オフィス移転時の敷金はいつ返ってくるの?返還時期と金額に注意!
オフィス契約時に支払った敷金、どのように返却されるかご存知でしょうか?
新しいオフィスに移転する場合、引っ越し費用や移転先の契約でまとまった資金が必要です。
返還される敷金を当てにしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、敷金はすぐに全額が返却されるわけではありません。
ここでは、オフィス退去時の敷金返却時期や返還金額の注意点をまとめています。
そもそも「敷金」は何のために預けているの?
敷金は、オフィスを借りる際にビルオーナーに対して支払います。
しかしこのお金は、実際は「支払う」のではなくあくまで『預ける』ので後で返してもらえるお金です。
ではこの一旦預ける『敷金』は何のための費用なのでしょうか。
ビルオーナーとしては、入居者が家賃を払えなくなってしまったり、破産してしまったり、
突然連絡が取れなくなってしまったりしたら非常に困ってしまいます。
このような事態がもし起きたとき、預かっている敷金を家賃に充当したりします。
では家賃の滞納もなく、契約が終了したら返してもらえるお金でしょうか?違います。
敷金は退去時の現状回復費用に充てられます。
原状回復費用とは、オフィスを退去する際、入居時の状態に部屋を戻すことです。
また、オフィスの家賃が高ければ高いほど、預ける敷金もかなり高額になります。
オフィス移転時に注意したい!敷金返却のポイントとは?
敷金は、まとまったお金なので、返却されればオフィス移転費用や、
次のオフィスの敷金に充てられる。と考えている人も多いです。
しかしこの敷金返却を当てにしていると、大変な目にあうかもしれません。
以下のポイントを確認して、移転の際にはしっかり資金計画を立てておきましょう。
ポイント(1)敷金は解約してもすぐに返ってこない!
オフィス契約時に預けた敷金は、オフィス退去時にすぐに手元に戻ってくる。というわけではありません。
預けている敷金が返ってくるのは、賃貸借契約終了後、3~6ヶ月後ということが多いのです。
注意したいポイントは、敷金が返却されるのは「退去時」ではなく「契約終了時」であるということです。
オフィスの退去の際には「原状回復工事」の期間があります。
その期間も契約していることになりますので、敷金はすぐには手元に返却されません。
ポイント(2)返還される敷金を移転先の敷金に充てることはできない!
オフィスを移転するにあたっては、遅くとも移転入居の1~2ヶ月前には、
移転先のオフィスと契約を締結する必要がでてきます。
新しいオフィスを借りる際に「今のオフィスを借りる時に預け入れた敷金があるから、
返してもらって、それを移転先のオフィスに預け入れられる」と 考えるのは危険な間違いです。
例えば、4月に移転をしたいのであれば、2月中には契約締結しなければなりません。
しかし、今のオフィスにて預けている敷金が返ってくるのは、6月や7月頃になります。
つまりこの3~6ヶ月の期間、敷金を二重で預け入れる必要がでてくるのです。
ポイント(3)敷金は全額返金されない!
預けた敷金は全額を返してもらえるとは限りません。
「原状回復費用」が差し引かれて返金される
敷金は退去後、原状回復工事費用を除く金額が返還されます。
賃貸住宅を退去する際、よく敷金から「クリーニング代」が差し引かれるかと思いますが、
それと同じイメージでオフィスを退去する際には、
オフィスの状態を元の状態に戻すための費用「原状回復費」が敷金から差し引かれます。
ビルや内装の状況によって異なりますが、相場としては3~6万円/坪。
当然、天井を抜いていたり手の込んだエントランスだったりすると、原状回復費が相場よりも高くなります。
「償却」分は返ってこないor原状回復費に充てられる
もうひとつ注意しておきたいのが「償却」という概念。
こちらは入居する際の契約書に「償却:2ヶ月」といった形で盛り込まれる内容になりますが、
要は「退去する際、敷金から2ヶ月分は返金しません」ということになります。
オフィス契約の際には、償却があるのかないのかは注意深く見る必要があります。
この償却にも2パターンあって、ひとつは「礼金」のように単純にビルオーナー側に支払うお金、
もうひとつは「原状回復費に充てます」というパターン。
後者なら納得できますが、前者の場合は、借りる側としては何もメリットないので、
契約前にしっかりと確認しておくことが必要です。
敷金返却金の相場は?返還額は増やせる?
敷金返還でどれくらいお金が返ってくるのでしょうか。
まず賃貸オフィスの場合、住宅の賃貸との違いとして、償却費というものが発生します。
この償却費というのは、敷金から解約時に無条件に差し引かれる費用のことです。
相場としては賃料の1~2ヶ月分または保証金の10~20%と言われています。
そして、敷金には原状回復費用も含まれています。
退去時に原状回復費用も差し引かれることになります。
原状回復費は、坪数とオフィスビルのグレードで相場は様々です。
例えば50坪(25人くらい入るオフィス)を相場の4万円/坪計算で
原状回復費すれば200万円が差し引かれることになります。
工事内容によって坪の相場は変わってきますので、この限りではありませんが、
オフィス移転時の費用として、原状回復費の占める割合はかなり大きいと考えておきましょう。
敷金返金額を増やすには?
返還される敷金を少しでも多くしたいと思ったら、原状回復費を少しでも減額することが効果的です。
そして実は、オフィスの原状回復費は削減できる余地が大いにあります。
原状回復費の見積もりが、収めた敷金とほぼ同額というケースもよくあります。
これだと、敷金がほとんど返ってこない計算になってしまいます。
そういったことのないように、 適正な見積もり金額で原状回復工事ができるよう、
見積もり金額を鵜呑みにせず、適切な交渉をしっかりと行うことです。
敷金の返還は契約書の内容をしっかり確認!
■契約書のチェックポイント:返還時期を確認する
敷金に関して契約書の記載をしっかり確認しましょう。
「6ヶ月以内」や「3ヶ月以内」など具体的に時期が記載されているものは分かりやすいですが、
「速やかに」など、明確でなかったり、記載がない場合などは、事前に貸主に確認しておく必要があります。
また、ビルオーナーの財務状況によっては、契約書に記載があっても返還の遅延というケースもあります。
競売などにかかってしまった場合の敷金返還請求権も、新所有者にではなく旧所有者に対してですので、
貸主(ビルオーナー)の与信は入居前に確認をしておきたいところです。
■契約書のチェックポイント:返還金額の内容を確認する
オフィス契約書に、償却があるのかないのかは注意深く見る必要があります。
償却があるかないかで、敷金の返却金額が大きく変わってきます。
償却には2パターンあって、ひとつは「礼金」のように単純にビルオーナー側に支払うお金で返却はありません。
もうひとつは償却を「原状回復費に充てます」というパターンです。
契約書をしっかりと確認して把握してきましょう。
オフィス移転時の敷金返却時期に注意しよう!
オフィス退去時に返金される敷金についてご紹介してきました。
敷金の返金金額は、
「預けた敷金-原状回復費-償却分=返ってくる金額」となります。
また、戻ってくる敷金を移転先の費用に充てる予定をしていたりすると、
返還が間に合わず思わぬ出費をするということになりかねません。
これからオフィス移転を検討されている方は「敷金を預け入れるタイミング」と
「返ってくるタイミング」をしっかりと押さえておきましょう。
オフィス移転は、引越し費用だけでなく、オフィス家具の購入費用、新しいオフィスの内装費用、仲介手数料・・・
などなど、様々な費用がかかります。
移転計画が進んでから慌てることのないよう、しっかり計画しておきたいですね。