オフィス賃貸借契約と民法改正(3)敷金と保証極度額の関係性 | 株式会社 日商保  

オフィス賃貸借契約と民法改正(3)敷金と保証極度額の関係性

「敷金と保証極度額」の関係性についてお話させていただきます。
今回は、その「極度額っていくらになるのか?」という点に焦点をあててポイントを整理いきます。

ポイント(1)

極度額の金額設定については、法律上にルールは特段ありません。
つまり、貸主ビルオーナー側と借主テナント企業にて合意して決定することになります。

とはいっても、実情は貸主ビルオーナー側から一定の条件として
当初から契約書に盛り込まれているケースがほとんどです。

ポイント(2)

では、貸主側からはどういった基準で条件として決められているでしょうか?
貸主ビルオーナーは、敷金や連帯保証によってテナント不払いやテナント破産等による
リスクヘッジとしたいわけです。

よって、「敷金/保証極度額=不払い賃料+原状回復費+違約(損害)金」を
おおまかな目安として設定しているケースが多くなります。

ポイント(3)

その「不払い賃料+原状回復費+違約金」はどのくらいになるのでしょうか?
実務上では、テナント企業が賃料不払いが発生したら即退去とはなりませんので、
退去に至るまでは相当な時間がかかります。

テナント企業の状況や、退去にいたるまでの過程(例えば、裁判上の手続きが必要かどうか)
などによって変動はありますが、テナント退去に至るまでは早くても不払い発生~6ヶ月、
長期になると12ヶ月以上要してしまうこともあります。

ポイント(4)

原状回復費用とは、簡単に言いますと、テナント企業が事務所内に造作した内装・設備等をすべて撤去し、
入居前の状態に戻す工事費用のことです。

これも、造作・設備状況によりますが事務所設備平均で、「原状回復費用=坪単価5~10万円程度」となります。
また、違約金は賃貸借契約内にて設定されておりますが、
例えば、中途解約に伴う違約損害金や、賃料不払いにおける遅延損害金、
賃貸借解除後の明け渡し遅延による損害金、等が含まれます。

以上の(1)~(4)を整理し、想定設定として
「賃料100万円の広さ100坪の事務所(原状回復費用坪5万円、違約金賃料1か月分)」
とすると、以下のようになります。

貸主がリスクヘッジしたい金額(敷金/保証極度額)
||
不払い賃料(賃料6~12か月分:600~1,200万円)

原状回復費(500万円)

違約(損害)金(100万円)
||
1,200~1,800万円【賃料12~18か月分】

(※上記はあくまで一つの目安であり、実際には各種条件によって金額の増減があります)

例えばその場合
「募集条件(例1):敷金12か月+保証極度額6ヶ月(600万円)」
「募集条件(例2):敷金10か月+保証極度額8ヶ月(800万円)」

等というケースが想定されます。

上記のような例をとっても、個人連帯保証人が高額債務を保証するということは
一般的にはなかなか高いハードルではないでしょうか。

一方、貸主ビルオーナー側としても、個人連帯保証人から高額な債務を回収することは容易なことではありません。
よって、その双方のリスクを軽減するためにも専門の保証会社を利用する機会が増えてくると考えております。

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