管理会社が考える消防設備の法定点検
管理会社が考える知っておきたいオフィスビルのあれこれ
~消防設備編~
年2回ある消防設備の法定点検
オフィスビルは消防法に基づき、年に2回の消防設備の法定点検が義務付けられています。おそらく入居されていても普段はあまり気にかけることはないと思いますが、オフィスビルには屋内消火器(これは見たことありますね)煙感知器、熱感知器、屋内消火栓、排煙設備、避難誘導灯、非常用放送設備、避難器具、ハロン消火設備(駐車場)、防火扉、スプリンクラー設備などなど実に様々な消防設備が設置されています。これらが実際に火災が発生した際に正常に作動するかどうかを定期的に検査するのが消防設備点検です。
消防設備点検は点検資格者が行うことが義務づけられているので、大抵はビルオーナーが専門の業者と契約します。オフィスビルの場合は3年に1回、雑居ビルの場合は毎年点検結果を消防署に提出し、不具合があれば是正しないと当然処罰の対象となります。本来使用しないことを良しとする設備ですが、故障しなくとも時期が来れば更新しなければなりません。ビルオーナーにとってはビルを維持していく中で相当なコストになりますが、テナント企業に安心して入居していただくためには必要です。
テナント企業が内装工事で間仕切り等を行う際には、部屋ごとにスピーカーの設置や感知器の増設、誘導灯の増設等が必要になります。これは工事後に管轄の消防署が正しく設置されているか検査に来ますので、設置を怠っていれば許可が降りないために絶対に必要になります。
入居テナント様に最低限チェックしていただきたいこと
できれば一通り使い方を知っておきたい消防設備ですが、入居されたらぜひ覚えておいていただきたいのは避難階段と避難誘導灯の位置です。避難誘導灯は火災に限らず、地震等で電気が消えた場合一定時間内蔵バッテリーで点灯する仕組みになっていますので、どこから避難したらいいのかを暗闇でも表示します。普段は照明が当たり前のようについているオフィスもいざ暗闇になったら毎日出入りしている入口扉までたどり着けない可能性もあります。災害時にはとにかく避難できることが優先となりますので一度天井を見上げて避難経路をたどってみることをおすすめします。
定期的にコンセントのチェックを
消防署で話を聞くと、現在のオフィスビルは館内が禁煙になっていたり、ガスの設備がないところも増えており以前のような消し忘れといった人的要因による火災が起こる可能性は減っていて、大半はタコ足配線による電気容量の過負荷、コンセントにホコリが付着して発火するといった電気火災だそうです。今は電気がなければ仕事になりませんので、オフィスの中はありとあらゆる電気製品が設置されていますが、なるべく定期的にコンセントが外れかかっていないか、ホコリが付着していないか、容量を超える配線が行われていないか等を点検したいものです。