法人登記の流れと期間は?会社設立の必要書類から申請手続きまで徹底解説

本記事では、法人登記の手続きを初めて行う経営者や起業準備中の方に向けて、登記申請の流れと必要書類について徹底解説します。法人登記は会社設立時に必ず行う必要がある手続きですが、初めての方にとっては書類の準備や期限の管理など不安な点も多いでしょう。そこで、必要書類の一覧から申請方法、注意すべきポイント、よくあるトラブルまで、実務に即した形で解説していきます。これから法人登記を行う方は、ぜひ参考にしてください。

法人登記の必需品リスト|作成・準備の仕方

法人登記を行うためには、複数の書類や印鑑、費用の準備が必要となります。これらの準備が不十分だと申請が受理されず、手続きをやり直すことになる可能性があるでしょう。法人登記を円滑に進めるためにも、必要なものは事前に準備を整えておくことが重要です。それでは具体的に必要となるものを見ていきましょう。

必要な書類一覧

法人登記の申請には数多くの書類が必要となります。それぞれの書類は法務局が定める様式に従って作成する必要があり、一つでも不備があると申請が受理されません。以下、具体的な書類の内容を確認していきましょう。

①定款

会社の根本規則を定めた最も重要な書類となります。商号、本店所在地、事業目的、資本金額など会社の基本情報を詳細に記載し、必ず公証人役場での認証を受ける必要があります。電子定款を利用すれば認証手続きがスムーズに進み、費用も抑えることができるでしょう。なお、会社の目的欄には事業内容を具体的に記載する必要があり、将来的な事業展開も考慮して記載することが重要です。定款は会社の憲法とも呼ばれる重要書類のため、内容に不備がないよう慎重に作成しましょう。

②登記申請書

法務局に提出する基本となる申請書類です。会社の商号や本店所在地、資本金の額、役員に関する事項など、登記する内容をすべて記載します。様式は法務局のウェブサイトからダウンロードでき、記載例も参照できます。定款の内容と相違がないよう、慎重に作成することが求められます。特に役員の住所や氏名は住民票の記載と完全に一致している必要があり、わずかな違いでも補正の対象となってしまいます。また、会社の目的も定款と同じ記載にする必要があるため、転記する際は細心の注意を払いましょう。

③印鑑届出書

会社の実印を法務局に届け出るための重要書類です。印鑑届出書には会社実印を鮮明に押印する必要があり、かすれやにじみがある場合は受理されません。会社設立後の契約書などでも使用する印影となるため、丁寧な押印を心がけましょう。また、一度届け出た印鑑の変更には別途手続きが必要となります。印鑑届出書は法務局所定の用紙を使用し、押印欄以外の記載事項もれがないことを確認します。特に会社の商号は登記申請書や定款と完全に一致している必要があるため、慎重に確認しましょう。

④就任承諾書

取締役や監査役など、会社の役員に就任することを承諾した証明書類です。役員それぞれの住所や氏名を記載し、実印の押印が必要となります。株式会社の場合は取締役全員分の就任承諾書が必要で、押印漏れや記載内容の誤りがないよう入念なチェックが必要です。住所は住民票の記載と完全に一致させる必要があり、番地の書き方や建物名の有無など細かな部分まで注意が必要です。また、就任承諾書の日付は会社設立時の場合、定款認証の日付以降である必要があるため、日付の整合性にも気を付けましょう。

⑤印鑑証明書

取締役や監査役など、役員全員分の印鑑証明書が必要となります。市区町村で取得する印鑑証明書は、取得から3ヶ月以内のものを提出しなければなりません。就任承諾書に押印した印鑑と印鑑証明書の印影が一致していることを確認することが重要です。なお、印鑑証明書は原本での提出が必要で、コピーは認められません。また、有効期限が切れていないかの確認も重要です。提出時に期限切れとなっていた場合、再度取得し直す必要があり、手続きに遅れが生じる原因となってしまいます。

⑥資本金払込証明書

会社の資本金が実際に払い込まれたことを証明する重要書類です。発起人が払い込んだ金額が確かに会社名義の口座に入金されていることを、金融機関が証明する形になります。通常は残高証明書または預金通帳のコピーを添付しますが、いずれの場合も金融機関の証明印が必要となります。資本金払込証明書の発行には通常1〜2営業日かかり、発行から2週間以内に登記申請を行う必要があります。払込みを証明する金額は定款に記載された資本金額と一致している必要があるため、金額の確認は慎重に行いましょう。

⑦登記すべき事項を記載した書面

会社の基本情報を詳細に記載する書類で、登記簿に記録される内容をまとめたものとなります。商号、本店所在地、目的、資本金の額、発行可能株式総数、役員に関する事項など、重要な情報をすべて網羅する必要があります。定款や登記申請書と記載内容の整合性を取ることが重要で、一文字でも違いがあると補正の対象となってしまいます。特に住所表記や役員の氏名は住民票との一致が求められるため、正確な転記を心がけましょう。

⑧登録免許税の領収証書(収入印紙貼付台紙)

登記申請時に納付する登録免許税の領収証書となる重要書類です。収入印紙を貼付する台紙は法務局指定の様式を使用し、会社の商号や本店所在地などの基本情報を記載します。収入印紙は金額に応じて正しく貼付する必要があり、消印は確実に押す必要があります。株式会社の場合は資本金の額の1000分の7(最低15万円)、合同会社の場合は1000分の7(最低6万円)の登録免許税が必要となるため、金額の計算は慎重に行いましょう。

必要な印鑑一覧

法人登記では複数の印鑑を使用する必要があり、それぞれ用途が異なります。印鑑は登記完了後も重要な場面で使用するものなので、慎重に準備を進めましょう。

⑨会社実印

法人として使用する正式な印鑑であり、法務局に届け出る重要な印章です。印鑑届出書に押印したものが会社の公式な印影として登録され、以後の契約書や重要書類での押印に使用されます。サイズは直径16.5mm以上24mm以下と定められており、会社の商号が正確に刻印されている必要があります。また、印影が不鮮明な場合は受理されないため、製作時には信頼できる印鑑店に依頼することをお勧めします。なお、市販の様々なデザインの印鑑がありますが、できるだけシンプルなデザインを選択することで、文字の視認性を確保しましょう。また、印鑑が完成したら必ず試し押しを行い、かすれやにじみがないか、文字が正確に刻印されているか確認することが重要です。

⑩代表者の個人印鑑

代表取締役など代表者が使用する実印のことで、市区町村に登録している印鑑を指します。就任承諾書や重要書類への押印に使用されるため、事前に印鑑登録を済ませておく必要があります。この印鑑は印鑑証明書の印影と完全に一致している必要があり、わずかなかすれやにじみでも書類が受理されない可能性があります。また、代表者が外国籍の場合は、署名と署名証明書で代替することも可能ですが、事前に法務局に確認することをお勧めします。印鑑の紛失や破損に備えて、予備の印鑑を作成しておくことも検討しましょう。

⑪取締役の個人印鑑

取締役として就任する役員全員の実印が必要となります。代表者と同様に、市区町村に登録している印鑑を使用し、就任承諾書への押印に使用されます。取締役が複数名いる場合は、全員分の印鑑と印鑑証明書が必要となるため、早めに準備を依頼することが重要です。特に遠方に住む取締役がいる場合は、書類の郵送や押印の依頼に時間がかかることも考慮に入れ、余裕を持ったスケジュール管理が必要となります。また、取締役の印鑑は就任承諾書以外の重要書類にも使用されることがあるため、慎重な管理が求められます。

必要な金銭

法人登記には複数の費用が必要となります。支払いのタイミングや金額は会社形態によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

⑫収入印紙代

法人登記時に必要となる収入印紙代は、大きく2種類あります。まず定款の認証時に必要な印紙代で、電子定款の場合は4万円、紙定款の場合は5万円が必要となります。また、登記申請時にも収入印紙が必要となりますが、この金額は会社形態によって異なります。収入印紙は郵便局やコンビニエンスストアで購入できますが、一度貼付すると返金や交換ができないため、金額は慎重に確認しましょう。会社設立のコストを抑えるためにも、電子定款の利用を検討するのがおすすめです。

⑬登録免許税

会社の登記申請時に納付が必要な税金です。株式会社の場合は資本金の額の1000分の7(最低15万円)、合同会社の場合は1000分の7(最低6万円)が必要となります。この登録免許税は収入印紙で納付し、管轄の法務局に提出する書類に貼付します。資本金の額によって税額が変動するため、計算は慎重に行う必要があります。会社設立時の経費として計上できますので、領収証は確実に保管しておきましょう。電子申請の場合でも同額の納付が必要です。

法人登記の流れと期間

法人登記の完了までには通常3〜4週間程度かかります。手続きは複数のステップに分かれており、それぞれの段階で必要な準備と期間が異なります。各段階で必要となる書類や印鑑、費用について、準備漏れのないよう確認していきましょう。

定款の作成と公証人役場での認証

必要なもの:①定款、⑫収入印紙代(定款認証用)
法人登記の最初のステップは定款の作成です。①定款には、会社の基本的なルールとして商号や事業目的、資本金額など各項目を記載します。作成した定款は公証人役場での認証が必要で、この際に⑫収入印紙代が必要となります。電子定款の場合は4万円、紙定款の場合は5万円となりますが、電子定款を利用すれば手続きがスムーズになり、コストも抑えられます。認証手続きには通常2〜3日かかり、公証人役場では定款の内容確認や設立意思の確認が行われます。不備があった場合は修正が必要となり、追加で時間がかかることもあるため、内容は慎重に確認しましょう。また、定款の原本は登記申請時に必要となるため、大切に保管してください。

会社印鑑の作成と印鑑届出書の準備

必要なもの:③印鑑届出書、⑨会社実印
印鑑の準備は定款認証と並行して進めることができます。まず⑨会社実印を作成しますが、これは法務局の規定に従い、サイズや書体に注意が必要です。通常は印鑑店に依頼してから完成まで2〜3日かかります。印鑑が完成したら③印鑑届出書を作成しますが、押印する際は印影がかすれたりにじんだりしないよう特に注意が必要です。法務局に届け出るこの印鑑は、会社設立後の重要な契約書類にも使用されるため、作成時は信頼できる印鑑店に依頼することをお勧めします。また、印鑑届出書の記載内容は登記申請書や定款と完全に一致している必要があるため、商号などの表記は慎重に確認しましょう。

会社印鑑の作成と印鑑届出書の準備

必要なもの:③印鑑届出書、⑨会社実印
印鑑の準備は定款認証と並行して進めることができます。まず⑨会社実印を作成しますが、これは法務局の規定に従い、サイズや書体に注意が必要です。通常は印鑑店に依頼してから完成まで2〜3日かかります。印鑑が完成したら③印鑑届出書を作成しますが、押印する際は印影がかすれたりにじんだりしないよう特に注意が必要です。法務局に届け出るこの印鑑は、会社設立後の重要な契約書類にも使用されるため、作成時は信頼できる印鑑店に依頼することをお勧めします。また、印鑑届出書の記載内容は登記申請書や定款と完全に一致している必要があるため、商号などの表記は慎重に確認しましょう。なお、この印鑑は会社の代表印として長期間使用するものなので、耐久性の高い材質を選択することも重要です。

資本金の払込と証明書の取得

必要なもの:⑥資本金払込証明書
定款認証と印鑑の準備が整ったら、資本金の払込手続きに入ります。⑥資本金払込証明書の取得のため、発起人の口座から会社名義の専用口座へ払込を行います。払込完了後、金融機関で残高証明書を取得しますが、この証明書の有効期限は発行から2週間と定められています。そのため、払込のタイミングは登記申請日から逆算して設定する必要があります。金融機関によって手続きにかかる時間が異なるため、事前に確認しておくことをお勧めします。また、資本金の額は定款に記載された金額と完全に一致している必要があり、証明書の金額が不足していると受理されないため、払込金額は慎重に確認しましょう。特に複数の発起人で分割して払い込む場合は、合計額の確認を怠らないようにします。

登記申請書類の作成と提出

必要なもの:②登記申請書、④就任承諾書(⑩⑪の印鑑で押印)、⑤印鑑証明書、⑦登記すべき事項を記載した書面、⑧登録免許税の領収証書、⑬登録免許税
いよいよ登記申請書類の作成に入ります。②登記申請書をはじめ、④就任承諾書には取締役全員の⑩⑪の印鑑での押印と⑤印鑑証明書が必要です。また、⑦登記すべき事項を記載した書面には、定款の内容と一致するよう会社の詳細情報を記入します。⑬登録免許税を納付し、⑧領収証書も忘れずに準備しましょう。これらの書類は正副2通を用意し、不備があると補正が必要となるため、提出前の最終チェックは入念に行います。特に住所や氏名の表記は住民票との一致が必須で、わずかな違いでも補正対象となります。また、原本が必要な書類とコピー可能な書類を区別して準備することも重要です。書類の綴じ方にも決まりがあるため、法務局の指示に従って正しく準備しましょう。

登記完了と登記事項証明書の受け取り

必要なもの:なし(登記事項証明書の交付手数料が必要)
書類の提出から登記完了までは通常1〜2週間程度かかります。この間に法務局で書類審査が行われ、不備があった場合は補正指示が出されます。修正の際は指定された期限内に対応する必要があるため、連絡先は日中に確実に連絡が取れる電話番号を記載しておきましょう。登記が完了すると法務局から連絡があり、登記事項証明書を受け取ることができます。この証明書は法人口座の開設や各種契約の際に必要となる重要書類です。通常は複数部数の取得をお勧めします。なお、オンラインでの申請の場合は電子証明書での発行となりますが、紙の証明書が必要な場合は別途交付申請が必要です。登記完了後は税務署や年金事務所などへの届出も必要となるため、スケジュールに余裕を持たせましょう。

法人登記申請方法は3種類

法人登記の申請方法には、法務局窓口での申請、郵送での申請、オンラインでの申請の3つがあります。それぞれに特徴や注意点があり、状況に応じて最適な方法を選択する必要があります。提出書類は申請方法によって若干異なる部分もあるため、事前によく確認しておきましょう。

法務局窓口での申請方法

窓口での申請は、書類の不備をその場で指摘してもらえる最大のメリットがあります。申請書類一式を持参し、管轄の法務局で直接手続きを行います。窓口では書類の記載内容や添付書類の確認が行われ、軽微な不備であれば即座に修正することも可能です。ただし、窓口は平日の決められた時間のみの対応となり、混雑時期は待ち時間も発生します。また、遠方の場合は移動時間も考慮が必要です。特に初めて登記申請を行う場合は、窓口での申請がお勧めです。書類の綴じ方や押印位置なども直接確認できるため、安心して手続きを進められます。また、不明な点があればその場で質問することもでき、対面での丁寧な説明を受けられます。受付時には提出書類の確認や届出印の押印位置なども案内してもらえるため、初回の申請でも安心です。

郵送での申請方法

郵送による申請は、直接法務局に出向く必要がないという利点があります。申請書類一式を簡易書留など配達記録の残る方法で送付します。郵送の場合は書類の到着から申請の受理までに数日かかる可能性があり、不備があった場合は補正の連絡を待つ必要があります。そのため、申請書には日中確実に連絡が取れる電話番号の記載が重要です。また、書類の綴じ方や押印位置にも細心の注意を払う必要があり、一度提出した書類の返却を求める場合は返信用封筒も同封しなければなりません。郵送での申請は経験者向きの方法といえますが、遠方の場合はコストと時間の節約になります。特に書類作成に慣れている場合は効率的な申請方法となるでしょう。

オンラインでの申請方法

法務局のWebサイトを通じてオンラインで申請を行う方法です。24時間いつでも申請可能で、窓口や郵送と比べて登録免許税が安くなる場合もあるメリットがあります。ただし、事前に電子証明書の取得や法務局へのオンライン登記申請用の事前登録が必要となります。また、一部の書類は原本提出が必要なため、別途郵送や窓口提出が必要になる場合もあります。電子定款と組み合わせることで手続きをスムーズに進められますが、システムの操作に慣れるまでは時間がかかる可能性があります。初めてオンライン申請を利用する場合は、システムの動作環境やソフトウェアのインストールなど、準備に時間的な余裕を持つことをお勧めします。

法人登記で注意すべき3つのポイント

法人登記の手続きでは、いくつかの重要な注意点があります。特に申請期限の厳守、書類の不備、原本の取り扱いについては細心の注意を払う必要があります。これらの注意点を事前に理解しておくことで、手続きの遅延や申請却下などのトラブルを防ぐことができます。それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

2週間以内の申請期限と罰則について

会社設立時の法人登記は、定款認証の日から2週間以内に申請を完了しなければなりません。この期限を過ぎると50万円以下の過料が科される可能性があり、悪質な場合は100万円以下の罰金が課されることもあります。また、資本金の払込証明書は発行から2週間以内の申請が必要で、この期限も厳格に運用されています。書類作成から提出までのスケジュールは余裕を持って組む必要があり、特に年末年始やゴールデンウィークなど法務局の休業日が続く時期は注意が必要です。さらに、登記完了後に登記事項証明書の取得が必要な場合は、その時間も考慮してスケジュールを立てましょう。急いでいても書類の不備があれば受理されないため、時間に余裕を持った対応を心がけてください。

書類の不備による申請却下を防ぐコツ

申請書類の不備は登記申請が却下される主な原因となります。特に多いのが住所表記の誤りで、住民票に記載された表記と完全に一致している必要があります。たとえばアパート名の有無や番地の書き方、建物名のスペースの位置まで、細かな違いも補正の対象となってしまいます。また、押印の位置や印影の鮮明さも重要で、かすれやにじみがある場合は受理されません。定款や登記すべき事項を記載した書面の内容も完全に一致している必要があり、一文字でも違いがあれば補正対象です。慣れない方は、一度下書きを作成し、それぞれの書類の整合性を確認してから清書することをお勧めします。不安な場合は法務局に事前相談することも可能です。また、過去の申請で補正指示が多かった箇所を確認することで、一般的な不備を防ぐこともできます。書類作成時は焦らず、複数回のチェックを行うことが重要です。

原本が必要な書類と写しでよい書類の区別

法人登記の申請書類には原本が必要なものと写しで良いものがあり、この区別を間違えると申請が受理されません。原本が必要な書類の代表例は印鑑証明書で、発行から3ヶ月以内の原本でなければなりません。また、資本金の払込みを証する書面も原本での提出が求められ、金融機関の証明印が押された原本が必要です。一方、定款は原本の還付を希望する場合、原本と写しの両方を提出します。就任承諾書は原本が必要ですが、念のために控えとしてコピーを取っておくことをお勧めします。なお、原本還付を希望する場合は申請時にその旨を伝え、返信用封筒を同封する必要があります。特に公証人の認証を受けた定款は再発行に時間がかかるため、原本の管理は慎重に行いましょう。

法人登記のよくあるトラブルと対処法

登記申請時には様々なトラブルが発生する可能性があります。ここでは実際によく起こるトラブルとその対処方法について解説します。事前に知っておくことで、スムーズな申請手続きにつながるでしょう。

類似商号による却下への対応

会社の商号が既存の会社と同一または類似している場合、申請が却下される可能性があります。同一の登記管轄内で既に使用されている商号は使用できず、また類似性が高いと判断された場合も却下の対象となります。対策として、申請前に法務局で類似商号の調査を行うことが重要です。万が一却下された場合は、商号を変更して再度申請する必要があります。ただしこの場合、定款の変更も必要となるため、公証人役場での認証からやり直すことになります。商号を決める際は、独自性の高い名称を検討し、事前に入念な調査を行うことで、このようなトラブルを防ぐことができます。なお、商号変更に伴い各種費用が再度必要となるため、金銭的・時間的なロスも考慮して、慎重に商号を検討することをお勧めします。

印鑑証明書の有効期限切れの注意点

印鑑証明書の有効期限は発行日から3ヶ月以内と定められており、これを過ぎると法務局で受理されません。特に注意が必要なのは、登記申請の準備期間が長引いた場合です。書類作成の途中で有効期限が切れてしまうと、印鑑証明書の取得からやり直しとなります。また、役員が複数いる場合は、全員分の印鑑証明書の有効期限を確認する必要があります。遠方に住む役員がいる場合は、郵送時間も考慮して余裕を持った取得が必要です。印鑑証明書は原本での提出が必要なため、コピーは認められません。そのため、提出前に有効期限を必ず確認し、切れかけている場合は新しく取得し直すことをお勧めします。特に年末年始は役所の休みも考慮が必要です。

資本金の払込証明に関する間違いやすい点

資本金の払込証明書は、申請時によくトラブルが発生する書類の一つです。まず注意すべきは有効期限で、発行から2週間以内に申請を完了する必要があります。この期限を過ぎると再度取得が必要となり、金融機関での手続きからやり直しとなってしまいます。また、払込金額は定款に記載された資本金額と完全に一致している必要があり、1円でも不足があると受理されません。特に複数の発起人で分割して払い込む場合は、合計額の確認を慎重に行いましょう。残高証明書を使用する場合は、口座名義が会社商号と一致しているか確認が必要です。また、金融機関の証明印が必要な場合は、押印を受けるまでに時間がかかることも考慮してスケジュールを立てましょう。

役員変更の申請方法

取締役や監査役などの役員に変更が生じた場合も、2週間以内に変更登記を行う必要があります。手続きには株主総会での選任決議や就任承諾書、新任役員の印鑑証明書が必要となります。特に就任承諾書は新任役員の実印での押印が必要で、印鑑証明書は3ヶ月以内に発行されたものを提出しなければなりません。また、辞任する役員がいる場合は辞任届も必要です。役員の住所が変更になった場合も変更登記が必要となり、新しい印鑑証明書の提出が求められます。変更内容が複数ある場合は一括して申請することも可能ですが、それぞれの変更に必要な書類を漏れなく準備する必要があります。また、役員変更に伴い銀行口座の届出事項も変更となるため、その手続きも忘れずに行いましょう。

会社形態で異なる登記費用

法人登記にかかる費用は、会社の形態によって大きく異なります。主な費用として登録免許税と定款認証費用がありますが、それぞれの金額は株式会社と合同会社で違いがあります。事前に必要な費用を把握し、予算を立てておきましょう。

株式会社の場合の費用明細

株式会社設立時の登記費用は、主に3つの費用が必要となります。まず登録免許税として資本金の額の1000分の7(最低15万円)を納付します。次に定款認証の費用として、電子定款の場合は4万円、紙定款の場合は5万円が必要です。さらに印鑑届出手数料や登記事項証明書の交付手数料として数千円程度がかかります。例えば資本金が1,000万円の場合、登録免許税は7万円となりますが、最低税額の15万円を下回るため、実際の納付額は15万円となります。このほか、電子証明書を使用する場合はその取得費用も必要です。会社印鑑の作成費用や、司法書士に依頼する場合は別途報酬も考慮に入れておく必要があるでしょう。

合同会社の場合の費用明細

合同会社の登記費用は株式会社と比較してかなり抑えることができます。最も大きな違いは定款認証が不要なため、電子定款や紙定款の認証費用が一切発生しない点です。登録免許税については資本金の1000分の7という計算方法は同じですが、最低税額が6万円と株式会社の半分以下になっています。そのため、印鑑届出手数料や登記事項証明書の交付手数料を含めても、通常は10万円以内で手続きが可能です。ただし、自分で書類作成を行う必要があるため、不慣れな場合は司法書士に依頼することもあります。その場合は別途報酬が発生します。また、登記申請後も会社印鑑の作成費用や、銀行口座開設時の諸費用なども考慮しておく必要があるでしょう。

まとめ

法人登記は会社設立における重要な手続きであり、書類の準備から提出まで慎重な対応が求められます。特に提出書類の不備や期限切れは申請却下の原因となるため、十分な準備期間を確保することが重要です。登記申請の方法は窓口・郵送・オンラインの3つがあり、状況に応じて最適な方法を選択できます。また、会社形態によって必要な費用も異なるため、事前に予算を確認しておく必要があります。登記完了後も、本店所在地や役員、事業目的などに変更が生じた場合は、2週間以内に変更登記を行わなければなりません。不安な点がある場合は、法務局への事前相談や司法書士への依頼を検討するなど、確実な手続きを心がけましょう。会社の重要な情報を公示する法人登記は、慎重かつ正確な対応が求められます。

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