしているAさんから回収は現実難しいことでしょう)

この2点が連帯保証人の責任の重い点なのです。
しかし、現実この様な連帯保証人が重い責任を背負っていること、しかも、賃料滞納がいくらになるのか?原状回復費用にいくらかかるのか?等の実際の債務額について事前によく理解しないまま、連帯保証人となってしまうケースが多かったという今までの歴史があり、連帯保証人の保護を目的として此度に大きな改正点となったのです。
此度の改正により、個人の連帯保証人については「個人根保証契約」にかかる規定が適用されることとなり、保証をする対象の「極度額(いくらまで保証するか)」をあらかじめ書面(または電磁的記録)で定めなければ無効とされるようになりました。

つまり、Bさんが連帯保証する範囲を「1000万円まで(極度額)」などと事前に契約書にて定め、Bさんがしっかりと自らの責任とその範囲額を認識するようにしなければならなくなりました。「連帯保証人ってそんな責任あったの?いくら保証するの?」という状態のBさんにならないようにするためです。
しかし、かえって金額や責任を明確に明示するということは連帯保証人になることを躊躇するケースも増えるかと思います。
そのような対策として、貸主ビルオーナー側も借主テナント側も安心できる保証会社を利用し保証する機会が増えていくのではないかと想定されます。